・・・――――――ッタッタッタッタ

夜。

雨の中、少女はどこまでも走って行った。

どこまでも、どこまでも・・・
誰も通らない真っ暗な道を・・・

ただ、一人だけで・・・




どこまで走って来たのだろう・・・

周りは見慣れた町の風景ではなく、山奥の景色に変わっていた。

汗や涙でグシャグシャに濡れた顔を服の裾で拭いながら ただ、手に握られたナイフを見つめていた。

血で染まった真っ赤なナイフを・・・。
『―――次のニュースです。』

あの時のコトを考えていると、あるニュースが耳に飛び込んだ。

『昨晩も例の切り裂き魔事件がありました。』

『数年前から切り裂き魔が存在していたようですが・・・まだ捕まっていないんですか・・・怖いですねぇ。』

「・・・またか・・・怖いなぁ。一体そんなコトを誰が・・・。」

―――もう君には解ってるんだろう?―――

「―――っ!?」

いきなり、どこからともなく聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。

「誰!?誰か居るのか!?」

―――アハハハッ誰かって?それも もう解ってるコトだろう?―――

―――君自身だよ―――

「俺・・・自身?・・・ハハッ・・・そんな馬鹿なコト・・・」

―――あるから言ってるんだよ―――

その聞き覚えのある声は笑い混じりに話しかけてくる。

まるで、嫌味を言う時のように・・・。
 
                    続く



『あぁ・・・眠いな・・・』

『でも、寝るに寝れないんだよな・・・あの夢のせいで

やはり本人もあの夢は見たくないらしい。

なぜなら―――――・・・



―――数年前―――

『母さん・・・母さん・・・!助けて・・・助けてよ!』

「・・・」

『なんで見てるだけなの・・・?怖いよ・・・苦しいよ・・・死ぬのは嫌だよ・・・。』

そこには、父親に首を絞められる少年の姿があった。

父親は目を血走らせ、母親はただ、無表情で少年が殺されるのを見つめているだけだった。

『やめて・・・父さん・・・お願い・・・やめ・・・。』

遠退いていく意識の中で、ただ一つだけ、はっきりしている意識があった。

コイツらが憎い

『コイツらが憎い。コイツらが憎い。コイツらが憎い・・・。』

『コイツらを殺してやりたい』

少年の心は、その思いで埋め尽くされた。

少年は手元にあったナイフを遠退く意識の中手に取り、

父親めがけて勢いをつけ、

そして・・・


・・・――――ドス――――・・・

気がつくと、少年は父親も、母親も刺していた。


・・・――――――ッタッタッタッタ



―――――――――――――――――――――――――――――



「・・・俺はなんで あの時・・・ホントにあの時は精神がどうにかしてたな・・・。

だって、あの『殺したい』という感情は、俺の物じゃない、俺以外の何か

の感情だもの・・・アレは・・・完全に俺じゃなかった・・・。」

 
                                 続く。