この記事に接して、私は複雑な感情を抱いた。

どこかに書いた記憶があるのに、記事を検索してみたら出てこなかったので、改めて書き直す。(細かい部分に関して記憶が曖昧になってしまった点はご了承いただきたい)。

 

私は、一回だけ石破氏のミニ講演会に出席したことがある。

東海高校の講堂で行なわれたものだったが、比較的よく覚えているのは質疑応答の場面だ。

 

Q. 日本も空母を持つべきなのでは?

A. 空母一隻が○千億円で、一隻がメンテナンス中にもう一隻が活動する必要があるから、少なくとも二隻は必要になる。

 

だから、○千億円×2で△千億円。

 

で、それに搭載する艦載機は一機●十億円、少なくとも一隻あたり二機は積む必要があるから、×2で▲十億円。でもってさっき言ったように、空母は二隻必要だから、さらに×2で■億円。

 

それだけの費用を費やして、果たして持つ意味があるのかを考えなければならない。

 

Q. 中国や北朝鮮に対抗して日本も核兵器を持つべきでは?

A. 例えば、スウェーデンとかの北欧諸国は、すぐ隣にソ連という核大国がありながら、全国民が核シェルターに避難する訓練をするといったことで、「核を持たない選択肢」を選びましたよね?

 

 

といった調子で、「一般人が抱きやすい誤解」を解くような回答を羅列したことを覚えている。

で、

 

Q. 次の総理大臣には誰がなれば良いと思いますか?(※当時は民主党政権)

 

といった質問が出た際に、本人が答えようとした瞬間、会場から

 

「石破さん!」

 

という声が挙がって、講堂が大歓声に包まれたことをハッキリ覚えている。

ちなみに、ご本人は照れ笑いしながら、

 

「まあ、民主党にも同じ志を持った人はいますから」

 

と、かなりお茶を濁すような答弁に終始したように記憶している。

 

まあ、ともかく彼は人相が悪いことと、慎重に言葉を選んで記者の質問に答える際に不機嫌に見えるもんだから、メディア受けしないのだと思う。

 

私はというと、「会ってみて印象がガラリと良くなる政治家」というものに初めて出会った。

一方、私は会ったことはないのだが、逆にマスコミで良いことばかり書かれていたのに、「会ってみてガラリと印象が悪くなる政治家」の典型は田中真紀子だったという。

 

何か困ったことがあって地元民が陳情に行くと、その対応ぶりや受け答えに失望したんだと。

 

最後になるが、石破氏がアベノミクス批判の論陣に加わったのは何が何でも総裁選に勝つための戦略の一環だと私は信じたい。

政権交代直前、つまり自民党が政権を奪還する直前に行なわれた2012年の総裁選で、石破氏は圧倒的な地方票を得て、単独一位の得票を獲得した。

 

得票数は

 

石破茂199 安倍晋三141 石原伸晃96 町村信孝34 林芳正27

 

だった。
ところが、誰一人として過半数の得票でなかったために「国会議員のみによる決選投票」が行なわれた。そして
 
安倍晋三108 石破茂89

結局、(党内基盤で負けたという)このときの苦い思い出があるもんだから、決選投票になったときのことに備えて、党内の反安倍勢力を何が何でも取り込む決心をしたんだと思う。
だから、アベノミクス批判の会合に出ているんだと。
 
もっとも、実際に総裁=総理になったら優秀な人間を経済担当に据えて自分が今まで言ってきたことを封印することを期待したい。
 
これは悪い例だが、あのトランプ大統領はかつて捕虜に対する拷問に賛同していた。

しかし、海兵隊上がりの猛将マティス氏を国防長官に起用した後、そのマティス国防長官が拷問に反対したため、
 
「彼に任せる」
 
と持論を封印した。
 
浜田宏一先生の流れに連なる人間を日銀理事や内閣参与に起用するかどうかが、鍵になるだろう。


 

本当は、コメント欄に記入する形で応答したかったのに、粘着気質の人間によって荒らされているので、リブログ形式にしました。

 

さて、人手不足がアベノミクスによるものか、生産年齢人口年齢の減少によるものであるかというという点ですが、血祭り氏のブログ中にありますとおり、

 

