11月7日。




最近お店で仲良くなった恵美って女の子がいる。

ちょっと前から一緒に飲みに行こうって言ってて、なかなか行けなかった。

たまたま今日はテンションが高かったみたいで、飲みに行こうって。

普通に飲みに行くのかなって思ってたら新宿に行くことに。

綺羅も行くっていうから3人で歌舞伎町に向かう。




お店について、


T:「久しぶり!」


って言いながら亜紀の隣りに座る。

ってか、土曜日T君がいなかったんじゃない。

亜紀は会いたかったんだから!


亜紀:「亜紀は土曜日も来たもん☆」


今日はかなりうれしい♪

恵美と飲むのが初めてだし、T君に会えたことが一番うれしいけど。

今日は綺羅担当のM君は忙しいみたい。

指名が4本かぶってるんだって。

あまり亜紀たちの席についてない。

綺羅はあまり興味がないみたいだから気にしてないみたいだけど、やっぱりずっとヘルプじゃつまらなそう。


亜紀はというと、T君がずっと席についてくれてかなりご機嫌♪

つい顔を見つめちゃう☆

きっと周りから見たら、亜紀の目はハートになってるはず(笑)

本当は指名がかぶってるらしいんだけど、動けないらしい。

悪い気がして「他の席行っても平気だよ」って言ったんだけど、わけありでダメなんだって。

たぶんM君も忙しくてつけないし、接客力のある人が卓に1人はついてなきゃダメってことかな??


恵美はNO1のK君と、幹部のY君なんかがついて楽しんでるみたい。

何人かついたあと、初回のうちから指名をするって言い出して。

誰にするかはくじ引きにするんだって。

候補にあがったのはK君とY君。

紙に書いてどちらかを選ぶ。


結果はK君。

担当をくじ引きで決めちゃうなんて何をするにもユーモアあふれる女の子だナって思った。

年上なんだけど。




亜紀と恵美はテンションがあがって酔っ払ってて、ふと気づいたら隣りにいた綺羅がいない。


亜紀:「あれ??綺羅は??」


T:「電話しに行ったよ。ありゃ男だな。」


亜紀:「そうなの??」


トボけておいたけど、相手はたぶん彼氏。

ここに来てることバレたのかな?


綺羅は帰ってくるなり帰ると言い出した。

きっと呼び出されたんだろうナ。

酔っ払ってたから時間がどのくらいすぎたのか分からなかったけど、お会計のときお金が足りなかった(笑)


亜紀:「ごめん。お金足りない。掛けにできるなら掛けじゃダメ?ちゃんと払うから。」


T:「いいよ。俺が出してやるよ。」


亜紀:「いい!払う。」


T:「いいって。大丈夫だよ。」


亜紀:「じゃあ少し出す。」


T:「うん。それでいいよ。」


なんか亜紀が来ることでマイナスになってるかと思うと申し訳なかった。

そんな横で恵美はすごく楽しそう。

一緒に来てよかった。




帰りに恵美が、


恵美:「あたし1人でもう一件寄ってくから。」


亜紀:「ええ??でもこんな時間じゃもうどこもやってないよ?」


恵美:「大丈夫。知り合いのとこだから。」


恵美はテンションがヒートアップしてまだ飲み足りないらしい(笑)


K:「じゃあ俺が付き合ってやるよ。」


恵美:「気ぃ使わないでいいよ。1人で大丈夫だし。」


T:「じゃあ1時間だけカラオケ寄って帰ろうか。」


それでカラオケに行くことに。


亜紀:「眠いよう…。」


T:「1時間だけな。」


まあ確かに他のホストに会われるくらいならって思うのが当然かもしれないけど。

もう10:30だよぉ??

