実は子供の頃からずっと問い続けてきた疑問がある。
あれはおそらく弟が生まれたか生まれなかったかの頃だ。未だに覚えている。
親父に教えられたんだ。たぶん、親父の祖父母が立て続けに亡くなった頃だろうか。ほとんど顔も思い出せない祖父母。
『人は必ず死ぬ』
当然のことなんだけど、まだ当時3、4歳の子供の俺はずっと両親の子供で、ずっとこの生活がいつまでも続くものだと思っていた。いや、思い込んでいた。
自分の生活が当たり前のもので、両親の子供であることがいつまでも続くものだと思い込んでいたのだ。
『人は必ず死ぬ』
当たり前のことは頭では分かっている。
学校の先生や親戚が亡くなってきた中で、この歳まで生きてきたわけだけど、今もなおふっと思うことがあるのだ。
これが自分で自分を馬鹿だと思う理由だ。
『ひょっとして俺は死なないで済むんじゃないか?』
馬鹿げている。こんな当たり前のことを認識しない自分が居るなんて。