生産人口年齢の減少率>就業者数

 

であれば、金子教授の説は間違っており、

 

生産人口年齢の減少率<就業者数

 

であれば、アベノミクスの結果かどうかは別として、景気の上昇ということになります。

もっとも、厳密に言えば「生産年齢人口」には(働けない重度の)身体障害者やニート、引きこもり、さらには「働くのを諦めてしまった人」(自発的失業者)も含まれることが想定されます。

 

また、就業者数にも「障害者枠」など、企業が義務的に設けている枠もあるだろうから、それも考慮しないといけない。

 

つまりは、上記のことを加味してデータを補正して検証しなければ、真相は明らかにならないわけで、これは金子教授の言説に専門家の方々がどう反応するのかを待たなければならないと思います。

 

もっとも、だからといって、血祭り氏の記事を否定するわけではありません。

厳密な数値を計算して提示する暇がないのに、ちゃんとしたデータをいくつか引用している時点で、しっかりしています。

 

さらに言えば、こういった卒論やゼミの演習に使えるテーマを提供している時点で、ありがたく思っている方々が大勢いることでしょう。

もし私がゼミの教官だったら、この記事をテーマにしてレポートを書かせるか議論させるし、学部生だったら卒論のテーマにします。

 

ところで、金子教授の書かれた文章に一つひっかかる点が

 

=====引用開始=====

 

これまで人手不足が表面化しなかったのは、「団塊の世代」が定年を過ぎても嘱託などの形で職場に残っていたからだ。しかし、団塊の世代も65歳を越えて70歳に近づき、さすがにリタイアしていく。中小企業を中心に、その穴を埋めるのに苦労しているのが実情なのではないか。

 

=====引用終わり=====

 

こういった表現は×です。

私がもし、学生時代にゼミの先生(元世界銀行行員の経済学者)に、こんなことが書かれた文章を出したら、雷を落とされたことでしょう。

 

いくら「業績にならない一般向けの文章執筆」だからといって、憶測で物を書いてはいけません。

少なくとも何人かの経営者に話を聞いて

 

これまで人手不足が表面化しなかったのは、『団塊の世代』が定年を過ぎても嘱託などの形で職場に残っていたからだ。しかし、団塊の世代も65歳を越えて70歳に近づき、さすがにリタイアしていく。何人かの中小企業経営者に話を聞いたが、その穴を埋めるのに苦労しているのが実情だという

 

という風に書くべきだったと思います。


 

この記事を読んで思い出したことがあったので、本棚に手を伸ばした。

 

=====引用開始=====

 

ギリシャは、債務返済のために現金化できる資産を売り払ってきましたが、日本には二〇一五年三月末時点で、五七四兆円の金融資産があります。それを負債総額から差し引くと、残りはGDP比で一三〇%弱―。(ポール・クルーグマン、浜田宏一『2020年世界の商社と敗者』講談社 p.114)

 

=====引用終わり=====

 

続けて、浜田先生は政府が莫大な不動産や、官民合わせて三六六兆円(世界一の金額)もの対外純資産のことを指摘し、さらには税収の裏づけ(あるいは国債の担保)となる家計の金融資産も七百兆円あると明示します。

 

血祭り氏が仰るとおりなのですが、まさか財務省が資産について「売れない」と言い訳していることは知りませんでした。もちろん、増税の必要性について説いてまわっていることは知っていましたが。

 

ちなみに、このあいだ恩師の経済学者の先生と会った際に、見解を聞いてみたら浜田先生と同じでした。

もっとも、その先生が(私と出会う前に)長年教鞭を執られた某国立大学では反アベノミクス&増税肯定派が幅をきかせているようですが。

 

―だだし。

この話題について言及すると、頭が痛くなることや、不安になることがあります。

 

まず、かの三橋貴明は、この点に関しては正しいことを言っているということ。

つまり、玉を掲げて石をたくさん、くっつけた言動をしているもんだから

 

「財務省の洗脳から目が覚めました!」

 

なんていう、絶賛のコメントが彼の本に寄せられたり……。

最初から、「ノーベル賞に最も近い男」と言われ、実際にノーベル賞を獲ったクルーグマン教授とツーカーな、浜田先生の本を最初から読めばいいのに……。

 

