thoughsubvorsres1973のブログ

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 こんばんは、すいもうです。
 四月も三分の一が過ぎましたねぇ。
 新年度になっても、特に変わり映えのしない日々が続きますが、これはこれでいいかもですねぇ。
 まぁ、それはさておき。
 今回は、お姉ちゃん視点ですね。
 やらかしちゃいました。
 どういうことなのかは、追記にて。
 では、お黄泉ください。



 夢、吹きすぎし~月想う~ 百二話

 意味がわからない。
 フェイトを守る騎士になった。子供の戯言のようなことを、大真面目にこの子は言い放った。おとぎ話でもあるまいし、バカなことを言っているんだろうと思う。その思考自体が意味のわからないものだった。
 でもこの子もこの子だけど、もっとわからないのは、フェイトだった。フェイトは嬉しそうな顔をしている。心配はしているのだろうけれど、しているのは心配だけ。それも勝負の行方ではなく、この子が無茶をしないかどうかの心配だけをしているように見える。
 この勝負の行方なんて、フェイト自身の将来のことなんて、まるで心配していないように思える。それはつまり、この子がこの勝負に勝つのがわかりきっていると言っているようなもの。私の攻撃を受けて、すでにボロボロになっているのに、この子が私の攻撃に耐え続けられると信じている。
 ありえない。真っ先にそう思った。
 だって、あたり前じゃないか。相手は素人だ。素質があるだけの素人。そんな素人が、どうやって私に勝てるというのか。勝てるわけがない。一発当てれば勝ちなんて、ルールじゃないのだから、この子が私に勝てる要素なんて、かけらもないのに。
 なんでフェイトもこの子も、まっすぐな目をしているのだろう。どうして自分たちの将来の心配をしていないのだろう。この勝負に私が勝てば、私はどんな手段を使っても、この子とフェイトとの仲を引き裂く。それは私の中での決定事項だった。たとえ母さんになにを言われようとも、リニスやアルフに止められようとも。なによりも、たったひとりの妹のフェイトに嫌われることになったとしても。私はフェイトのために、フェイトの将来のために、フェイトとこの子の仲を引き裂こうと決めたんだ。
 だから勝負が決した時点で、フェイトとこの子がどう騒ごうとも、無視することにしていた。それはこの子たちだってわかっているはずだ。この勝負に乗った時点で、私が強行に及ぶことを認めたということだ。そうなるなんて思っていなかったなんて言い訳はさせない。どんな言いわけをしようとも、私は私がするべきだと思うことをする。そう決めていた。だから私の強行を止めるには、私に勝つしかない。そんなことは、この子たちもわかっているはずだ。
 なのに、なのに、なぜこの子たちは、この勝負の行方について、なんの心配もしていないのか。私がこの子の性根を知るために、わざと悪役を演じている、とでも思っているのか。そんな都合のいいことを考えているのか。そんなことあるわけがない。いやそんなことがあるなんて、この子たちも考えていないはずだ。
 ならなぜ、心配をしていないのか。もう勝負は決しているみたいな顔をしているのか。わからない。この子たちの考えがまるで理解できなかった。だから言ったんだ。子供みたいなことを言うな、って。そんなボロボロな体で、どうやってフェイトを守り抜くことができるんだ、って。そう言った。あたり前だと思う。だっていまの姿を見て、どうしてフェイトを守れるなんて信じられるのだろう。為す術なく、攻撃を受け続けることしかできていない。回避すらせず、木偶人形のように、攻撃を受けることしかできない、その姿を見て、どうしてフェイトを任せられる、と思うのか。私をバカにするのも大概にしろ。そう思ったからこそ言った。言い返せるわけがない。そう思ったのに。なのに、この子はあっさりと言い返してくれた。
「それでも私は守ると決めた。フェイトちゃんの笑顔を守るために、私はこの命のすべてを燃やし尽くす覚悟なんです。だから私は負けない。負けられるわけがない」
 まっすぐに私を見つめながら、この子はそう言いきった。フェイトの笑顔を守るために、負けることができない。そう言った。なら見せてみろ、と思った。自分でもわからないくらいに、心の中が不意に真っ黒になった。口の端を、自分でもわかるくらいに邪に歪めて、私ははっきりと言った。言ってしまった。
「じゃあ、見せてごらんよ。君が本当にフェイトを守れるのかを、さ!」
 照準をずらした。フェイトに照準を向け、魔力弾を放った。非殺傷設定を解除して、攻撃した。この子が息を呑むのが、はっきりとわかった。でもそれは私も同じ。魔力弾を放った自分が、理解できなかった。たったひとりしかいない妹に向けて、殺傷設定の攻撃を仕掛けてしまった。なにをして、と自分でも思ったけど、フェイトは魔導師だった。バルディッシュがとっさに防御してくれる。フェイトの防御力は、ほとんどないと言ってもいいけれど、魔力弾の一発くらいは、どうにか受け止められるだろう。それにフェイトであれば、とっさに避けることもできるはず。
 だからフェイトの心配はしなかった。ただ自分で自分が不思議だった。あんなにもかわいいフェイトに、どうしてこんなことをしてしまったのか。私自身のことなのに、理解できなかった。とにかくフェイトにはあとで謝ろう。いやいますぐに謝るべきだ。そう思い、フェイトを見やる。同時に私は息を呑んだ。
「フェイト!?」
 フェイトは、回避するつもりがないのか、座ったままだった。いや回避するつもりがないのは、百歩譲っていいとする。けれどフェイトは、バルディッシュになにか指示していた。唇が動いているのが見える。読唇術はできないけれど、フェイトがなにを言ったのかは、わかった。なにもしないでいいよ、バルディッシュ。そうフェイトが言った。なにもするな、ということは、防御をするな、ということ。そのうえ、回避する気もない。それはつまり殺傷設定の魔力弾の直撃を受けるということ。非殺傷設定であれば、魔力ダメージであれば、最悪昏倒する程度。でも殺傷設定の魔力弾であれば、殺傷設定の魔力弾を、防御も回避もせずに受けるということが、どういうことなのか、考えるまでもない。
「フェイト、ダメ!」
 慌てて、フェイトのそばに駆け寄る。けれど私の脚じゃ間に合わない。高速移動しても、もうどうしようもない。後悔が押し寄せる。なんでこんなことをしてしまったのか。自分が自分でわからなかった。なんで些細なことで苛立ち、こんなバカなことをしてしまったのか。わからない。わからないけれど、いまはフェイトのために、フェイトを守ってあげるために、意味がなくても、走らなきゃいけない。だって私はフェイトのお姉ちゃんなんだ。そのお姉ちゃんがこんなところで諦めるわけにはいかない。
 なのに、私の脚はそれ以上動いてくれなかった。どうあっても間に合わない。どうやっても守ってあげられない。絶望が私の心を包み込み、それ以上私の脚を進ませなかった。ごめん、ごめんね、フェイト。謝ってすむことじゃない。それでも私にできるのは、謝ることだけだった。見たくない光景を見ないために、まぶたをぎゅっと下した。そのときだった。
「言ったはずですよ。私は絶対にフェイトちゃんを守る、って」
 不意に声が聞こえた。同時にフェイトの慌てる声もまた。まぶたを開くと、そこにはフェイトを正面から抱きしめるようにして、フェイトを守る背中が見えたんだ……。 ...
『JUDAS CODE<ジューダスコード>』PV