今こそ一律給付金を支給するべき | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

麻生財務大臣が一律10万円の特別給付金について大半がは貯金に回ったとして、消費を刺激する効果は限定的だったとの認識を示しました。
これは総務省の家計調査を見ても正しい認識であり、支給前から想定されていたことでもあります。

(総務省 家計調査8月調査結果)

今年の5~7月の勤労者世帯収入は定額給付金の影響により前年比+9.2%~15.6%もの大幅増(実質)ですが、消費はいずれも前年比減となっております。しかし7月→8月(季節調整)を比較すると、8月は定額給付金の影響もなく収入は前年比+1.4%に留まっていますが、消費は7月と比較して+1.7%と増加に転じており、7月に新型コロナウイルス拡大の第2波によって消費が抑制された反動が表れています。
6月の消費は前年に迫る回復を見せており、給付金に一定の効果はあったと見られますが、5月の減少ぶりから4~5月の緊急事態宣言からの反動もあり、12兆円の政策の効果としては小さすぎると言わざるを得ません。6月の消費性向(可処分所得に対する消費の割合)は、実数はもちろん季節調整済みの数値でも5月より更に低下していますしね。

(総務省 家計調査8月調査結果)

また、前年比の消費において大きな差が発生している項目を見ると、過去記事[特別給付金10万円の是非を問う/困窮産業に恩恵なし]でも書いたとおり、恐慌状態の産業には定額給付金は回らずに、巣籠もり需要などで好況な産業に一層資金が回る構造が続いていることがわかります。

この恐慌状態の産業を救うための政策がGotoキャンペーンですが、8月は航空運賃を中心に単純な交通・通信や旅行費用では7月以上に前年比減となっています。とは言えGotoキャンペーンを使用すればその分旅行費用は減少しますし、8月は盆休みのシーズンで必要・至急のビジネス案件が減少する月ですので、前月比微減に留まっているのはGotoキャンペーンが少なからず影響しているものと思われます。

10月1日からは東京もGotoキャンペーンの対象となり、過去記事[GoToキャンペーンと自治体支援の併用で旅行がお得に/ブログ休止のお知らせ]で紹介したFind Your YOKOHAMAキャンペーンはそこからわずか一週間で横浜市の予算上限に達し、キャンペーンは一旦停止になってしまいました。
あれだけGotoキャンペーンを批判していたマスコミが、東京が対象になった途端に『こんなにお得なプランがあります』という宣伝をしているのを見ると腹が立って仕方ないですが、今がGotoキャンペーンの最盛期であることは間違いないでしょう。
私は10万円の一律給付金について、困窮者の支援なのか経済活性化策なのか分からないと散々批判し、実際に給付金の大半が貯蓄に回ってしまいましたが、今は状況が違います。事業者や旅行者の努力によって、危惧されていたGotoキャンペーンによる新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大は避けられており、今は積極的に経済活性化を推進するべき段階にあります。
感染拡大を招かないのであれば経済活性化と困窮業界の支援としてGotoキャンペーンはうってつけの政策であり、また仮に5万円の給付金であっても、Gotoトラベルキャンペーンと併用すれば一切の持ち出し無しで50,000円÷0.65⇒84,600円分の旅行が可能で、さらに50,000×0.15⇒8,000円(100円単位で四捨五入)分のクーポン券がもらえます。
『Gotoキャンペーンは旅行する余裕のある人にだけ恩恵がある』などと的外れな批判もありますが、そもそもGotoキャンペーンは困窮している旅行業界用語や飲食関連業界への支援策であり、旅行者の支援ではありません。しかし給付金とセットであれば持ち出し無しで旅行することができるため、そんな的外れな批判でさえも抑え込むことができます。

大半の世帯が既に支給された10万円を使っていないとはいえ、一度貯蓄に回した資金を消費に回すのは抵抗があります。前回の一律給付金は政策ミスと言わざるを得ませんが、今実施するのであれば大きな意味を持ちます。
是非給付金の再支給を進めてほしいと思います。