あと、もう一つの不安は、果たして財務省とかが出してくる数字が正しいのかということ。

最近、森友学園絡みで報じられたけど、今月に入ってから財務省はシステムの更新をして、過去の文章などの記録が発掘できないようにしてしまった。

 

それと関連して、思い出したのが、かの「消えた年金問題」。

本当に日本には、それだけの金融資産があるのだろうか?もしかしたら、本当は、ちょくちょく取り崩しをしていて、帳簿上の数字より少なくなっていたりして……。

 

まあ、それはともかく、かつて消費税が8%から10%に上がった際、各省庁が税収UPを見越して予算の分捕り合戦をしたことを見るに付け、私は増税よりも金融資産の取り崩しを進めるべきだと思うんだけどね。

ケインズの代表作『雇用・利子・通貨の一般理論』(1936)の最後には、こう書かれている。

 

=====引用開始=====

 

しかし現代の風潮を別にしても、経済学者達と政治哲学者達の思想は、それが正しい場合、そして正しくない場合、両方において一般に思われているよりはるかに影響力を持っているのだ。はっきり言うと、それ以外に世の中を支配しているものは、ほとんどない。どんな知識人の影響からも完全に免れていると信じる実務家は、たいてい死んだ経済学者の奴隷である。天の声を聞いているという権力の座にある狂人は、過去数年前の非実用的なヘボ文士から、その狂気を抽出しているのである。私は既得権益の持つ力が、思想の緩やかな浸透に比べて大いに誇張されていると信じている。確かに、思想はすぐに浸透するのではなく、ある一時期が過ぎた後に行き渡る。なぜなら、経済学、政治哲学の分野では二十五歳か三十歳を過ぎてから新しい理論に感化される人は多くないからだ。よって公務員、政治家、そして扇動家でさえも現代の出来事に当てはめている思想は、おそらく最新のものではない。しかし、遅かれ早かれ、善に対してか悪に対してか、危険なのは既得権益ではなく思想なのである。

 

※ケンブリッジ大学出版局から出ている全集のVol.Ⅶpp.383-384の私訳

 

=====引用終わり=====

 

「公務員、政治家、そして扇動家でさえも現代の出来事に当てはめている思想は、おそらく最新のものではない」

 

という部分は、非常に示唆に富む。

 

この『一般理論』の最後の部分は非常に有名であり、あのマンキュー教授も自身の書いた経済学のテキストで引用をしている。

で、そんな煽動家の一人である三橋貴明も、この部分を引用している。

 

=====引用開始=====

 

 ジョン・メイナード・ケインズは名著「雇用、利子、お金の一般理論」を、「考え方」「思想」「発想」の重要性を強調することで結びました。

 

「経済学者や政治哲学者たちの発想というのは、それが正しい場合にもまちがっている場合にも、一般に思われるよりずっと強力なものです。というか、それ以外に世界を支配するものはほとんどありません。知的影響力から自由なつもりの実務屋は、たいがいどこかの破綻した経済学者の奴隷です。虚空からお告げを聞き取るような、権力の座にいるイカれた連中は、数年前の駄文書き殴り学者からその狂信的な発想を得ているのです(講談社学術文庫「雇用、利子、お金の一般理論」P508)

 

「考え方」が世界を支配する

 

=====引用終わり=====

 

なぜ、三橋が定番とされている塩野谷祐一訳、東洋経済新報社版を参照しなかったのかは不明だが、おそらくそれ以前にクルーグマンの著作を山形浩生氏が訳したものを読んで楽しかったと書いていたことがあることから、その延長である可能性が高い。

 

さて、前置きが長くなったが、ここからが本題である。

山形浩生氏は、現在ポール・クルーグマンの著作をほぼ独占的に翻訳をなさっているのだが、そんな氏の活動に、私は疑問を感じ始めたのだ。

 

まず、訳語の選び方や語り口が不適切ではないのかと思うことが多々出てきた。

例えば、氏の翻訳による『不思議の国のアリス』は、とても子供向けに書かれた本とは思えない文章に訳されていた。

 

 

↑文庫版で出ていたのに、いつの間にかKindle版のみに。

しかも、低評価……。

 

ただ、それでも必要に迫られて、『貧乏人の経済学』を通読した。

 

