
2009年 5月14日雨
所沢のファルマン通り
その日は 愛猫ミーシャの
避妊手術を終えて
息子と長女を車に乗せて動物病院から
帰宅する途中
本降りの雨の中を車を縫うように
トボトボと歩いている
ノーリードのシェルティを見つけた。
行き交う車はみな 危なかしげにその犬を避けてノロノロと前を急いでいた。
私は 思わず
息子に あの子!と声をかけて
次の瞬間に、もう息子は車を飛び出していた。
びしょ濡れのシェルティを抱き抱えて
車に乗り込み 最寄りの交番に届けるも
落し物扱いで
はなから 飼い主を探そうとか
そういう感じではなく
こうした迷い犬の行く先は
ほとんどが 保健所なのだと
聞いてしまったら
胸が苦しくなり
気がついたら
我が家に連れて帰っていた。
首には
赤い紐が巻かれたままで
歯はひどく 汚れていた。
緊張しているのか
しばらくは 微動だにせずに、
キョトンとした瞳はうつろだった。
幾つで そしてどこから来たのかさえもわからない 迷犬 ファル
どんな暮らしをしていたの?
お腹が空いてもドッグフードより
土を好んで食べるのだ。
一日中何回もグルグルと旋回しては
しゃがれた声で鳴く。
瞳の奥に
閉ざされた心を感じずにはいられない
その震えた身体。
1ヶ月くらいしてようやく
先輩優くんと並んでお散歩
大人しく あどけない表情で
どれほど私達を癒してくれたことか。
6年間
あっという間だった。
2015年9月12日の
雨の日の午後に
静かにファルは虹を渡った。
時々無性に君に逢いたくなるよ。
ぎゅーって抱きしめて
またお散歩に行きたいよ。
今日は朝からずーっと
君を想っていたよ。