今度は4月22日からやってた実験を紹介しましょう。これは結構尾を引いていて、いまだにやってます。そんな実験の記事をまとめてみました。
ところで、桜の香りって嗅いだ事あります?僕はないです。あの花って香りが薄いんで、ほとんど分からないそうです。じゃあ、桜餅のあの香りはニセモノなのか。というとこれもまた違うんですね。あれはちゃんと桜から作っていますし、香りも桜由来です。これを作りだすのも化學反応です。桜の花や葉にはo-クマル酸に糖が結合した物質が含まれています。花や葉を塩水につけることで細胞が破壊されて酵素に触れ、その時に糖が切り離されて、ベンゼン環から余った腕みたいな部分が環化してクマリンという物質ができます。これが桜餅の香りを作っているのです。(桜に関する以上の話は有機化學美術館・分館 さんを参考にしました。)
これによってクロロホルムができるのですが、本当に生成したのかは見た目では分かりません。そこで、ここでいったん定性分析(その物質が含まれているかどうかを調べること)をやってみました。これを少量エタノールに溶かして、それに水酸化カリウムと微量のアニリンを加えて熱します。
そうするとこうなるのですが、もしクロロホルムが入っていたなら、不快なにおいがするはずです。ということで、一回溶液の臭いをかいでみました。ほとんど臭いはなかったのですが、微妙にゴムが焦げたような不快なにおいがしました。クロロホルムの量が微妙だったので、こんなもんかと思い、次へ進みました。
すると、こんな風に沈殿ができているではないですか。おそらく、これこそがサリチルアルデヒドです。サリチルアルデヒドは水にとけなかったはずですから、おそらくそうです。やっと合成できました。そして、これで後は無水酢酸を加えるだけになりました。というわけで、時間が迫っていながらも無水酢酸を加えました。すると、
こんな風になりました。クマリンも白色の結晶なので出来たかどうか分かりにくいです。香りも無水酢酸の刺激臭にかき消されて分かりません。というわけで、ろ過してみました。
この試験管に入れたのはジエチルエーテル(有機溶媒の代表格)ですが、全く粉末が溶解しません。それどころか試験管の内壁に密着して動きもしません。この時点でクマリンは跡形もなく溶解すると思ってきた僕には大変意外なもので。サクラは数週間で散っちゃいますけど、サクラの香り成分はちょっとやそっとのことでは溶解しないということでしょうか。でも、このジエチルエーテルで昨日、合成に使った未反応物は全て取っ払えます。というわけでこれで粉末を洗ってみようとしました。でも、結論から言うと失敗でした。それでもフェノール臭さはとれませんでした。
写真では分かりにくいですが、一部は溶解して、また一部は沈殿したままでした。K島先生によると、これで不純物が分離できてどちらかにクマリンがあるということ。てなわけで、
使ったのはエーテルやアセトンみたいな揮発性の高いものばかりですから、一晩放置しておいて、溶媒を吹っ飛ばして、そこで残った結晶があるのかを調べて、残っていればそれがクマリンぽいかどうかを調べようというわけです。
左の方の試験管なのですが、分かるでしょうか、試験管の底に微妙に沈殿しています。つまり、こいつは過塩素酸ナトリウムなどの、この反応に関係した無機試薬でないことが証明できたのです。ちなみにこの沈殿はシクロヘキサンにも溶けませんでした。極性溶媒(つまるところ水)にも無極性溶媒(要は油)にも溶けないというのはどういうことなのでしょうか。
これがその蒸発皿の写真ですが、これという結晶などほとんど残っていません。でも、何かあるかもしれないので一応保存。あと、試験管にたまった沈殿の方は内壁に貼り付いてなかなか出せません。というわけでこれを使いました。
超細長い薬さじです。これでひたすら掻き取りました。その結果、結晶は結構取れまして、