 

で、上記の本を携えて、とある経済学者の方とお会いしたときの出来事である。

私がこの本を持っているのを見て、その先生は開口一番

 

「翻訳が変だよね」

「原文で読んだ方がいい」

 

私は、英語を読むのが遅いので、翻訳のおかしさに首をひねりつつも、時間の節約のためにこの翻訳版を買って読んだ。

そういった事情を説明したところ、その先生は思いもがけないことを言い出した。

 

あるとき、偉い経済学者の先生方が大勢集う会議があって、それに行った時に体験したこと。

先達や大家に囲まれる中、一人音を立てて物を食っている輩がいた。

 

当然、まわりは

 

「おい、あいつは誰だ?」

 

と、ヒソヒソ話を始めた。

すると、誰かが

 

「ああ、あいつは山形浩生だ」

 

と言ったんだと……。

 

氏が訳したクルーグマンの本をこれからたくさん読もうかと思っていたんだけど、これじゃあ……。

最近思うのだが、TPP反対論者がトランプ政権によるTPP抹殺を喜んでいるのは、

 

「自分達がついた嘘がバレずに済んだから」

 

じゃないのかと、勘ぐってしまう。

もし本当にTPPが予定通りに発効して、自分達の嘘がバレたら、書いた本がすぐ絶版になって印税が滞るからじゃないのかと。

 

そして、その一人と目される三橋貴明のブログには、食料安全保障(フードセキュリティ)に関する記述がたくさんある。

だが、どんな理屈をつけようとも、どんな変種を生み出そうとしても、そこで展開される「理論(屁理屈)」は新しいものではない。

 

以下は、ジョン・ステュアート・ミル(1806~1873)が1848年に出版した『経済学原理――社会哲学への若干の応用を含む』からの引用である。

 

=====引用開始=====

 

生存のための食糧という点について見れば、保護主義者達の口実は度々、おまけに徹底的に反論されているので、ここではほとんど言及する必要がない。最も食料の供給が豊富であると同時に、それが絶え間なく行なわれている国というのは、最も規模の大きい輸送網から補給を受けているのである。一度に世界中の国々と戦争になるというような、起こりそうもない危険に基づいて包括的な制度を構築するのは馬鹿げている。また、海上では劣勢であったとしても、一国全体が一つの都市のように封鎖されうると考えたり、あるいはわれわれは外国産の穀物を取り上げられたくないと思っているが、それとは反対に外国の食料生産者たちは有利な市場を失いたくないと思っていないと考えたりすることも、馬鹿げていることである。

 

※末永茂喜訳による岩波文庫版を参照しながら、原文を訳出

 

=====引用終わり=====

 

「起こりそうもない危険に基づいて包括的な制度を構築するのは馬鹿げている」

 

……。

結局のところ、偉大な思想家が書いた文章だけが残って、そういった馬鹿げた著作・冊子・パンフレットが後世に伝わらなかっただけなんでしょうね。

 

で、そういった物は一部の古典研究家や思想史研究家にしか知られることがなくなって、同じ手法で書かれた馬鹿げた文章がまた現れるのだと。

 

ちなみに、ついさっき、非常に読み応えがあるブログの存在を知りました。

 

 

 

いやー、非常に丹念に調べていて、素晴らしい!

よっぽど時間があって反論文を練る時間がない限り、三橋氏のブログは読まない。

 

だから、最近はほとんど読んでいない。

しかし、斜め読みをすると、氏は講演会やら本の執筆で死ぬほど忙しいことを(自画自賛をこめて)書いていることが多々あることがわかる。

 

そんな人に対する忠告を見つけた。

J.S ミル著『自伝』の中に書かれている。

 

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%AB%E8%87%AA%E4%BC%9D-%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%9C%AC%E6%A3%9A-J-S-%E3%83%9F%E3%83%AB-ebook/dp/B00NY5IV7C/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1484731575&sr=8-2&keywords=%E3%83%9F%E3%83%AB%E8%87%AA%E4%BC%9D

 

========以下、引用==========

 

高尚な文学や思想で業績を上げられるだけの能力を持っている人には、いつまでも新聞や雑誌への寄稿に頼って生活することは奨められない。まず、生計を立てる手段として不安定である。信条に反することは書かないという良心的な書き手であれば、なおさらだ。

