お父様は紅の瞳を見て、インペリアルトパーズに気がついた。
『・・・あいにくですが・・・娘はまだ幼い。侍女を何人かお連れになっては?』
紅は鼻で笑って、
『こっちもまだ9歳だよ。それに見も知らない女がぞろぞろいても楽しくない。女じゃ遊び相手にもならないしな』
と言った。
私はそういう意味でも必要とされていたことを知った。
『・・・娘には幸せになってもらいたい・・・華瑶苑では夫もみつからないだろうし・・・』
紅の心が軋んだ。
きっと、夫であろうとしてくれていた・・・でもそれは、言葉にはできない・・・
『・・・菫は幸せにする』
紅はそれだけをやっと口にした。
心いっぱいでしてくれた約束――
でもお父様は紅の気持ちに気づいて、難しい顔をする。
『紅子様・・・』
あぁ!紅の胸がつぶれそう・・・!
その名で呼ばないで!その名を拒むことが紅にはできないのだから!
あぁ、それなのにお父様は更に追い討ちをかける。
『・・・貴女は女ですよ』
その時湧いた哀しみ――私に聞かせたくなかったが為の!
なんていう哀しみ!・・・でも紅は泣かない・・・男の子だから・・・!
『菫・・・』
紅は私に微笑みかける――あなたの心はそんなことができる状態じゃないのに!
彼は言いかけて泣きそうになり、うつむいて、『キスしてごめんな』と言ったと思うと窓から部屋を飛び出した。
あまりの哀しみに私はすぐに動けなかった。
紅を傷つけてしまった・・・!
あんなに深く傷つけてしまった・・・!
紅はそんなこと、百も承知だったのに!
わざわざ私の前で口に出した――
『お父様・・・!』
お父様は私を抱きしめる。
私を逃がさないとでもいうように。
『お父様・・・!許さないわ・・・!』