工作の基本は具材を切り刻んで、再びそれらを接合して形成する作業になります。
その工程で接着する機能は非常に重要になるわけです。

日本人なら木工ボンドといえばこのパッケージをイメージするだろうと思います。
おそらく小学校の工作の時間に必ず一度は通る接着剤だと思います。

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コニシ株式会社
http://www.bond.co.jp/bond/

コニシの一般的な木工ボンドの主剤は酢酸ビニル樹脂で、水性なので使いやすくて速乾性で優れています。
しかし、乾燥後に水に接すると再び溶解して元に戻ってしまう性質があります。

つまり水回りには使えません。
最近はボートやカヤックなど水回りの工作が多いので耐水性のある接着剤を調べてみました。

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接着剤とは何ぞやとはじめると話が長くなりますが、簡単には別個体のAとBをくっつけるわけです。
この時AとBが全く別の異質な物質の場合もありますし、同質の場合もあります。

広義に言えばボルトや釘なども接着材の一種とも言えます。
とにかくっつけて形状を維持できれば接着なのです。

そもそもくっつくという現象は、分子レベルで溶解して結合するものと、
接着剤が互いの組織の隙間に入り込んで摩擦によって引っ掛かり接合するものがあります。
多くの接着剤は後者で木工ボンドもこれになります。

よってボンド自体の強度がなければしっかりと接着を維持できないのですが、例えばエポキシ接着剤などはその点で優れています。
エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂で硬化後は強固なプラスチックになって形状を保ちます。
もちろんプラスチックですから水にも強いわけです。

しかしエポキシ樹脂は高価ですし、二液混合の手間や硬化中の温度管理など扱いも難しくなります。
もっと手軽に使えるボンドはないのか?となるわけです。


タイトボンドはアメリカで開発された接着剤で有名ですが、特にタイトボンド3が耐水性に優れているようです。
タイトボンド3の主剤は「架橋型ポリビニルアセテート樹脂」で木材や発泡材、その他の多孔質基材に有効となっています。
つまり細かな穴が沢山空いているところに入り込んで接続してくれるわけです。

一液の水性ボンドですから扱いも通常の木工ボンドと同じ感じです。
硬化後はエポキシのように硬化するので削る作業もできるようです。
実験映像があったのでご覧ください。

"Glue Is Glue" - Part 3

https://youtu.be/AEGDXg0S-H8

実験を見る限り、一度凝固した樹脂は水に浸けても再び溶け出すことはなさそうです。
もちろん木材自体が水に弱いので、水の浸透によって軟弱化するのは当然のことだと思います。

イメージ的には通常の木工ボンドとエポキシの間ぐらいでしょうか?
もしこれ以上の強度が必要な場合は部分的にエポキシを使えばよいと思います。
ここまで調べたら買ってみるしかありません。

優れたボンドで世界的にもポピュラーな接着剤ですが、何故か日本のホームセンターでは扱っていないところが多いようです。
もちろんド田舎の地元ホームセンターではどこも扱っていません。

時々ハンズなどで見かけますが、通常の2倍程のボッタクリ値段になっていますのでお気を付けください。
今回は貯まっていた楽天ポイントで無料でもらっちゃいました。

では実験・・・

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状態は少し緩めで、匂いはコニシの木工ボンドとよく似ています。
接着までのオープンタイムは約10分ですので作業も余裕をもってできます。
何よりエポキシのような二液混合の作業が要らないので手軽で楽ちんです。

新たな武器を手に入れて、ますます妄想が広がっております。
夏休の工作におひとついかかでしょうか?



「子は鎹」といいますが「子は接着剤」と言い換えることもできます。
つまり元々異質なAとBの隙間に入り込んで凝固することで、なんとかAとBを繋ぎとめるわけです。

しかし子供はいずれ巣立つものです。
どちらさんも平和な家庭を築きましょう。