暇だったので、MARS「火星移住計画」のストーリーを途中まで書いてみました。
ちょっとした物語があったほうが具体的なイメージが膨らみますからね。
自分用のメモなので、スルーしていただいて結構です。w
◆はじまり
20xx年、人類は火星を目指して飛び立った。
人類初の火星有人飛行に選ばれたクルーは10人、それぞれ各分野のエキスパートのチームである。
しかし、彼らを乗せた船は片道切符で、帰還する機能は搭載されていない。
彼らは火星に骨を埋める覚悟で火星に飛び立ったのだ。
このチームを率いるのは船長のニック・ネルソンである。
彼らの使命は、後に火星を訪れるもの達を受け入れるためのベース基地を築くことと、火星を探査して人類に有益な資源を見つけることにあった。
初期型の火星探査船は小型のロケットで、推進力も低いため火星まで4カ月の期間を要した。幸い大きなトラブルもなく、順調に飛行し予定通り無事に火星に着陸をした。
輸送ロケットは分解され、形を変えてベースユニットになる。
必要最小限の機能と食料や物資を積載されており、10人が約1年間生活できる環境を維持できる。その間に新たな物資の補給がなければ彼らの命は失われることになる。
無事にベースユニックは組み上がり彼らの生活空間は確保された。
地球との交信には約10分間のタイムラグがある。
必要な情報交換は定時に行われ、24時間通信は可能である。
各クルーのそれぞれの家族とも情報を共有できるネットワークが結ばれていて、個人的な情報交換も可能になっている。ただし、送信できる情報量には制限があり、各自にパケット量が割り振られている。もし、この通信施設に問題が起きれば彼らの命取りになる。
◆地球ベース基地
そのころ、地球では2号機の輸送船の組み立てが急ピッチで行われていた。
火星で待つクルーのために2年間の生活物資と、拡張ユニット用の物資を搭載し数か月後に打ち上げられる予定である。
ロケットの製造は順調に進み、1号機の約2倍の容量と推進力を持っている。
順調に飛行すれば約2ヶ月で火星に物資を届けることができるはずである。
今回の火星探査は各国の支援を受けながら民間企業の「スターパッセンジャー」(SP社)が請け負っている。ロケットの製造から運行管理まで一手に引き受けており、火星での資源開発にも意欲的である。
もし火星で有益な新たな資源が見つかれば、地球に持ち帰ることで莫大な利益となる。
人類が火星に移住すると野望とは別に、SP社として火星の開拓は大きな収益を得ることも目的があることは当然である。
今のところ、技術的にもSP社以外に火星に人類を送り届けられる組織はない。
いわば独占企業としてうま味を独り占めしている。そのため、それを妬む輩もいることは間違いない。
もちろんリスクもある。
もし、この計画が途中で頓挫した場合、SP社は莫大な損失を抱えることになる。
そうならないためにも事故のない確実な計画遂行が求められる。
◆火星の探索
火星のクルー達の重要な任務は、火星の環境を詳しく調査し、集めた情報を地球に引き渡すことにある。
探査チームは3班に分けられていて、1チーム3名が探査に出たときは、もう一つのチームがバックアップにまわり、万が一の場合にレスキューとして出動できるよう待機を行う。
地中深い深層での地質調査や、様々な環境測定を行いデータの取りまとめを行う。
事前のロボット調査でかなり有望な資源が見つかることが期待されている。
ニックは船長としてチームを取りまとめると同時に、会社から良い結果を期待されているためプレッシャーもある。チームに無理はさせたくはないが、できるだけの調査を進めるよう指揮監督する任務もある。
◆新たなロケットが飛び立つ
火星のベース基地での活動は1年間の有限である。
その間に新たな追加物資が地球から届かなければクルー達は生存を続けることが困難になる。
資源はできるだけリサイクルされ必要な物資に変換される仕組みをもっているが、それにも限界がある。
太陽光による発電や風力発電を利用することで最低限の電力は確保されている。
ただし、もし設備に故障や事故が発生すればたちまちエネルギー不足に陥る。
そうなれば十分な活動を行うこともできず、生命の危機に陥る可能性もある。
新たな物資を乗せた2号機のロケットが飛び立った。
予定では2ヶ月程で火星に到着する予定である。
ロケットは順調に飛行を続け、火星との距離の半分まで到達していた。
◆アクシデント
順調に調査は進み、深層の地層から地球では発見されていない新たな物質が発見された。
埋蔵量は不明だが、この資源を地球に持ち帰ればSP社は大きな利益を得ることができるはずだ。
そんな期待を乗せた輸送ロケットにアクシデントが発生した。
予期せぬ宇宙デプリンの衝突により一部の機能に障害が発生したのだ。
この輸送船には2名の有能なパイロットが搭乗していた。
彼らは障害を箇所の修復のために、宇宙空間での修理を試みた。
幸い、大きな障害は取り除かれたが、正常に火星に着陸できるかやってみないとわからない。