 

だが、もっと重大な理由は、生きるために書く文章は長く生き残れず、全力を投じる対象にもならないことである。未来の思想家を育てるような著作を書き上げるのは膨大な時間を要するうえ、完成してもなかなか注目され評価されるにはいたらないから、これを生業とするわけにはいかない。

 

文筆だけで食べていこうとすれば、結局は埋め草のような文章、よくても大衆向けの文章を書くことになる。こうして生活のための執筆に追われれば、自分のやりたい研究に充てる時間はわずかしか残らない。しかも事務仕事をする勤め人に比べて余暇はすくなく、頭ははるかに酷使され消耗させられる。(pp.71-72)※読みやすくするために改行を施した

 

=========引用終わり=======

 

いやはや、見事な慧眼ぶりである。

三橋氏は、ちゃんと経済学に関する研究をしているのだろうか、あるいは研究に充てる時間をちゃんと確保しているのであろうか?

 

なお、少し補足しておくと、ミル自身は東インド会社で事務員をしながら著述活動を続けた自分の境遇を描写したうえでこう書いている。

 

また、一般的にはそうであるものの、自分の父は特別であったとも書いている。

すなわち、彼の父ジェームズ・ミルは結婚して子供がたくさんいる状況で、ずっと筆一本で借金もせずに生活してのけた。

しかも、危険思想のレッテルを貼られ、有力者や資産家から反発を買うような文章ばかり書き、自分の信念に反することは、どんなに頼まれても絶対に書かない。

そんな厳しい環境の中で、驚くべき早さで後世に残るような大著『英領インド史』を書き上げ、しかも一日の大半は学校へ行かせなかった自分の子供達の教育に費やしていた。

 

まさに超人である。

長男であるJ.S ミルが十三歳になったとき、彼はやっと東インド会社に職を得るのだが、それまではずっと執筆のみで家計を支えていた。

だから、J.S ミルにとって父は特別なのである。

 

世の中にいる「評論家」の人々の中で、上記の記述があてはまらない人は、どれくらいいるのだろうか?

私は既得権益の持つ力が、思想の緩やかな浸透に比べて大いに誇張されていると信じている。確かに、思想はすぐに浸透するのではなく、ある一時期が過ぎた後に行き渡る。なぜなら、経済学、政治哲学の分野では二十五歳か三十歳を過ぎてから新しい理論に感化される人は多くないからだ。よって公務員、政治家、そして扇動家でさえも現代の出来事に当てはめている思想は、おそらく最新のものではない。しかし、遅かれ早かれ、善に対してか悪に対してか、危険なのは既得権益ではなく思想なのである。(ケインズ『雇用・利子・通貨の一般理論』私訳)

 

十代、二十代の多感な時期に経済学の入門書や初級テキストを読んでおかないと、こんな文章を書くようになってしまうんですね。

 

ノーベル経済学賞は「ノーベル賞」ではなかった!人類に貢献せず、経済的混乱の要因に

 

ここには失敗例が挙げられているが、経済学賞以外の分野だって、いくらでもケチをつけることができる。

 

偶然にも日本人がらみで起こった出来事だから広く知られているけど、1926年のノーベル生理・医学賞は「最大の汚点」として記録されている。

 

この年の最終選考に残った業績は2つ。

デンマークのヨハネス・フィゲルによる

 

「ラットに(寄生虫に感染した)ゴキブリを食べさせて胃癌を人工的に発生させた」

 

とする論文と

 

日本の山極勝三郎(東京帝国大学教授)が

 

「ウサギの耳にタールを塗って皮膚癌を発生させた」

 

とする論文。

結局、受賞したのはフィゲルだったが、後年、彼が主張した「胃癌」は癌ではないことが再現実験と残した標本から判明した。

一方の山極教授が残した標本は本物の皮膚癌。

 

完全に誤った研究実績に賞が与えられてしまったのである。

だが、こういった理由からノーベル賞が剥奪されたり取り消されたりしたことは一度もない。

 

また、化学肥料の製造方法を確立したドイツのフリッツ・フーバーは第一次世界大戦が終結した1918年にノーベル化学賞を受賞したが戦時中、毒ガス兵器の開発を主導した。(そのことに抗議して妻は自殺)。

 

それに、ノーベル物理学賞の歴代の受賞者には、原爆をはじめとする核兵器開発に携わった人間がズラリ!

