チベット仏教学者多田等観の記念碑を建立・花巻(07/11)
花巻とゆかりの深いチベット仏教学者多田等観(1890~1967年)の生誕120周年に当たり、花巻市の円万寺観音山を守る会(畠山博志会長)は、記念碑を同山の観音堂境内に建立した。等観が詠んだ漢詩や略年譜を石碑に刻み、チベット仏教研究に生涯をささげた等観の功績を顕彰している。14日に来賓を迎え、正式な除幕式を行う。
秋田生まれの等観は単身でチベットに渡り、約10年間チベット仏教を修行。ダライ・ラマ13世からの信頼が厚く、外国人として初めて最高学位のゲシェ(大僧正)に任ぜられた。
多くの仏典、書籍を持って帰国し、日本のみならず世界のチベット仏教研究に大きく寄与した。戦時中は、実弟の住む花巻に疎開し、貴重な資料が花巻に残された。戦後は観音山に一燈庵を建て、自宅がある千葉県と行き来し、地元の住民ともよく交流した。ダライ・ラマ13世から贈られた観音像は観音堂に寄贈している。
今回の記念碑は土台を含め高さ2メートル、幅2・9メートル、奥行き1メートルで、秋田産の自然石やインド産の黒御影石を使用。ちょうど生誕120周年に当たる今月1日に建立した。碑には、一燈庵で等観が詠んだ漢詩「萬峰環一菴門開雲自入」や等観の略年譜、功績を記した紹介文を刻んだ。
同山を守る会が120周年に向けて2009年10月から記念碑の建立を計画し、住民の浄財や市から補助などを受けて実現した。最晩年まで等観と親交のあった畠山会長(76)は「偉ぶるところの全くない人で、等しく付き合っていただいた。花巻の文化や観音山の発展に尽くされた功績はとても大きい」と語る。
記念碑の除幕式は、14日に催される観音堂夏祭りの中で、大石満雄市長らを迎えて行われる。【岩手日日新聞社
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