こんな風にたくさん取れました。こちらの結晶にはにおいがあったのでこちらをクマリンと見るのが妥当でしょう。この前のろ過と結果は変わらないじゃないかと思われるかもしれませんが、結構違います。今回のでこの結晶はエーテル漬けになったのにもかかわらず、フェノールやサリチルアルデヒドのような他の有機試薬のようには溶けず、臭いがあったので無機の塩でもないということになり、クマリンの可能性がさらに高まったのです。ついでに言えば、ろ紙にたまっていたあの沈殿のフェノール臭さの原因の代表格だったフェノールは溶液の方に残っていたのでその可能性が消えたのもほぼ確かです。しかし、ではなぜサクラの臭いがしないのか。それが分かりません。だから、これについてこれから調べていくつもりだったのですが、ある教師につぶされたので、結局一旦ここで頓挫しました。
やはり量がパワーアップしているでしょう。これで分析も楽になることでしょう。ともかく、そこに無水酢酸を入れて反応を起こして、下のような感じにしました。
なんか、内壁に結晶がこびりついているのが気になりますが、上等な機器もないので、この部分の少量の結晶だけの性質を調べるなんてことはできないので、ここは無視しろ過しました。
沈殿も結構集まってるし、かごにまとめたことで動かすのも楽です。今回はろ過する時にテトラヒドロフランも入れたので精製も一緒にやったようなものです。だから、明日、部活に行ったらすぐにクマリンを気化させて香りをチェックするつもりです。気化させた方が臭いが薄まりやすいと考えたからです。あってるかどうかは別にして。駄目だったら精製や合成をやりなおしたり、ろ液を調べたりしてみます。今度は誰かに行方不明にされることもないでしょうから、マイペースにやっていきます。
クマリン合成の続きをやってました。まず、この前ろ過で取り出していた沈殿を取り出し、すりつぶしてこんな感じにしました。
結構きれいな粉末になっているでしょう?その上にパラフィルムをかけて粉が吹き飛ばないようにしました。それで、粉末をちょっとだけ火にかけてみたんです。熱せられて気化したら桜餅の香りがするかなと思ったので。ところがここで2つ問題が発生しました。1つ目は僕が、桜餅の香りが分からないこと。よく考えると桜餅の香りってなんだったんだろう?こっちは嗅いだら分かるかもしれないので何とかなります。大きいのは2つ目です。なんと、ほとんど気化しなかったんです。クマリンの沸点は、300度弱であるのに対し、昔融かしたKOH(昔の記事、Oh My God!を参照)の融点は360度ですから、クマリンは絶対に気化するはずです。なのに実際火にかけてみると気化するどころか融けさえしない。要はこの物質がクマリンでない可能性が出てきた、というかそっちの方が有力になったんです。さらに、その前のサリチルアルデヒドの融点はマイナス7度。今まで粉末だと思っていたサリチルアルデヒドが、実は液体だったんです。さらに、改めてクロロホルムの製法を調べてみるとアセトンに作用させるのは過塩素酸ナトリウムではなく、次亜塩素酸ナトリウムだったんです。要するに、この実験は根本的に手順を間違っていたということです。てな訳で、またやり直していきたいと思っています。まあ、中間テストが終われば、時間はたっぷりありますから、また最初から頑張ります!でも、この謎の粉末が何なのかも気になりますし、ちょっとまた調査してみます。というわけで、こっちの粉末も保存することにしました。
謎の粉末の正体を調べようとしていました。まず、溶媒がないと話にならないので溶媒探しからやっていきました。まず、上の写真みたいに、試験管に色々な溶媒を入れてみました。これは左から純水、無水エタノール、ヘキサン、ジエチルエーテル、希硝酸です。それぞれにこの前の粉末を溶かしてみました。僕の予想では、純水や酸には溶けず、有機溶媒によく溶けると思ったのですが、
現実は全く逆。有機溶媒にはあんまり溶けないという顛末になりました。そこで、粉末が溶けた水とエタノールの性質を調べてみることにし、まずは酸性か塩基性かを調べてみました。すると、
酸性になってます。クマリンが酸性になること、それ以前に水に溶けることなんてないと思ったのでこれは何かと考えてみると、多分最後に加えた無水酢酸だという結論になりました。つまり、未反応の無水酢酸が粉末に残っている状況下でちゃんとした性質を調べることは無理だし、どうやら無水酢酸を取り除く方法もないようです。何しろ、粉末は完全に溶けるか全く溶けないかのどちらかでしたから、粉末の主成分と無水酢酸に合う溶媒は一緒ですので、分離は難しいと思ったからです。












