 

ノーベルは遺言書で、賞の対象者を「人類のために最も偉大な貢献をした人」としている。物理学をはじめとする自然科学であれば、ノーベルのいう「偉大な貢献」は具体的にイメージしやすい。

 

って記事の中にはあるけど、実際にはやはり

 

「その学問において、どれだけ重要か」

 

ということが受賞の基準なのだ。

化学兵器や核兵器といった、人類の負の遺産を作り出した人間が「人類のために偉大な貢献をした人」として受賞するということは、一般人からすれば不愉快極まりない。

だが、学問的には「偉大」な発見や発明をしたから、受賞するのだ。

 

加えて言えば

物理学賞を共同受賞した3人の日本人研究者が発明した青色発光ダイオード(LED)は、照明や携帯電話用バックライト、大型ディスプレイなど幅広く実用化されている。

なんてことも書いてあるけど、このあいだ会った物理学者の知人は

 

「何で、中村修二さんが受賞するかな……」

 

と愚痴をこぼしていた。

 

共同受賞者である赤碕勇氏や天野浩氏の方が理論と開発で貢献したのに対して、中村氏は「製品化」といった側面が強くて受賞する理由がわからない、というのである。

 

彼が製品化に際して会社から十分な対価を得られなかったことなどから、あんなに偏屈になったと信じている私は

 

「まあ、大量生産できるような技術を確立して、LEDで光の三原色を作り出せるようになったのだから、いいんじゃない?」

 

と、彼を弁護するようなことを言ったが、学問の世界での評価と世間の感覚っていうのはたいていズレているものなのだ。

 

1720年、イギリスで起こった南海泡沫事件(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B5%B7%E6%B3%A1%E6%B2%AB%E4%BA%8B%E4%BB%B6#.E3.83.90.E3.83.96.E3.83.AB.E5.B4.A9.E5.A3.8A.E3.81.A8.E8.B2.AC.E4.BB.BB.E3.81.AE.E8.BF.BD.E5.8F.8A)は意図的な不正経理によって引き起こされたバブルであった。

バブル崩壊直前、王立造幣局の長官をしていたアイザック・ニュートンはバブルの加熱に嫌気が差して、手持ちの南海会社株を売り始めたが、結果的に売り抜けに失敗した。

 

暴落直前、「バブルはいつまで続くのか?」という質問を投げかけられた際に

 

「天体の動きは計算できるが、人間の狂気は計算できない」

 

と言ったとも、あるいは損失を被った後に理由を尋ねられて

 

「群集の狂気が計算できなかったからだ」

 

と釈明したとも伝えられている。

 

この偉大なる科学者は現在の貨幣価値に換算して240万ポンドも損失を出したと姪が書き残している。

本日のレート(1ポンド=約132円)を参考にすると、約3億1680万円!

 

ただし、買った時と売った時の差額なのか、それともそれだけ借財を背負ったのかは判然としない。

 

もっとも、これだけの損失で済んだのは被害者の中でも幸運な方で、数多くの破産者と自殺者を生むという悲劇が起きた。

 

って、何で急にこんなこと書くのかって?

 

これは極端な話だけど、詰まるところ

 

「計算ができない、あるは難しい」

「数値を測定できない、あるいは測定するのが困難」

 

という要素が入ると、一流の数学者でも計算を誤るということ。

だからこそ、経済予測は難しいし、現状認識でさえ専門化の間で意見が一致しないことがしばしばある。

 

でも、だからって経済学者や経済学そのものをバカにするのは、的外れ。

例えるならば、地震の予測が出来なかった、あるいはできないからと言って地震学をバカにするようなもの。

地震だって、起こってから発生の理由とかがわかるものだし。

 

↓はっきり言って、何から手をつけていいのかわからないような酷い文章。

http://toyokeizai.net/articles/-/137026

 

今回は取り急ぎの対応として、南海泡沫事件のことを書いた。

ちなみに、ニュートンと違ってヘンデルは売りぬけに成功したと記事中に書かれている(ただし、出典が明示されていないため間違った情報かもしれない)。

 

ジョン・F・ケネディの父、ジョセフ・P・ケネディが1929年の株価暴落直前に相場師を辞めて損失を被らなかったのに対し、貨幣理論の大家であり「フィッシャー方程式」に名を残す経済学者アーヴィング・フィッシャー(イェール大学教授)は暴落を予想できず、しかも暴落後も回復すると言い続けて自らも莫大な損失を被った。

 

じゃあ、ヘンデルがニュートンよりも格上で、ケネディの方がフィッシャーよりも偉大?

