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横浜の赤レンガ倉庫で行われるイベントにアリスプロジェクトのアイドルグループが出演するので早起きして行ってきた。

中でもいちばんの目的はチェリーブロッサムを見ることだが横浜に久しぶりに行ってみたいなという欲求もあったので、ある意味ちょうどよかったかもしれない。

現場に到着し場内を見渡すと赤レンガ倉庫広場にはポルシェが何十台も展示してある。

そのポルシェに関連したイベントの一環でアリス所属のグループが歌と踊りを披露するのだということが何となくわかった。

ステージの奥行きがやけに狭いなと思い、よく見てみるとそれはトレーラーの荷台の側面が開いた状態の簡易ステージだった。

さらにその舞台上にはドラムセットやらキーボードやらの機材が置いてあるので、あんな狭いところでどうやって踊るんだよと思っていたら舞台の下、つまり歩行者天国の大道芸と同じように路面の上で彼女達のこの日の演目は行われた。

アリス関連の野外のオープンイベントというと夏のお台場合衆国以来ということになるのだろうか。

家族連れや一見の一般客が多いという意味においては確かにあのときと状況が似ているが、ある意味それはイベントの内容がおもいっきり一般人に晒されるのでメンバー以上にヲタとしても余計な緊張を強いられることになる。

トップバッターのPrismが登場し早速、前のほうのいつもの客がみんなして盛り上がりだすと、ほら見たことか一般人の冷たい視線が背後から背中に突き刺さっているような気配がwww ヲタですが何か?

ところが、これもまた今までの経験上、よくわかっていることなのだが一般人が初めてアイドルのイベントやそれをとりまく客を見るとへんな好奇心が駆り立てられ「意外に面白いモノ」に映るものなのだ。

目の前のPrismを観ながら冷静に場内を見渡すとヲタ以外の一般人の人達も意外に楽しそうに、この日初めて見る「女子高生風アイドルユニット」を見つめていた。

二番手にこの日のお目当てのチェリーブロッサムが登場。

普段とどこか違った違和感を感じるのはメンバーの視線の位置が自分の視線とほぼ同じ高さにあるからだろう。

チェリブロのメンバーを観ていてアスファルトの上でステップを踏むのは相当、足に負担がかかるだろうなと思う。普段のステージと路面とではどう考えてもステップを踏んだときの吸収力が違う。

それにしても太陽の下でチェリブロを見るというのも結構オツなものであり彼女達のマリン風な衣装も海の近くの開放的な現場の雰囲気とマッチしていてなかなか見映えがいい。

チェリブロといえば先日、トッピングガールズ2.0にうてなとまありんが加入したことにより結果、今後は全員のメンバーがチェリーブロッサムとトッピングガールズとの活動を平行することになったわけだが、ではそのチェリブロ占有率が100%を占めるトッピングガールズを観ているときも果たして自分の中でチェリブロを観ているときと同様に気分が高まるのかというと必ずしもそうとは言えない部分がある。

これがアイドルユニットのもつ不思議なパワーバランスであり同時に奥の深いところだと思うが、これはチェリブロメンバー4人ともにいえることだが彼女達はトッピングガールズでいるときよりもチェリーブロッサムのメンバーでいるときのほうが、はるかに光ってい見える。

オレはこの日のステージを先日、渋谷のマルイの下で行われたトッピングガールズのイベントと重ね合わせて見ていたが、そんな中でハッキリと確信したのは自分の中ではチェリーブロッサム>アリス十番>トッピングガールズだということである。

やはり彼女達はチェリーブロッサムのコケティッシュなマリンルックのほうが似合うし絵柄的にも4人でいるほうがバランスがとれていると思う。

アリス勢のトリを務めたのはぴゅあふるだった。

グランジロックと歌謡曲を足してぴゅあふるを掛けたみたいな(?)新曲の「Dive-E」のクオリティが高い。

ただ彼女達のアイドルらしからぬサディスティックな魅力を正確に伝えるには、こういったオープンスペースよりも、やはりライブハウスの淀んだ空気の中のほうがいいだろうと思った。

…そんな断片的な感想を抱きながら3つのグループを観ていたのだがアリス関連のユニットの出番のあとに、これまた興味深いグループが登場した。

キャンディーズのトリビュートバンドでその名も「BANDIES」。

これが、どうしてなかなか面白い。

つまりボーカルの女性3人組がキャンディーズの歌と振り付けをそのままコピーし、そのバックバンドが伴奏をつけているだけなのだが、それが実に昭和テイスト溢れていて面白いのだ。

「年下の男の子」「暑中お見舞い申し上げます」「ハートのエースが出てこない」「春一番」…この日歌われた楽曲は、さすがにほとんど全曲知っていたが、もっとスゴイのがそれを客席から応援しているファンの人達がキャンディーズの現役時代にその現場を支えていた全国キャンディーズ連盟(全キャン連)の人達だったことである。

当然、かなりの年輩の世代の人達であり、おそらく全員が50代だろう。

キャンディーズの現役時代同様に色とりどりの無数の紙テープがステージ上に投げ込まれる光景にはちょっとした感動すら覚えてしまう。(そういえば半年前のキャンディーズの田中好子さんの葬儀のさい、ファンの手によって棺に向かって青い紙テープが無数に投げ込まれた光景は涙なしでは見れなかったが同時にあれほど最高の「見送りかた」は見たことがなかった。)