みんな酔っ払ったままカラオケに。

普通に1時間歌って帰ったけど、帰ったのがお昼1時をすぎてて、夕方起きた時まだ酔っ払ってた。

二日酔いにすらなれてなかった…(笑)

11月5日。



4日に電話したけど、お互いにすれ違いで話せなかった。

T君が5日の夕方に電話をくれた。


T:「おはよう。昨日ごめんね。すれ違っちゃって電話できなかったから。」


亜紀:「うん。大丈夫。」


T:「俺今友達の結婚式に行ってたんだよ。」


亜紀:「結婚式!?じゃあ寝てないの?」


T:「寝てない。これから2、3時間寝て二次会行かないと。」


亜紀:「大丈夫なの?」


T:「うーん。そのまま仕事に行くけどね。」


亜紀:「そうなんだ。あんまり飲まないでね…。」


T:「式でも全然飲んでないよ。乾杯と終わりの一杯くらい。」


亜紀:「そう…。もう寝るんでしょ?」


T:「うん。今布団に入ってる。」


亜紀:「ちゃんと寝てね。おやすみ。」


T:「おやすみ。」


内心すごく心配だった。

また寝てないんだ・・・。

ただでさえ体調良くないのにムリされると辛い。




この日は綺羅のお客さんの誕生日だった。

お祝いしてあげて、帰りにアフターに行った。

3人で六本木に行こうってことになって、某有名なサパーに。

もう時間は5時だったけど、ギリギリショータイムにも間に合って楽しかった。

六本木に来ると少し前まで働いていたことを思い出す。

よくアフターにも行ったなぁとか。



6時すぎまでサパーにいて、お客さんがラーメンを食べたいと言うのでラーメン屋にはしご。

そのあと適当にお客さんと別れて時刻は7時くらい。

朝の六本木。




綺羅:「せっかくだし飲んで帰らない??」


亜紀:「いいねぇ♪綺羅から言うなんてめずらしい。」


綺羅:「カサノバ行こうっか☆」


急いでタクシーに乗ってT君に電話してみたけど、出ない。

綺羅がM君に電話してみるとつながった。


綺羅:「今日出勤してるの?今から行きたいんだけど。」


綺羅:「うん、うん。…そうなんだぁ。」


なんだか不具合そう。


受話器を伏せて綺羅が言った。


綺羅:「M君はいるけど、今日T君はお休みなんだってぇ。」


お休みなんだぁ。

何してるんだろう・・・。

お休みということを知らないのもショックだし、今日会えないということにもっとショック。


亜紀:「うん。とりあえず考える。」


綺羅は分かったっていう顔をして、


綺羅:「分かった。また連絡するね。」


電話を切った。


綺羅:「何でお休みなんだろうね??」


亜紀:「分からないけど。じゃあ久々にR店(綺羅の彼氏がいるお店)でも行く??」


綺羅:「でもこの時間だし、もう終ってるかもよ?」


亜紀:「聞いてみよ。」


お互いに電話してみる。

呼び出し音は鳴るものの、亜紀の担当は出ない。

もうこんな時間だし、しょうがないかぁ。


綺羅:「もしもし??今からお店行ってももう入れないかなぁ?一瞬でも。」


綺羅:「うん。え!?帰ってきちゃったの?そうなんだ。分かったよ。」


電話を切ったあと、


綺羅:「なんかね、今日K(彼氏)は仕事で失敗しちゃってショックで早退してきちゃったんだって。自分の彼氏ながら情けない…。」


ため息をついている綺羅。

彼氏は年下で、なにかっていうと綺羅にグチったりするらしい。

私は性格的にそういうの嫌じゃないけど、綺羅はいつもいじいじしてるのは男らしくないから嫌っていつも言ってる。


亜紀:「うん。じゃあT君いないけど、お店行こう!」


綺羅:「でもそれじゃ亜紀はつまらなくない??」


亜紀:「いいよぉ。いつも会ってるし。綺羅が飲みたいっていうのはめずらしいから。」


綺羅:「じゃあ電話するね。」




歌舞伎町に着いて、お店に入る。


M:「おおよく来たなー!Tいないのにいいの??」


亜紀:「うん。綺羅は初回以来来てないから連れてきたよ。」


