以前ブログで「下町ロケット」の話を書きましたが、見事にストーリーが的中して残念な結果でした。

下町ロケットと憲法改正
https://blogs.yahoo.co.jp/kai_yamamoto/65341600.html

ドラマに出てきた自動運転のトラクターはすでに市販されています。
前回ご紹介したように少し高級なトラクターは500万円ほどしますが、自動運転の装置を付けるとさらに500万円ほどの費用がかかります。1千万円のトラクターを誰が買えるのでしょうか?コンバインと合わせて2千万円です。それを買えた殿村はきっと大金持ちだったのでしょう。

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ロボットトラクター|テクノロジー|ヤンマー
https://www.yanmar.com/jp/technology/robotics.html

単純に2千万円の借金をして、米の売上で返済するのに何年かかると思いますか?
もちろんそれ以外に田植え機や育苗機、乾燥機や搬送トラックなども必要です。日本の小規模農家では米作りは赤字事業なのです。

自動運転のトラクターはもちろん自動走行で公道は走れません。大型トラックに乗せて運搬するか人が運転して圃場まで運ぶ必要があります。しかも圃場での自動運転には必ず運行を監視する管理者が必要になります。つまり1台のトラクターに1人の作業員が必要になります。だったら最初から人が運転すればいいじゃなか?という話になります。つまり人的な効率に繋がる話ではありません。

農業用ロボットはSFチックな夢のような装置ではありません。
あくまでも目先のイメージ商品であって本質の改善には程遠いものです。

このドラマでは「日本の農業を救いたい」というセリフが何度も出てきましたが、どんだけ上から目線なのか?と感じました。もし本気でそう思うなら自動運転なんて作っていないで、殿村のように田舎に帰って農業を継いでください。足りていないは機械ではなく人なのです。

新規就農者調査:農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sinki/#r

ドラマのように綺麗に整備された広い農道と平坦で真四角に区画整理された圃場なら、米作りは一番単純で簡単な農作業でしょう。だからライントレーサー並みのトラクターでも自動走行ができるわけです。守るべき日本型の農業とは全くかけ離れています。

ラストの台風の中での稲刈りシーンでは際目の稲刈りをごまかしていましたが、コンバインだけでは稲刈りはできません。GPSの座標だけじゃどうしようもない問題があるのです。もちろん雨の中ではコンバインは機能しません。フェイクです。

ストーリーの中でおそらく農協をイメージしたイヤラシイ嫌がらせで正義と悪魔の構図を作り上げていましたが、実際にはそんなことはありません。なぜ協同組合が生まれたのか?協同組合と株式会社の違いを理解していれば騙されることはないでしょう。
2016年、協同組合はユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、日本では話題にも上らずメディアではタブー視されています。何故でしょうか?考えてみてください。

もちろんこの話はフェイクの娯楽ドラマですが、どうもこういったイメージ操作をしようとする強い意図が感じられました。おそらく実際のことを何もしらない人は簡単に騙されたんじゃないかと思います。
政権よりのヨイショで点数稼ぎすればきっといいことがあるのでしょうね。w

前回も書いたとおり、農業を経済理屈や効率化という視点で捉えるべきではありません。命を繋ぐ作業は儲かろうが儲からなくても、人類が生存し続ける限り永遠に続ける必要がある生命活動そのものです。生命活動に経済も効率もありません。その意味にまず気付くべきでしょう。

それからもう一つ、中途半端なロケットはあまり打ち上げないほうがいいでしょう。
すでに地球の周りはスペースデブリと言われる宇宙ゴミでいっぱいです。そのゴミは年々増え続け、物凄い速度で縦横無尽に飛び交っていて、もしそのゴミの小さなネジ1つでも宇宙ステーションに衝突すると当たりどころが悪ければ木っ端微塵です。人類の未来のためにも確実にスペースデブリを回収できる技術ができてからチャレンジすべきじゃないかと思います。

「出来るかどうかに心を奪われる前に、すべきかどうかをよく考える」
おそらく現在の社会で一番欠けている視点です。