この状況は火星のクルー達にも届いていた。
もし途中で輸送ロケットが失われれば彼らにとてっも命取りになりかねない。
地球ベース基地では新たに3号機の製造が始まった。
2号機と同じタイプのロケットで製造に要する時間と火星までの飛行時間を含めると火星のクルー達にはギリギリの時間しか残されていない。
◆2号機の運命
その後、2号機はパワーを落としながら飛行を続け、予定より1ヶ月遅れで火星の軌道に到着した。これから着陸のアプローチに入るが無事に着陸できる保証はない。
アプローチは始まった。
順調に大気圏に突入したが、着陸のための逆噴射がうまく機能しない。
パイロット達の必死の操縦で、なんとかベース基地の近くまでたどり着いたが、着陸時にバランスを崩しロケットは横倒しになり大破した。この事故で1人のパイロットが命を落とした。
2号機には少量の資源と4名を乗せて帰還できる能力があったが、爆発で大きく破損したためその機能は失われた。
残された物資は当初の3分の1程度で、余剰の物資と合わせて11名のクルーが半年間生存できる量になる。
追加の物資が届かなければ、彼らの運命は半年間ほどになった。
◆3号機が飛び立つ
2号機の事故を受けて、突貫工事で3号機の製造がおこなわれ、数か月後に3号機が完成した。新たに2名のパイロットと積載できる限界まで物資を積み込み3号機は飛び立った。
順調に飛行すれば2か月後に火星に到着できるはずである。
彼らに残された時間は残りわずかとなった。
◆火星の生活
火星での生活は単調で、住居スペースは狭小で、個室に区分されているがベットと小さなテーブル程度しかない。唯一の楽しみは地球との定期交信で、家族と連絡を取り合ったり、娯楽用のコンテンツを受信している。
チームのメンバーとの人間関係は概ね良好ではあるが、マンネリな生活にフラストレーションも溜まっている。火星探査などのルーチンワークと専門的な設備のモニタリングや整備など仕事と生活の区分がほとんどない。
密閉された空間に閉じ込められた窮屈な生活が続いているが、残り僅かになってきた物資のことは誰も口にしない。もしこのまま食料が底を突けば最終的にどう分配するか? 難しい問題である。
◆待望の物資
3号機は順調に飛行を続け、火星の周回軌道に到達した。あとは着陸のミッションを成功させるだけである。
このロケットにはクルー達の命がかかっている。もしこの3号機にトラブルがあれば次の郵送船を待つ時間はクルー達に残されていない。誰もが祈る気持ちがロケットの着陸を見守った。
予定通り、3号機は無事に着陸しロケットの損傷もない。
搭載してきた物資を下ろし終えれば地球に向けてまた再び飛び立つこともできるだろう。
新たな2名のクルーを迎え、まずは祝杯をあげることにした。
◆SP社の思惑
3号機が無事に火星に到着したことで、地球ではSP社の偉業に称賛の声が寄せられた。
もちろんSP社の株価はうなぎのぼりで、CEOのアラン・ケイトは一夜にして世界一の大富豪になった。
3号機の戻り便には4名のクルーと、火星で収集された新たな鉱物資源が積み込まれる予定で、無事に帰還できれば莫大な富を得られるはずである。さらなる鉱物採取を促進するために、3号機には掘削設備のも搭載されていた。
続く4号機の製造も順調で、数か月後には火星に向けて飛び立つ予定である。
SP社は火星の覇者として君臨することになった。
◆マルコの気持ち
3号機からの物資の搬出も終わり、現在まで採取された様々な鉱物の積み込みも終了した。
残る荷物は誰が帰還するか?という選択になる。
火星での生活には想像以上に過酷で、当初のメンバーとして参加した勇敢なクルーの中にも気持ちの揺らいでいるものもいた。その一人がマルコ・ビコビッチである。
彼はクルーの医療メンバーとしてミッションに参加したが、地球には10歳になる息子と妻を残してきた。定期通信で毎日コミュニケーションは取れていたが、度重なるアクシデントもあり心が折れていた。
誰が帰還させるか? 最終的に判断するは船長のニック・ネルソンである。
事前にメンバーとの個別にヒアリングは済ましており、帰還希望者は3名いた。
ひときわ希望が強かったのはマルコであったが、このタイミングで医療メンバーが抜けるのは厳しい。
順調にいけば、半年後にまた新たな輸送船の4号機が到着する予定である。
その半年間の判断が難しい選択になる。
ニックは希望どおりマルコを帰還メンバーに加えることにした。
次のメンバーが到着するまで医療チームは手薄となるが仕方ないとニックは判断した。
その旨をSP社に連絡して、代わりの医療スタッフを次の輸送船に搭乗させるよう要望した。
帰還するメンバーは事故で負傷した2号機のパイロット1名と3号機のパイロット2名、それとマルコの4名に決まった。
マルコは安堵した。
しかし無事に地球に帰還できる保証はどこにもない。
火星から地球への帰還した人類はまだいないのである。
3号機は無事に地球に帰還できるかは神のみぞ知る。
◆3号機のリフトオフ!