オレがアイドル現場に行くようになった頃はすでに紙テープとか紙吹雪とか笛とかいった様式は完全に絶滅していたしwww

そういえばこの日のアリスの二回目のライブのときに全キャン連の人があいの手を入れるように紙テープをメンバーに投げ入れていたけど平成アイドルが客席から紙テープを投げられるってかなり貴重な体験じゃないかと思ったけどね。

BANDIESの二回目のライブのときに全キャン連の人から紙テープを貰ってステージに投げ入れたのだけど実はあれを上手に投げるのはかなり難しいことがわかった。

持ち方と投げかたがあり教わって投げたものの、なかなかキレイに弧を描くように飛んでいかないというwww

昭和のアイドルファン恐るべしです。

今回のイベントでは他にもレースクイーンが集まったグループがいたり、よくわからないシンガーソングライターがいたりとなかなかバラエティーに富んでいたが、なかでもビックリしたのはこの日のイベントの大トリに予定されていたグループである。

クールス。

そう、かつて舘ひろしやクレイジーケンバンドの横山剣が在籍し、あの昭和を代表する伝説のロックンロールバンドがこの日の大トリだったのだ。

午後になると会場にハーレーのカスタムバイクが集まりだし、何だかよくわからない不良オヤジみたいなオッサンや革ジャンにリーゼントの50'sっぽいトッポイ連中が増えてきたので不思議に思っていたのだが、つまりあの人たちクールスの関係者やお客さんだったのね。

アリスの物販のときに、メンバーに接触するヲタを尻目にオレはたまたま会場の隅っこでワゴン車の窓を開けて運転席に座っていたクールスのメンバーであるジェームス藤木を発見し、すかさず話し掛けに行った。

こういう場合はいきなり中途半端な知識を披露してファンであることをアピールしても逆に失礼に当たると思い、今日たまたまここに来ていてお目にかかれてたいへん光栄です、とまずは挨拶をし自分は中学生のとき「NEW YORK CITY N.Y.」と「ビッグ・ディール」というクールスのアルバムが大好きで毎日聴いていたということをジェームス氏にさりげなくアピールした。

とくに前者のアルバムは当時ブレイク直前の山下達郎が「彼らのハンパのなさに惚れ込んで」プロデュースした良質なアメリカンポップスのテイストが溢れる傑作で今でも半年に一度は聴きたくなるような自分にとっての愛聴盤である。

ジェームス藤木さん「コイツなかなかわかってるじゃん」と思ったかどうかは知らないがオレの話しを聞いて自分から握手を求めてきてくれた。

日本のロックンロールバンドの場合、自らが不良であることをアピールしても実は、そのほとんどがフェイクであることが多いが、クールスというグループは元々、アメリカのヘルス・エンジェルスを模倣したようなバイクのチームが母体になっており、ジェームス藤木はその中でも相当にワルだったという話を聞いたことがある。ジェームスさん、今でもなんかかっこええわ!!


場内はアリスヲタ、全キャン連、レースクイーンの写真撮りにきているオッサン連中、そしてクールス関係の不良オヤジ達とよくわからん状況になっていて、さらにはウサギを抱いて歩いている人がいたり、誰が連れてきたのかヒモにつながれたイグアナがいたり、もっと驚いたのは巨大な陸ガメが場内を闊歩していた。

午後の回のアリス関連のライブとBANDIESのステージが終了し、せっかくなのでクールスのライブを観ていくことにした。

実は生のクールスのステージを観るのは初めてのことである。

実際、昔のクールスのライブ会場は、いろんな意味で敷居が高く中学生には恐ろしくて行けるような雰囲気ではなかったのでようやく昔の忘れ物を取りに行くことができた気分である。

オーティス・レディングでお馴染みの「CAN'T TURN YOU LOOSE(お前をはなさない)」の軽快なイントロに乗ってメンバーが登場。

「シンデレラ」「Mr.ハーレーダビッドソン」「バースディ」といった代表曲からラリー・ウィリアムスの「SLOW DOWN」、ベン・E・キングの「STAND BY ME」いったオールディーズやスタンダードナンバーまで実にワビサビの効いた演奏を披露してくれる。

決してメインストリームの音楽とは言えないけれど何かデビュー当時から現在まで36年間まったくブレることのない音楽スタイルにはただただ敬意を表します。

終演後、舞台の裏に行くとバンマスでドラムを担当している佐藤秀光を発見。

見るからに元不良オーラが漂っており何度も行くのを躊躇したがタイミングを計り話し掛けに行くとジェームス同様、なかなかかっこいいオッサンだった。

昔、怖くてコンサートに行けなかったことを秀光さんに告げると「まあ、あの当時じゃ無理ないな…」みたいな反応だったが、クールスのメンバーも関係者もファンの皆様もいまだに普通にコワイんですけどwwwww

秀光さん、よく見るとヘルス・エンジェルスみたいな刺青が手首まで入っているしwww


帰る頃には、もうすっかり陽が沈んでいたが平成アイドルに昭和のアイドル、そして昭和ロックと、そのどれもが好きなオレにとっては本当に有意義な横浜の一日だった。