M:「そっか。」


綺羅とM君が楽しそうに話しててやっぱりうらやましい。

会いたかったなぁ。


ヘルプで着いてくれたK君が、


K:「Tさんには連絡したの?」


亜紀:「してないよ?いないって知ってたから。」


K:「一応電話しておいたら?俺がさっき一応電話しておいたけど。」


そう言われて電話してみた。


T:「おはよ。何してんだよ。」


亜紀:「おはよ。綺羅が行きたいっていうから来てみた。お休みだったんだねぇ。」


亜紀:「会いたいから今から出勤してぇ!!」


T:「もう間に合わないよ(笑)行っても閉店時間すぎてんじゃん。」


亜紀:「(笑)残念…。でもしょうがないか。またいる時に行くね!」


T:「うん。ごめんね。また電話して。」


1人で行ってた時ってM君もヘルプになるからみんなを独り占めできてるみたいだったのに、今日は綺羅いるからM君も綺羅と話しててなんか切ない…。

当たり前なんだけど、T君がいないからきっとそう思うんだろうナ。


11月1日。



T君と別れてまだ6時間しか経ってないのにすごく会いたい私がいる。

さっきから頭の中はT君のことばかり…。

この日は仕事だったけれど、ウソついて休んじゃった。

夕方ギリギリまでT君と一緒にいたから間に合うわけなかったし、寝不足だったから疲れて仕事にならないと思った。


深夜2時くらいにT君に電話してみた。


T:「どうした??」


亜紀:「電話してみた。」


T:「そうなんだ。眠れないの?」


亜紀:「さっきまで寝てたよ。」


T:「じゃ今から飲みに来る??(笑)」


亜紀:「今日はさすがにいいよ(笑)」


会いたいけど、自分の欲にばっかり負けていられないし。


亜紀:「そういえばかっこよくなったんでしょ?」


夕方に地元の美容室に予約していた。

T君は思いたったらすぐに行動に移す人みたい。

ホテルにいる時、髪が傷んでるのが気になるって言い出して、

「今日どうしても美容室に行かないと気が済まない」って(笑)

一緒に行く?って聞かれたけど、亜紀は用がないし。


T:「かっこよくなりすぎた(笑)」


亜紀:「マジだw 次に見れるのが楽しみだね♪」


T:「まだ眠れないならまた後で電話して?」


亜紀:「分かったぁ。」


結局この日は知らない間に寝ちゃってたんだけど…。

飲みに来る?って言われると、会いたいと思う反面、やっぱり営業なんだナとかいろいろ考えちゃう。

お客の一人なのは分かってるけど、好きだから聞きたくないセリフでもあって。

亜紀自身が同業だから、T君の立場も分かるしわがままは言えない。

でもきっと心のどこかで私は他の子とは違うって思いたいんだと思う。

疑ってしまう自分と信じたいと思う自分。

いつも交差した考えがつきまとうようになっちゃった。





11月3日。



今日は木曜日で亜紀は一応お休みだった。

出勤するつもりだったけど、たまには週3回お休みがあってもいいかなって思ったし、なにより先週からT君と映画を見に行こうって約束してた。

映画に行きたいって言ったのは亜紀だけど、3日に行こうって言ったのはT君。

でも本当に行く気があるのかすら分からないし、社交辞令で言ったのかもしれない。


とりあえずメールだけ送ってみた。


亜紀:「今日は何してるの?」


15:00くらいに送ってみたんだけど、返事がなかなか来ない。

寝てるのカナ??


16:30くらいにようやく返事が来た。


T:「今日はまだ昼の仕事してるよー!」


返信はしなかった。

忘れてるのかはぐらかしてるのかは分からないけど、今日の約束のことに触れてこないってことは今日はたぶん行けない。

忙しそうなのにこれ以上深くは聞けないし、ムリして行きたいわけでもないし。



深夜2時頃にメールが来た。


T:「おはよう!まだ仕事中??」


今日は仕事だと思ってるの!?

だから気づかなかったのカナ?


