本ブログでは何度となく全国民（正確には日本に住む人）を対象に一律で支給された10万円の給付金について批判的に評してきました。

その理由としては、コロナショックに対する経済面で必要な対策は分類すると以下の三種類であり、一律給付金は①としてはあまりに非効率すぎて結局③にしかならず、③にしても感染拡大が収束する前に実施したところで消費増にはつながらないからです。

①収入が激減した困窮者に対する生活支援

②売上が激減した業者（生産者）に対する支援

③冷えきった日本経済の活性化

12月18日に日銀の資金循環統計速報が発表されましたが、やはり家計の金融資産、特に現金・預金が増加を続けています。

＜家計の現金・預金＞

2020年3月末：999兆9568億円

2020年6月末：1030兆5506億円

2020年9月末：1034兆771億円

（いずれも日本銀行　『資金循環統計』7~9月速報より）

3月末には金融資産が減少していますが、これは単にコロナショックによって一時的に株価等が下落しただけであり、現金・預金は一貫して増加し続けています。

特に3月末→6月末で家計の現金・預金は30兆円以上増加しており、約12兆円の一律給付金がいかに消費に回らなかったかが明らかになっています。

過去記事［10月の消費が13ヶ月ぶり前年比プラス／宿泊料消費が前年比+30%超］等で総務省の家計調査から分析してきたとおり、コロナショック後において消費は減少してきましたが、勤労世帯の収入は減少どころか増加を続けています。結局コロナショックによって本当に困窮している人は取り敢えずは一握りであり、コロナ特需の業界や公務員、さらには非労働世帯など収入が減らない世帯まで給付するのはあまりに非効率な政策であったと結論付けざるを得ません。

麻生副総理が述べた「定額給付金は消費ではなく貯蓄に回った」という見解はあらゆる統計から正しく、GoToキャンペーンが推奨されている時期であればまだしも、現在のように一時停止されてしまう状況下で再給付しても、同じことになるのは火を見るより明らかです。

消費税を減税、あるいは撤廃したところで効果は給付金と同じであり、消費増は見込めません。新型コロナウイルスが収束しない限り、個人消費が日本経済を牽引することはないでしょう。

一律給付金の再支給が無い理由／コロナショックでも家計の現金・預貯金は増加