【髪結いの亭主・第18話】ピンクの花束
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「なんだい、なんだい、花屋さんかい?」
キミが店の入り口を塞いだピンクの薔薇の花束に近づくと、花束の向こうから、ぬっと現れたのは、篠原誠司の笑顔だった。
「せ、誠司さん?」
「こんにちは、珠水さん。昨日は失礼しました。」
篠原はそう言うと、珠水に花束を手渡した。
抱えきれないほどの大きな花束。
人生で初めてのでっかい花束のプレゼントに、珠水は思わず頬を緩めちまう。
「あらー、すごいじゃないの。こんなおっきなお花。惚れ惚れしちゃうわ~。」
キミも一緒になって頬を緩めた。
「スゲー、かあちゃん。オレ、一本もらってもいい?」
そう言ってはしゃぐ大吉を、篠原は優しい笑顔で見つめてこう言った。
「初めまして。私は、篠原誠司っていいます。急にお邪魔してごめんね。」
「オレ、鈴本大吉。10歳。」
大吉は、ぴんと背筋を伸ばすと、堂々と答えた。
篠原は憎たらしいほどの上品な笑顔でにっこり笑うと、今度はキミにその笑顔を向けた。
「いきなり、申し訳ありません。私は珠水さんの友人で、篠原誠司といいます。いつも珠水さんにはお世話になっています。」
「あらあら、いいんですよー。まあ、こんな汚い店でごめんなさいね。よかったら奥でお茶でも…ホラ、珠水、ボサッとしてないで、お通ししなさい。」
「いえ、今日は仕事の途中にちょっと立ち寄らせて貰っただけですので、お気遣いなく。それじゃ、珠水さん。また、連絡します」
篠原はそういうと、ペコリと頭を下げて店を後にしようとした。
「ま、待って。あたし、送ります。」
薔薇の花束をセット椅子に置くと、珠水は篠原の後について店を出た。
その後姿を見送りながら、キミはにやりとほくそ笑んだ。
「やるじゃないの、珠水ったら。あんな色男、いつの間に捕まえたんだろうねえ。」
「なに?イロオトコって。妖怪の名前?」
いぶかしがる大吉に、キミはふふん、と鼻息と共に言い放った。
「いい男ってことだよ。ハンサムってことさ」
「えー、そうかなあ。オレは父ちゃんの方が、全然カッコイイと思うけどなあ。」
大吉はセット椅子の上のでっかい花束を、じっと見つめてそう呟いた。
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