そろそろ日本でも観光産業が自動車産業を追い越す勢いのようだ。
その内に自動車なんて前世代の乗り物と認識される時代ももうすぐかもしれない。

都市社会に必要なのは自動車ではなく鉄道であることは明白で、物流のための新たな仕組みを作り上げることが重要だろう。間違っても自動運転なんて絵空事ではない。


無駄に工業化するのなら、観光という無価値を価値に変換し散財する社会循環システムのほうがスマートで優秀だろう。その昔の熊野詣や伊勢参り、四国八十八ヶ所巡りなど実によく出来た経済システムである。その立役者は「何だかありがたい」という宗教感が大きく貢献したことはいうまでもない。

フランスやイタリアのように観光産業で食っていければ皆ハッピーである。
消費するのは精々食料くらいで無駄なものを作り出すこともない。それが進歩的か?進歩的でないかなんて考えることは無意味で、人間はただただ気持ちが良ければ幸せになれる動物なのだ。


こちら超ド田舎の和歌山も一次産業以外にさしたる産業もなく、早くから観光事業に望みを託してきたところだ。


高野山や熊野古道が世界の観光案内所のユネスコに世界遺産認定されてから外国人の観光客も多くなったようだが、地域の活性化にはほど遠い状況である。


以前、県外の友人から高野山に行きたいと連絡があって、関空から高野山までのアクセスを調べたことがあるが、まともなアクセス方法がほとんどなく中途半端な時間帯に1日1往復のリムジンバスが走ってるだけだった。宿泊や食事やアフターの計画も立たない状態だ。一度自分で観光のタイムスケジュールを立ててみれば、どれだけ高野山観光が難しいか実感できるだろう。

関西国際空港のエアポートリムジンバス
http://www.kate.co.jp/timetable/detail/KS

お隣の大国からの観光客も増えているが、高速道路のサービスエリアで大型バンの白タクによく遭遇するようになった程度である。

本県の正面玄関になるJR和歌山駅からも高野山行の直行バスは1本も出ていない。
何を観光案内しているのか?不思議である。
というか元々バスは殆ど走っていない。

その割には県内唯一の地下街?(駐車場)のイベント広場に大型ディスプレイを設置して県内の観光名所の案内ビデオを流している。ただ位置的にここに立ち寄る観光客はほとんどなく、通行人は通勤や通学の地元民がほとんどだが、既に誰も振り向くものもなく予算と電力の無駄使いが続いている。

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その内にモニターの1つでも故障すれば修理することもなく電源プラグを引き抜くだけだろう。そんな無駄な観光サイネージは過去にいくつも見てきたが、全く進歩が見られない残念な状況だ。

補助金の予算が付くものだけを適当にやってるとしか思えない、やる気のなさに地方公務員のレベル感がうかがえる。未だに役所は観光客は自家用車でやってくると思っているようだ。おかげで山奥に誰も走らない綺麗な山道が沢山作られている。


本県も経産省出身の知事がカジノ法案にお手上げているが、入場料を6千円にする案があるようだが6万円でもいいだろう。アメリカのラスベガスに行ったことがあるが、不夜城のどんちゃん騒ぎにはビックリしたが、カジノには何の魅力も感じなかった。カジノは単なる賭博、観光とはそんなものではない。

もしカジノを作る予算があるのなら大仏でも建てた方が効果的かもしれない。
あくまで誰がどれだけ価値判断をするかは未知数であって可能性の問題でしかない。
一時の流れより、小さくても絶え間なく流れ続ける社会こそ健全であって、時は永遠に流れるもので、人の一生程度の時間で考えるものではない。

観光とは自分が知らなかった風景や文化や習慣に触れ、その刺激から自分の立ち位置を再認識することだろ。
人が行動する根源に「欲」というものがあるが、その欲の中でも最も強く死ぬ直前まで失われないのは「知識欲」である。脳が欲しがる新しい刺激は際限がなく、だから人は生き続けるわけだ。

再考を期待する。