コロナがもう過去のものとなりつつある今、

これまで営業を制限され、

苦しい時期を過ごしてきたレストランは

お客様にお料理を提供する喜び、

働くことができるありがたみを

噛みしめているだろうと思っていた。

 

しかし、最近訪れた

飲食店(特に何店舗か運営されている中規模チェーン店)の中には

価格を上方に改定しながらも

サービスが下方に向かっているところがある。

 

材料費のインフレ、深刻な人手不足で

値上げはしょうがないとは思うが、

値段は上がっているわ、サービスは今ひとつだわ、

という状況で客としてはダブルパンチを喰らってしまい、

心と懐が寂しい。

 

カフェやレストランの中にも

テーブルが片付いていなかったり、

オペレーションが間に合わないために

テーブルが空いているのに

外で待たされることも少なくない。

お店側は待たせていることを気にする様子もなく、

むしろ、帰って欲しいと思っているくらいにしか思えない。

 

こんないまひとつの状況を最近立て続けに経験してしまい、

一部の飲食店の方々だとは思うが、とても疲れているようで、

コロナ前の方が生き生き働いていたのではないだろうか。

 

昔、ファストフード業界の仕事の関係で

大手レストランチェーンの社長とお会いする機会があった。

この社長は仕事熱心で、

週末は必ず自分の足で店舗をチェックしていた。

そして訪問先で社長の細かいチェックが入る。

「電球が切れているぞ!」と店長に注意。

 

未だに強く印象に残っている社長の注意は

お手洗いに入ると一箇所、トイレのドアに

「使用禁止」という貼り紙があったそうで、

これには社長の怒りが爆発した。

 

「お客様にお店にいらしていただいているのに

トイレに使用禁止の貼り紙をするとは何事だ〜!」ムキー

おそらくその日にトイレが故障してしまったのだろう。

お店の人としてはすぐにお客様に

そのトイレのご利用を控えて頂かなくてはいけないので

急いで「使用禁止」という貼り紙を貼ったと想像するのだが。

社長としてはこちらの都合でお客様に

ご迷惑をおかけしているのに

使用禁止という一方的な表現が許せなかったのだ。

 

こういう細かいところで

レストランの印象が変わってくるのは確かだ。

 

怒ると怖い社長ではあったが、

お客様相手の商売でおっしゃていることは

どれも納得がいくものだった。

チェーン店だからこそ一流の気遣いとサービスをお客様に。

 

もうお亡くなりになったけど、

レストランのサービスの低下を感じるたびに

あの社長をなつかしく思う。