先日のアイドリングに引き続き、またしても六本木の現場ということになる。

STB139という場所には今回、初めて行ったのだがモダンな外観と入り口付近での店員の礼儀正しい応対ぶりからしていつものライブハウスや小劇場などとは明らかに会場の質が違うことを実感する。

フロアの客席にはレストランのようにテーブルと椅子が置かれており、舞台正面の後方には飲食物を運び出すカウンターと厨房が設置されていた。

つまり、このお店はお酒と食事を楽しみながらライブを観賞するという形式のいわゆるジャズクラブであるということを場内に入ってから認識する。

18時開場の19時半開演とかなんで一時間半も待ち時間があるのか意味がよくわからなかったが要するに開演までたっぷりと時間があるのでその間、ゆっくりとお食事でもお酒でもお召し上がりになってお待ちくださいということなのだろう。

こういうスタイルのライブ観賞は初めてだが、あの「A NIGHT AT THE BIRDLAND」のバードランドやエヴァンスやコルトレーンの名演で名高いヴィレッジヴァンガードといった伝説のジャズクラブもこういう雰囲気の会場だったのだろうか。

さて昨年の1st.ライブからもうすぐ1年が経つCHANCEだが今回の公演では今まで定番だった前半の「工場現場の休憩時間」という芝居の設定を大胆に代えてきた。

新しい設定はズバリ「ナースステーション」である。

それに合わせてナースの格好に扮したメンバーがいつものオープニングテーマと共に登場する。

何だかよくわからん挨拶を一応したあとに、いきなりEW&Fの名曲「宇宙のファンタジー」を披露。

ここで当然、比較の対象になるのは、かつて東京パフォーマンスドールが歌っていた同曲となるわけだが、CHANCEヴァージョンの「ファンタジー」には「昔、懐かしいディスコナンバーを恥ずかしげもなく歌う加齢アイドル」という自虐的なギャグが根底にある。

従ってここでの「ファンタジー」にはかつてのTPDのようなシリアスさはなく演出側の意図としてきっと「笑ってもらうべき」ところなのだろう。

続いて歌われた「VIVA ヤキニク」(原曲はこれまた懐かしいBANZAIIのB級ディスコナンバー「VIVA AMERICA」)にしてもSPDのトリビュートといった意味合いはまったくなく、単に日本語の替え歌を披露しましたという以外の意味はないと思う。

EW&FにBANZAIIときて「まさか今宵は70's ディスコ・ソング大会?」と思ったのものほんの束の間で今度はいきなり昭和のムード歌謡を思わせる楽曲にチェンジする。

この70年代のディスコのフロアから伊勢佐木町の裏通りへといきなり瞬間移動するようなシュールな感覚。これがCHANCE演出の妙味なのだろう。

途中、低血圧を自認する観客を舞台の上から客席に引っ張り上げて壇上の椅子に座らせて血圧計を取り付け、その観客をみんなで囲って歌う(踊る)と血圧がどのくらい上がるのか…といった奇妙な生体実験が行われたり、(ちなみに実験台にされた彼の血圧はCHANCEが目の前で歌った前と後とでは上も下も20づつくらい上がっていた…)こういった馬鹿馬鹿しい演目もその他のシリアスな歌や演出もすべて含め色んな意味で「らしさ」に満ちた内容だと思った。

そしてやはりエンディングの「MAGIC NIGHT」は何度見ても感動してしまう。

運営側もしょーもない動画ばかりアップしないでこういう魅力的な曲の動画をどんどんあげればいいのにwww

また、これまでほとんど気にしたことはなかったが今回から髪の色を真っ黒に染め直した風間恵理の歌声がすごく歌唱力に長けていることがわかった。

正直、なんで今まで彼女が気にとまらなかったのか自分の眼力の無さに呆れたわ。

そして毎回、不思議に思うのはCHANCEの客層である。

この日の年齢層はいつもよりもさらに高く「SATISFACTION GUARANTEED」で舞台に上がった北海道から見にきたとかいうオッサンもどっから見ても60前後の取締役常務といった貫禄だった。

この日の公演とか本当に何か企業の接待にでも使われているのだろうか。

さすがに毎回、観ているだけあって最近ではようやくメンバーの名前と顔がすべて一致するようになってきたわけだが、気になるのは今回の公演で次回のライブの告知がされていなかったことである。

まさかとは思うが、例によってまた…なんてことはないだろうな。

…もうこれ以上、オレの楽しみを奪うようなことだけはやめてほしいよ。いやホントに…。