上木規至. 2003年,ナポリへ渡り,ナポリのテーラー界における巨匠Luigi Dalcuore氏とAntonio Pascariello氏に合計3年半の間,師事.2006年に帰国後,当時,青山にあったTie Your Tieに工房を構える.2015 年に満を持して青山に『Sartoria Ciccio(http://www.ciccio.co.jp/, https://www.instagram.com/cicciojapan/?hl=ja)』をオープン.現在,香港のThe ArmouryやソウルのVilla del Coreaでもトランクショーを開催するなど,世界中で評価されている(彼のインタビューはyoutubeでも閲覧可能ですhttps://www.youtube.com/watch?v=tSUTPELjmd8).
彼の存在を初めて知ったのは,某有名雑誌であった.当時,帰国直後の彼は,坊主頭であったが,彼が着ているグレーのシャークスキンのスーツに一瞬にして目を奪われた.それまで,英国からはじまり,ミラノ,ナポリ,フィレンツェなど国内外,様々なスーツをオーダーしてきた私にとっても衝撃であった.彼のスーツの特徴である広めのラペル,低めのゴージラインにノーベント,袖山から首筋に掛けての美しいショルダーライン,胸のバルカポケットに加えて,フラップなしの切りポケット.シンプルであるが,その全てのバランスが究極に美しい.完璧である.彼は,ナポリで修業してきたが,マニカカミーチャ(別名:雨降り袖)などの目立つような分かりやすいディテールはない.シャープなシルエットだが,要所の部分では,ふわっとした柔らかさがある.これは彼の縫製技術によるもので,糸調子(糸のテンション)に緩急を与えているためである.一見するとクラシックだが,そこには,決して主張しない適度のモダンさと色気が最高のレベルで同居している.クラシックとモダン,シャープさと柔らかさ,相反する要素が最高のレベルで共存している.ぱっと見の印象は,控えめながら,彼の作品から醸し出されるオーラが尋常ではない.その時,『ついに究極のスーツに辿り着いた』と確信した.しかも,実際に袖を通してみると,着心地が今までのスーツと比べて全然違う.抜群に着心地が良いのである.下手なニットやスウェットなどよりも着やすい.着ていることを忘れさせてくれる.これには,心底驚いた.カッコよさと着やすさが同居している.
彼の作品を愛用するようになって,この素晴らしい彼の作品を限られた人だけに限定してしまうのは,非常に残念なことだと思うようになった.それが我々のブランドThree & Moreを立ち上げた動機である.彼の素晴らしい作品を白衣という形を通して医療従事者の皆様にお届けしたい.上木氏の作品を実際に感じてもらいたい.そして,その素晴らしい彼の作品を身にまとい,最上の医療を提供して貰いたい.そう思うようになった.Three & Moreで作成している白衣は,全て上木氏のOriginalパターンである.一度,袖を通して頂き,上木氏の作品に触れて頂きたい.極上の着心地である.