その日が来た。帰還のために全ての準備をすませ、3号機は発射の秒読みに入った。
もし無事に帰還できれば3名のパイロットと火星で1年を過ごしたマルコは全世界から注目され英雄になるだろう。しかし、その前に地球への帰還という難しいミッションをやり遂げる必要がある。
火星の飛行と着陸により、ロケットブースターの負担は大きく、何らの機能劣化があることは予想された。無事に地球までたどり着けるかは未知数である。
10、9,8、7、6、5、4、3、2、1 リフトオフ!
物凄い轟音と凄まじい砂煙を上げ、3号機は火星を飛び立った。
順調に飛行を続ければ2か月後にはマルコは家族に再会できるはずである。
3号機の炎は段々と小さくなり、やがて視界から消えていった。
残されたメンバーは9名、火星の空を見上げて地球を探した。
◆新たなメンバー
そのころ地球のベース基地では予定通り4号機が発射台に運び込まれていた。
マルコの帰還で代わりの医療スタッフを募集することになった。まだ医療経験は浅いが有能で本人のたっての希望もありミシェル・カリアが新たなメンバーに加わることになった。
彼女は29歳の独身で、身体的にも美貌に恵まれていた。結婚を約束したボーイフレンドもいた彼女が、どうしてこの命がけのミッションに参加したいのか?まわりには理解しがたかった。とりわけ父親は大反対をしたが、彼女の気持ちは強かった。
このまま火星のミッションが順調に進めば2年程度で帰還できる可能性は十分あるが、薄いアルミ合金の壁の外側は漆黒の闇である。何が起こるか?誰にも予想はできない。
ミシェルと2名のパイロットが乗った4号機は新たな物資と共に地球を飛び立った。
2か月後は火星に到着する予定である。
◆ベースユニットの拡張
火星では3号機による物資より、ベースユニットの拡張工事が行われていた。
今回新たに掘削施設が追加され、採取した鉱物資源を分析する研究ユニットも追加された。
合わせて、植物プラントも併設され、少量ではあるが新鮮が野菜が食べるようになった。
資源を循環するユニットも追加されたことで、より長期に火星に滞在できる準備が整いつつある。
4号機にはさらに施設を増設できる資材が積み込まれていた。
◆3号機の帰還
あれから2ヶ月、3号機は宇宙空間を飛び続け、船内の窓から地球が確認できる距離まで迫っていた。1年ぶりに見る青い地球はマルコの瞳には眩しかったが、彼の頭中には息子と妻の顔が浮かんでいた。
最終アプローチに入ろうとした、まさにその時、何かがぶつかった。
激しい衝撃音が船内に響き渡り、大きく振動した。同時に何かのガスが漏れる音がしてアラームが鳴り響いた。どうやらまた予期せぬ宇宙デブリが船体に衝突したようだ。
各国が宇宙開発にしのぎを削り、無計画に衛星を打ち上げたため、その残骸や不用になった衛星どうしがぶつかり破壊された細かな部品が宇宙空間に無数に浮遊している。
大きな塊はレーダーで捉えられるが、小さなビス1つを正確に補足することは不可能である。しかし、その小さなデブリは物凄いスピード飛び交っており、ビス1つ当たりどこが悪ければロケットは木っ端みじんに破壊されてしまう。もしそうなればデブリがデブリを生み続け、やがて人類は地球から出ることは不可能になってしまう。宇宙開発の一番厄介な問題である。
幸い大きなダメージはなく、エンジンにも問題はないようだ。
飛行は続けている、このまま最終アプローチに入ることとなったが最悪の場合は大気圏で分解して燃え尽きてしまう可能性もある。
マルコは祈った。
つづく・・・