違いますよね。

http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/editors/20/20160418/

 

ツイッター上でこの映像について、ジェーニャさんと会話しました。日本語を話している部分を英語に訳そうとして試案を提示したところ、ジェーニャさんに検閲添削されてしまいましたw

 

「間違ってますよw」

「文法の使い方に慣れてない感じですね(*^^*)」

 

ってw

 

===============

 

キャスター:日本アニメつまりアニメーションには、世界中にファンがいます。ですが、その業界で働く外国人は、そう多くはありません。そこで働いている、あるロシア人女性は声優として日本で何年も苦労してきました。NHK国際放送のMisato Kosugeが、彼女の話を聞くため舞台裏に迫ります。

Newscaster:Japanese anime or animation has fans around the globe. But not many foreigners work in the industry. One Russian woman who does has struggled for years as a voice actor in Japan. NHK Worlds Misato Kosuge takes as behind the scene to hear her story.
 

(映像素材)西住みほ:パンツァー・フォー!

(Footage)Miho Nishizumi:Panzer Vor!
 

ナレーション:劇場版『ガールズ&パンツァー』は11月の公開から興行収入が急上昇しています。戦車戦をスポーツとして行なう少女達の物語です。

Narration:'Girls und Panzer der Film.' has been booming at the box office since its November release. The story is about girls who practice tank warfare as a sport.

 

ジェーニャ:こんにちは、私の名前はジェーニャです。そして、女性声優として日本で働いているロシア人です。私の最新の役はアニメ『ガールズ&パンツァー』のクラーラです。

「パンツァー・フォー!」

JenyaHello, my name is Jenya and I'm Russian working in Japan as a voice actress in Japan. My latest role is Clara from anime'Girls und Panzer' Panzer for!

 

ナレーション:ジェーニャさんは日本でただ一人の純ロシア人「せいゆう」つまりアニメ声優です。アニメ声優という職業は彼女の夢でした。ですが、就くことは簡単ではありませんでした。11年前に日本へ移り住んでから、彼女は険しい道のりを歩み始めたのです。
Narration:Jenya is the only ethnic Russian "seiyu," or anime voice actor, in Japan. The job is her dream, but getting it wasn't easy. She started the uphill climb 11 years ago when she moved to Japan.
 

ジェーニャ(収録中):そのくらい、常識です。しかもその後に、隠れて牛乳を一気飲みしている秘密も知っています。(微笑み)

Jenyarecording):Its obvious. I also know the secret that she drinks milk at once hiding from others.(Smile)

 

ナレーション:ジェーニャさんはロシアで三番目に大きな都市、ノヴォシビルスクでアニメを観ながら育ちました。

Narration:Jenya grew up watching anime in the third largest Russian city of Novosibirsk.

 

ジェーニャ:声優になりたいという一心でした。夢でした。大学を卒業して、そして人生で何がしたいのか考えました。みんなと同じように働くか、それともかつて誰もしなかったことを何かするのか?それで、難しい方を選びました。

Jenya:I just wanted to become seiyu,it was my dream. I've graduated university and I thought what I want to do for my life. Just work like everyone, or doing something that nobody else did before? So I chose the difficult part.

 

ナレーション:しかしやはり競争の激しい業界で外国人が役を得るのは難しかったのです。翻訳家として裏方から出発し、デビューまで四年かかりました。

 

そして動物や怪獣など、端役を演じ続けたのです。

 

しかし主要な役を得るために彼女は、猛烈な努力を続けなければなりませんでした。ヴォーカルトレーニングの授業は毎週行なわれます。

 

全力をつぎ込んだものの、ギブアップする覚悟ができた時、歩み続ける方法を見つけました。勇気付けてくれるファンによって。

Narration:And difficult it was for a foreigner to land a role in the highly competitive industry. She started behind the scenes as a translator and it took 4 years to make her debut.

