Miles Davisクインテットによる1964年2月12日のNYリンカーンセンター "フィルハーモニックホール" でのライブ録音.メンバーは
Miles Davis (tp)
George Coleman (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)
である.個人的に大好きなアルバム.もともと,私はロックが大好きで,Jazzでは,村上春樹氏の影響でBill Evansが好きだった.Miles Davisは,『Kind of Blue』の印象が強かった.彼の曲で好きだったのは,『Bye Bye Blackbird』.はじめは『'Four' & More』も『So What』が好きだったので,聴いてみるかというくらいの軽いノリで聴き始めたが,初めて聞いた瞬間,度肝を抜かれた.一曲目の『So What』からして,ただものではないと感じた.何が凄いかというとそのテンポ,スピードである.私の大好きなドラマーBonzoが叩いているのかと思った.実際は,名ドラマーのTony Williamsで,当時18歳.驚くしかない.彼のレガート,ポリリズム、フィルなど超絶ドラミングは凄まじい.これにHerbie Hancockのセンス溢れるピアノ,それにMilesの爆発的,暴力的なトランペットが加わり,一瞬のうちに引き込まれる.個人的にこのアルバムのジャンルは, Jazzではなく,Rockだと感じた.僕の大好きなJimi Hendrixのアルバム『Jimi Plays Monterey』を思い出させ,一気に私の一番のお気に入りのJazz albumとなった.このアルバムの中で,特に私は,『Four』が大好きである.映画『リプリー(原題: The Talented Mr. Ripley)』(Alan Dronの太陽がいっぱいのリメイク)で主人公のMatt DamonがJude Lawと最後の二人での旅行であるイタリアのSanremoフェスティバルの際に流れていた曲である.この映画での演奏はMilesのものと比べると別の曲のようにさえ感じる.ちなみに,この場面のJude Lawの衣装もカッコいい.スマートである.情景に見事にマッチしている.
また,私の敬愛する村上春樹氏は,その著書の中で,『『どんな人生にも『失われた一日』がある.『これを境に自分の何かが変わってしまうことだろう.そしてたぶん,もう二度ともとの自分には戻れないだろう』と心に感じる日のことだ.』と述べ,その日に彼が聴くべきと感じたalbumに,この『'Four' & More』を挙げている(「ポートレイト・イン・ジャズ」和田誠 村上春樹著(新潮文庫)P.102より).わかる気がする…. 人生には何度かそのような決定的な瞬間が訪れる….皆様も,そのような瞬間は,ございましたか?
我々のブランド名の『Three & More』は,この『'Four' & More』から由来している.