またひとりで
ごめん、ごめん、知っていたのに。
本当は知っていたのに、気づいてあげられなかった。
あぁ、なんで忘れていたんだろう。
感情表現が豊かなきみが、悲哀だけはいつも心の中に閉じ込めて、
誰にも知られないよう吐きだしていることを。
笑顔の裏で
純粋で屈託のない笑顔だと、よく笑う子だと、それがきみだと思っていた。
けれど、その裏側には、年をかけて広がり化膿した深い深い傷が、
今もずっと切り口を広げていたんだね。
一見無垢なきみの笑顔。本当は悲鳴を上げていたんだね。
誰にも気づかれないよう、そっとそっと押し殺した切ない悲鳴を。
誰かを想って
遠いところにいる人を想って、
耐えきれずこっそりときみが泣いているのを知っている。
つらい、つらい、苦しい、寂しい......会いたい
彼を想って泣くきみの横顔は、酷くキレイ、で
その涙を止めてあげたいけど、それは私の役目じゃないから。
何もしてあげられないけど、せめてきみが泣きやむまでは、そばにいるから。
僕の代わりに
ふと気付くと、きみが今にも泣き出しそうな顔で私を見ていた。
どうしたの。
と、言うと
私が泣かないからだ。
あなたが、悲しみを表に出そうとしないから。
本当は泣きたいのに、それを飲み込んでしまうから。
泣くことさえままならないあなたの代わりに、泣いているのだ。
と、返ってきた。
あぁ、私は泣きたかったのか。
恋を知って
人を好きになることを恐れていた、きみ。
心がその人のことでいっぱいになって、占領されてしまうから。
頭が、身体が、目が、心が、追いかけてしまうから。
身動きをとれなくなってしまうから。
だから、好きになることが怖いのだと言っていた、きみ。
心配だったんだ、きみのことが。
人を好きになることを頑なに拒むきみ、が。
だから、彼を想って泣くきみを見て少し安心した。
やっと、恋を知ったんだね。
愛しいと思えるようになったんだね。
きみが泣く。