病院の広告撮影現場に突入した親子喧嘩 | 台南在住日記とか

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病衣を着ているお父さんは元気そうに喋れるので、まるで人間ドックを受けているように見えましたが、実は「たくさんの方がこの段階でお亡くなった」という危ない状態でした。


だから、CCUの中に珍しく起きている患者になりました。


自分で「明日手術って」「さっきは○○検査を受けた」ってLINEや電話で連絡できましたが、気分が微妙。


リスクが少ない手術だとしても、リスクがあります。


オペ室が「お父さんという人間の存在」がこの世にいるかいないかの境になるかもしれないので、少しだけ「元気に見えるから、このままではダメなの?」って考えました。


でも、このままでは弱くなっていきますから、無理ですよね。


元気そうに見える時に、しっかり治療しなければなりません。


前に進むしかありませんでした。


リスクがあっても、それを無視して進むしかありませんでした。



退院してから、初めて家族全員揃って食事をする今日に、お母さんもお父さんも「生きてオペ室から出られないかもしれないってすごく不安だった」って言いました。


誰でも、それに対して不安していたのに、言わなかったのです。


お父さんは「心配する必要がない」って明るく振る舞っていました。

お母さんは「大丈夫だから、一人で頑張れる!」って強がっていました。

私と姉は漠然としてスケジュールとかお金とか、無機質なことを話し合っていました。


無理に不安を無視していたから、みんなの心のバランスが崩れたかもしれませんね。

だから、すぐにキレて激しい喧嘩になってしまう状態でした。

「荷物を私は持つ!」という些細なことでも、激しい喧嘩になってしまいました。


「荷物を私は持つ!」
「奪わないでよ!自分で持つ!」
って、ある日、お母さんと激しく喧嘩しながら、病院のレストランエリアに入ると、なんかカメラを見かけた気がしました。

すごく怒っているから、それを気にする暇がなくて、喧嘩を続けました。


そして、喧嘩が一段落してから、ようやく気づきました。


広告映像の撮影現場に突入してしまったのです。

たぶん、賑やかで自然な雰囲気が欲しいから、特に「どいてください」とか言わなかったので、何も知らない私達は主役の前で盛大に喧嘩してしまいました。

監督さんが欲しいのはたぶん険悪ではなく賑やかな雰囲気ですよね。

だから、撮影が私達のせいで中止してしまいました。


ごめんね。