※週刊「モーニング」連載「東京トイボックス」に関する感想です。
ネタバレ覚悟でお読みください。
あれだけ内容にこだわっていたくせに、
1ルートをまるまる「続編でいれようぜ!」とカットしてしまおうとする太陽。
この辺、製作者としては、気持ちスゲーよくわかる。
バグとの戦いは、ある程度を超えると、「ムダ」になる。
バグと長年戦いつづけた製作者であればあるほど、
「最終的には直しようのないバグ」が出来うることをしっている。
それに対してムリに戦いを続けると、
とんでもない致命傷を招きうることも知っている。
だから、こういう決断が「必要になる」ことが良くわかる。
熟練した開発者であればこそ、こういう覚悟はできているのだ。
だからこその、「納得してのカット」であり、あの態度なのだと思う。
無念を叫ぶでもなく、脂汗流しながら最後までねばるでもなく、
現実を見据えて立ち向かう、あの顔なのだ。
……でも、その辺がわからない人は、
本当にこれを理解して、うけとってくれるのか。
序盤のエピソードで、太陽は、
ゲームを面白くするためにギリギリまでねばった。
納期をムリヤリ遅らせてまで、ねばった。
その太陽と、今号の太陽の態度の違いは、
理解できるものなんだろうか。
(いや、今号は星乃側に感情移入してほしいのだから、
理解されないのはむしろ正解なのか?)
今号の星乃の態度は、
「ゲームについて中途半端に知っている新人」がよくとるものである。
このあたり、前述の太陽の態度……「ゲーム作りになれた人の態度」とは
きっちり対比が描かれていることになる。
さらに、その星乃の態度の理由がまったくべつの理由であり、
内面上大きな理由をもつはずの星乃の声が、
一見して、単なる「モノを知らない人間の抗議」になっている点が
非常によくできている。
モノローグを除いてみれば、
「ゲーム開発について何も知らない月乃をたしなめる太陽」
という、前号と同じ状況が、
裏で激変した状況と、星乃の迷いをうけて、
非常につらい立場を演出している。
すごくいい、深い書かれ方だと思う。
アンケート送るぞ~! 最下位になんかさせないぞ~!
3/23、単行本1巻発売らしい。祝(゜∇゜)
単行本2巻までは確定、と本人のサイトにあった。
買うぞ。買うからもっと書いてくれ~。