小説か、ドラマのような出来事が実際にわが身に起こったのです。

 

2004年4月1日(平成16年)午前10時ごろ、一本の電話がかかってきた。
中学校、高校で同級生だった、K子さんからだった。
実に46年ぶりの懐かしい声でした。正直、驚きました。
そして電話を切ってから、じわっと嬉しさがこみ上げてきた。

高校時代に、彼女が好きで、好きで、迷って迷って、思い切ってラブレターを出したのです。
ポストに投函する時は心臓がドキドキ。
ラブレターを出した翌日は、学校で彼女の顔を見ることができませんでした。
それとなく横目で彼女を観察するも、いつもと変らない様子に、私は少しがっかり。

それもそのはず、翌日にはまだ郵便は届いてないですよね。

それから、彼女から何の返事ももらう事もなく、高校を卒業してしまいました。
その後の消息は分からず、数年が経ったある日、実家の近くあった兼行酒店の前に立っている彼女の姿を見かけたのです。その背中にはなんと赤ん坊を背負っているではありませんか。
私はショックで意気消沈してしまいました。
(K子ちゃん・・結婚してたんだ・・・)

46年ぶりに懐かしい声を聞いた時、
「ラブレターを頂いた時は、ほんとに嬉しかったのですが、返事する勇気がなくそのまま卒業する事になってほんとにすみませんでした。いつかお詫びをしなくちゃいけないと思いながら生活していました」

と彼女の言葉でした。

この言葉を聞いて真相がわかり少し安心した。
彼女は、二人の息子さんたちはそれぞれ独立し、いま大阪でご主人と幸せに暮らしているようです。

それから、時々彼女と電話で話すようになった。
二ヶ月経ったころ、どちらからともなく、「一度会いましょうよ」
ということになり、6月のある日京都で会った。

京都駅の改札口で待つ約束だった。
あれから46年、K子ちゃんの顔がわかるだろうか?
彼女も私がわかるだろうか?

改札口を出て周りをそれらしき女性を一生懸命探した。
居ない。いないぞ。

しばらくして彼女がやって来たではありませんか。
すぐわかった。
彼女も私の方をじ~と見ながら、「ちっごがわさん?」といった。

思わず、「いや~K子ちゃん」と言ったきり後の言葉が出てこず、手をさしのべ両手で握手をした。

それから、近くの喫茶店にはいり、2時間しゃべり続けた。
私が昔の中学、高校時代の懐かしい写真を持ってきていたので、彼女の隣の席に移り写真を見ながら思い出話がつきない。

昼になってきたので、喫茶店を出て京都駅の二階のレストランで食事をして
駅前の京都タワーにのぼり、話がつきない。

高校時代には勿論二人きりで話したこともなく、46年の経過がこうも変わるのか・・・。

4時ごろに近鉄電車で帰る彼女を見送くって、新幹線で岡山に帰ってきた。