それなりに長い間、ヲタ活をしていれば、どんな人間だって、それぞれ忘れることが出来ないような私的アイドルというものが存在するのではないだろうか。
今回の催しの中心人物であるACCOさんは自分のヲタ史の中でも、かなり思い入れが強い人物であり、今でも自分の中では特別な存在だと思っている。
彼女が15年以上前に所属していた東京パフォーマンスドールはハロプロやAKB48といった今日のアイドルグループの礎や方法論を最初に築いたグループとして今では伝説的な存在だが、当時の自分はTPDのライブを観ることが生活の中心であり、彼女達を応援することが人生のすべてであった。
その中でも、もっともお気に入りのメンバーがACCOだったのである。
ジャズダンスをバックボーンに持った彼女の踊りのポテンシャルの高さは当時から際立っており精鋭揃いのTPDの中でもランクがひとつ抜けていた。
鍛え上げられた身体の美しいフォルムとエキゾティックな佇まい。
そして全身がバネのようにしなやかでキレがあるダンスの美しさは、まるで踊りの神が宿ったかのようであり、オレは彼女がステージで踊るのを観るたびにどんどんその魅力に魅せられていった…。
あらゆる角度から見て自分にとっては最高の存在だったのだ。
他のどんなアイドルやメンバーを観ているときよりもステージ上で彼女が動いている姿を観ているときが自分にとっては至福の時間だった。
余談だがその当時の後期TPDには沖縄から上京してきたばかりの16歳の仲間由紀恵が在籍していたが、彼女は、その頃から一際目立つ美少女ではあったが、ダンスを含めたステージ上の表現力という意味においては到底ACCOの足元にも及ばなかったと思う。
アイドルヲタなら一定のキャリアを積めば記憶の中に「私のアイドル」という存在を持っているはず。
そして、その記憶が財産になり、人をいつまでもヲタとしてこの世界につなぎ止めておく役割を果たしているのではないだろうか。
幸か不幸か自分にとってのACCOというのはそんな特別な存在であった。
TPD以降、彼女がダンスの指導者として、また大物ミュージシャンのバックダンサーとして活躍していることは噂で聞いて知っていたし、(サザンオールスターズのバックダンサーとして日産スタジアムのライブに出演したのを知ったときは、さすがに仰天した)彼女がその道のスペシャリスト=プロのダンサーとして大成したことは最古参のファンとしては本当に誇らしく、またちょっとした優越感にオレを浸らしてくれた。
「アッコはモノが違うって最初からオレが言ってただろ?」ってところだ。
今回の催しを知ったのも本当に偶然のことであり、彼女がステージに立つ姿を観るのは何と12年ぶりのことになる。
会場のライブハウスは超満員で場内の椅子席はひとつ残らず埋まっていた。
仕方ないのでオレは下手の端で立って観ることにしたのだが関係者以外は全員、着席して見ているため自分の視界を遮るものはいっさいなく非常によくステージが見える。
今回の催しはライブというより発表会といった趣で、ほぼすべての演目をACCO自身が考え、いってみれば彼女が監督、脚本を手掛け、さらには主演を務める作品展ともいえた。
ダンサーが入れ替わり立ち替わりステージ上で演目を行い、当然、その中には彼女の姿もある。
ある場面では同業者のプロのダンサーと、またある場面では自分の教え子達とステージ上で絡むACCO先生。
ときにはハードに、ときにはソフトに、またときにはエロチックに、いろんな表情を見せ緩急をつけながら観客の気持ちを舞台に引き込んでいく。
また作品としても非常に見応えのあるものに仕上がっており、中でもバーレスクをテーマにした椅子を使ったパフォーマンスは(写真を参考)溜め息が出るほど素晴らしかった。
それしても彼女を観ていて何か胸の奧が締め付けられるようなこの気持ちの高ぶりはいったい何なのだろう。
さすがに20代の頃に比べると外見は老いたとはいえ、踊っているときの雰囲気や表情が昔のACCOとまったく変わっておらず、そんな今の彼女の姿が以前の彼女と重なり、いろんなことを思い出してくると、ちょっと泣きそうになった。
「デジャヴ」ってやつでしょうか。
またあれから15~6年の月日が経過しているというのに、今尚、彼女は「表現者」として自分に素晴らしい作品を提供してくれているという事実。
本当に夢のようである。
ラストに出演者が舞台に集まり「ダンシング・クイーン」を歌ったのだが、おそらくそのときにステージ上の彼女は客席にいたオレの姿に気付いたのだと思う。
つまりレスがきたのだが、これにはマジで高まった。
この高まった感覚も本当に懐かしい。昔、TPDのホールコンサートで舞台の上のACCOから激レスがきて心肺停止しかかったのを思い出したわwww
もし今、オレがAKBのコンサートを最前列で観て大島優子が30秒間オレのことを見続けたとしても、ここまで気持ちが高まることはないだろう。
終演後のロビーで12年ぶりにACCOと対面した。
オレも昔みたいに緊張することはなかったし彼女にしても以前のようにヲタを前にして身構えるような雰囲気はまったくなかった。
積もる話もいろいろしたいところだけど、こっちも久しぶりすぎてアタマがよくまわらんので、とりとめのない会話しか出来なかった。
それでもオレのことを覚えていてくれたのが何よりも嬉しかった。
出産の影響か(彼女は一昨年に子供を産んでいる)全体的に身体が丸くなったような気もするが、それでも以前と変わらずキレイだったし本当に素敵だと思った。
ここで、こうして再び再会出来たというのも何かの縁なのだろうか。
そして、現在(いま)こうして昔みたいな気持ちになってACCOのステージが観れるなんてことは夢にも思わなかった。
ACCO先生、オレにとって貴女は今までも、そしてこれから先もきっと特別な存在なのだと思います。