みーことあやのんの卒コンがすでに終わってしまったが、その前に先週行われたアンジュルムとアップアップガールズ(仮)のツーマンライブのリポートから。

去年の7月に赤レンガ倉庫で行われたアイドル横丁で、とても印象深いシーンがあった。

それはエンディングで出演者全員がステージからはけていくときに、あやちょと佐保ちゃんがすごく仲良さそうに一緒に観客席に手を振りながら舞台裏に去っていったシーンである。

当時のことなど知りもしないくせに「あやちょと佐保ちゃんはエッグ時代から仲良しだったよなあ」などと在りし日のハロプロエッグを夢想し、それはとてもほっこりとするシーンだった。

さらにいえば、その日のメインステージのトリを務めたアンジュルムのライブを、出番を終えたアプガのメンバーが関係者エリアで振りコピをしながら嬉しそうに観ていたのをよく覚えている。

そのときはまさか両者のツーマンライブが実現するなんてことは夢にも思っていなかったが、今回のライブは「アンジュとアプガが一緒にやったら面白いだろうな。まあ無理だけど」とヲタクの飲み会での雑談レベルのことが現実に起こったという意味でも画期的なイベントだった。

開演前から場内は異様な熱気に包まれ、とにかくやたら暑い。仮Tを着ている客が目立つが、自分のまわりはアンジュルムの客のほうが多かったように思う。

対バンといっても客席内のヲタ同士に物々しい雰囲気は皆無で、これはアンジュは勿論だがアプガも源流を辿っていけばハロプロに帰結していくわけで、同じDNAを持っている同胞のような意識が互いに働いていたのだろうか。

ステージが暗転しライブがスタートする。

「次々続々」のイントロが聞こえ、下手側からアンジュルムが、上手側からアプガが登場する。

やがて「次々続々」にオーバーラップするように「upper rock」が聞こえてくる。いわゆるマッシュアップというやつだ。

BPMの数値が二曲とも殆ど同じなのでこういった手法が成立するのだが、「次々続々」を歌うアンジュルムの横で「upper rock」を踊るアプガの対比が不思議な興奮を喚起する。

やがて攻守が入れ替わるように、今度はボーカルパートが「upper rock」に移行し、その横で「次々続々」をアンジュルムが踊る。

カッコイイという言葉以外に出て来ない。

ひょっとしたらこれはとんでもなく良いライブになるのではないだろうか。

その後、アンジュとアプガがそれぞれ30分程度のライブを行う。

アンジュルムのライブを観るのが、いつ以来なのかまったく思い出せないが、近年の代表曲を中心とした安定のセットリストでこれまた良い内容だった。 

これだったらアプガ目当てで観に来た人もわりと楽しめたのではないだろうか。

後攻のアプガも取り立てて普段と変化のある内容ではなかったが、場内の半数がアンジュの客だということを考えれば、とりま妥当な選曲だったと思う。

そして問題は後半のコラボメドレーである。
 
グループの人気だけで言えばアンジュルムに遠く及ばないアプガだが、両者がステージ上で相対すると、意外なことに位負けしているという感じはまったくしない。 

これはアンジュの殆どのメンバーよりもアプガのほうが、アイドルとしてのキャリアが長く、また年齢が上であるということからくるものだろうか。

アンジュ+アプガの総勢17人による「パーリーピーポーエイリアン」からコラボメドレーはスタートしたのだが、その時点で自分の興奮はマックスに達し、その後も硬軟をうまく織り交ぜながらステージは進行する。

これまでにもアプガは相当数のコラボを行い、自分もかなりの回数を観てきたつもりだが、その中でも最高傑作だと思ったのが、二年前にTIFで行われたLinQとの共演だった。

今回のアンジュルムとの対バンはLinQのときに起きた化学反応と性質は違っていたが、中身の濃さではそれに匹敵するか、あるいはそれ以上の内容だったと断言したい。

アンジュルムにしてもアプガにしても、この手のコラボに有りがちな相手に対する無用な気遣いがなく、観客以上に自分達も楽しんでいるのだということが観ていてすごく伝わってきた。やはりこれはアンジュの古参メンバーとアプガとが10年来の知り合いだということが大きい。

「夢見る15歳」でのあやちょと佐保ちゃん、「バレバレI LOVE YOU」でのタケもといかみこの投げキッスなど見せ場はたくさんあったが、もっとも多幸感に満ちていたのは本編ラストの「スキちゃん」だろう。 

コンサートの最初に感じた、とんでもなく良いライブになったことを実感しながら、自分は力の限り大声でスキちゃんコールを叫んだ。