 

And she took on minor roles of animals and monsters.

But to get major roles, she has to keep working hard, vocal training sessions are weekly.

 

When she was all but ready to give up, she found a way to keep going, through her encouraging fans.
 

ジェーニャ(ブログ記事):大事なオーディション、見事に全て落ちました。だからって、負けません!^^

Jenya(from her blog diary):I didn't succeed at every important audition, but I never give up!^^
 

ファンからのコメント:応援してます。

Comment from fan:I am for you!

 

ファンからのコメント:頑張って!

Comment from fan:Hang in there!

 

ジェーニャ:ファンは私にとって、すべてです。その人たちのために、とりわけベストを尽くさなければなりません。なぜなら、私のことを長年見守ってくれているから。

Jenya:Fans are everything for me.I have to do my best for them especially because they've been watching me so many years.

 

ナレーション:そしてファンのためにファン交流会でお返しします。

NarrationAnd she gives back to those fans with meet-and-greets.

 

ファン:お誕生日、おめでとうございます!

Fan:Happy birthday!

 

ジェーニャ:わー、ありがとうございます。かわいい!すごーい!

Jenya:Thank you.It's so cute! Wonderful!

 

ファンの声:あきらめないでずっと頑張ってたから成功したんじゃないかな。彼女のことを一生ずっと応援しています。

The voice of fan:I think she could succeed because she never gives up. I'll be cheering for her as long as I live.

 

ナレーション:励みの源となるものは、他の声優からも来ました。

Narration:Another source of encouragement comes from other voice actors.

 

ジェーナ(ロシア語で収録中):だけどノンナ、あなたはカチューシャの少女時代の写真を一枚も持っていないんでしょ、そうでしょ?

Jenya(recording in Russian):But Nonna, you don't have any photos of Katyusha's childhood, do you?

 

上坂すみれ(ロシア語で収録中):何ですって?クラーラ!どこでそれを手に入れたの?

Sumire Uesaka(recording in Russian):What? Clara! Where did you get that?

 

ナレーション:上坂すみれさんは大学でロシア語を学んだ方で、よく知られた親露家です。彼女とジェーニャは何度か仕事を共にしたことがあります。

Narration:Sumire Uesaka is a known Russophile who studied the language in university. She and Jenya have worked together several times.

 

上坂すみれ:声優界における大切な仲間です。ロシア人声優と一緒に働けるということは、私にとって励みとなることです。

Jenya:Jenya is a precious colleague and it is encouraging for me that I can work with a Russian voice actor.

 

ジェーニャ(日本語):夢を信じていれば叶えるよ、とか日本で声優をやりながら自分の夢に向かって進み続けて、みんなにメッセージを伝えられたらな、と。

 Jenya:As a voice actor in Japan, I'll keep going for my dream. At the same time, I want to deliver the message that dreams are achievable if you don't give up. 

 

ナレーション:ジェーニャは多くの人からの助けと励ましにより、夢に向かって進み続けます。東京よりNHK国際放送のMisato Kosugeがお伝えしました。

Narration:Jenya continues to move toward that dream with the help and encouragement from many people. Misato Kosuge, NHK World, Tokyo.

寝耳に水!


宮間、福元ら岡山湯郷ベル退団へ 指導法相違、結城監督代行も退任

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160728-00010000-sanyo-l33


自分を育てた美作のチームを愛していた宮間選手が、退団なんて、何があったんでしょう!?


なでしこがリオ五輪を逃してからというもの、塞ぎこみがちだったのですが、まさかここまで至るとは!


さて、これからなでしこの主将はどうするのでしょう


川澄選手みたいに、海外に挑戦するのでしょうか?

情報収集と交流も兼ねて。

実際、何度も海外のクラブからお誘いがあったものの、湯郷にこだわったという経緯もあるし。


あの親友のソロ選手と、またプレーというのもありかな。


それとも、恩師の本田監督がいる長野へ行くとか。


いずれにしても、湯郷はもう the end ですよ。