亜紀:「今日はお休みだったよ。さっきまでちょっと寝てた。」


T:「そっか!今日は木曜日だったんだ。ごめん、約束してたよね!?来週でも平気?」


亜紀:「本当は出勤するつもりだったから。具合あんまりよくないって言ってたけど大丈夫なの?」


こういう時、かなり疑っちゃう…。

本当はわざとなのかもとか。

でもちゃんと聞かなかったのは亜紀が悪いわけだし、T君はほとんど休みなく働いてるから曜日感覚がないのかも。


T:「最近飲みだしたからまた調子悪いよ。肝臓がやられちゃってる。」


なんかムリして飲んでるのを想像すると心が痛い。

仕事上しかたのないことだけど、やっぱり飲まないでほしいよ…。

そういえばホテルで一度飲むとお酒があまり抜けないって言ってた。

確かに亜紀はT君よりも酔ってたのに、お昼ぐらいには酔いが抜けてたもん。

結局バイバイする時まで抜けてなかったみたいだし。

体のことまで心配になっちゃうなんてもうハマりにハマっちゃった感じだよ…。




すごく好き。

久しぶりにママのネタ。


先月の亜紀のお給料日。

綺羅と遊び歩いて2日間家に帰りませんでした。

もちろんママは心配していたらしく…。


携帯にメールが。


ママ:「いつ帰ってくるんですか?」


↑なぜか娘に敬語を使う。


亜紀:「今日はちゃんと帰るよ。」


ママ:「連絡くらいしなさい。」


亜紀:「心配かけてごめんね。じゃあお詫びに何か買ってあげるよ☆ってなんか賄賂みたいだね(笑)」














ママの返信。


ママ:「漢字が読めません。なんて読むのかな?」






∑(´Д`;)!!


賄賂が読めないの!?

わいろだよ…。

自分の母親ながらに心配になる私…。



亜紀:「わいろって読むんだよ。」


しばらくメールの返信がなかった…。

5分くらいして、













ママ:「お母さん辞書で調べました♪


(゜Д゜)!?



賄賂を辞書で調べちゃったんだ…。

ってかそこまでする意味あったのカナ(汗)


でも一つ賢くなったみたいでよかった(´▽`)ノ

「賄賂」って言葉を覚えましたねw

亜紀って基本的にお客さんから口説かれない。

水商売やってるのに口説かれないなんて致命的…。

口説かれることももちろんあるけど、他の子に比べたら口説かれてる率は低い。


この間来た亜紀のお客さん。

話の流れで、


亜紀:「今日ってなんで来たの??亜紀を口説きに来たんじゃないの??」


ってウケ狙いでわざと言ってみたものの、


客:「は!?お前はアホか!!」


亜紀:「え?アホかって…。」


客:「なんで俺がお前を口説かなきゃならないんだよ。まあ面白いヤツだから会いに来てるわけだけど、恋愛対象じゃねーな(笑)」


亜紀:「∑( ̄□ ̄;)!!」


っていう感じのお客さん多いです…。



違うお客さんの時も…。

すっかりホストに行ってることまで話してしまっている付き合いも長い人。


客:「亜紀ちゃん、俺ってお客さんとしてちゃんとみてる??」


亜紀:「なんで??」


客:「いや、だいぶ俺がもてなしてるような…(笑)」


亜紀:「お客さんにはランクがあると思う。1番はお客様、2番はお客さん、3番は客。」


客:「うん。だから俺って3番??」


亜紀:「そうだね(笑)」


客:「亜紀ちゃん出会った時は可愛かったな。俺をお客様扱いしてくれていた(遠い目)」


ってな感じに、口説かれません。



色恋ができないんです…。

大きな悩みなんです。


お店の女の子が口説かれてストレス溜まるとかそういうの一度もなかったナ…。

付き合ってとか言われるとウザくなって容赦なく切ってしまうのが悪いんだろうけど。

これからは色恋もがんばってみよっと☆

ホストにならえ♪