関税と逆進性 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

よく消費税は逆進性の高い税金であると言われます。デジタル大辞泉では逆進性という言葉を下記のように説明しているほどです。

ぎゃくしん‐せい【逆進性】

それぞれが逆の方向に進む傾向。例えば消費税率が上がると低所得者ほど収入に対する食料品などの生活必需品購入費の割合が高くなり、高所得者よりも税負担率が大きくなるということ。
ところで、消費税よりも遥かに逆進性の高い税金があることはあまり知られていません。
それが「関税」です。
といっても全ての国で関税が逆進性の高い税金になっているわけではなく、あくまで日本においての話です。
日本では一部の洋酒などを除き、ほとんどの飲食物で国産品の値段は輸入品よりも高くなっています。つまり「安い商品」の方に関税がかかっているわけです。
「安い商品」を購入するのは高所得者でしょうか?低所得者でしょうか?言うまでもなく低所得者ですね。つまり日本の関税は低所得者ほど多く負担していることになります。高所得者は低所得者よりも消費額が多いため、逆進性が高いと言われる消費税ですら金額ベースでは高所得者の方が多く納税していますが、関税は金額ベースでも低所得者の方が多く納税しているのです。
何より、高所得者は高価な国産品を購入して関税の負担から逃れることができますが、低所得者にはその選択肢は取れません。低所得者ほど負担から逃れられないのが関税なのです。(日本の場合)
更に言えば、日本では関税収入が国産品生産の補助金の原資になっています。これは低所得者が負担した関税が高所得者が購入する製品の補助に使われているということです。税金の役割は高所得者から低所得者への所得の再分配であると言われますが、日本の関税は「低所得者から高所得者への所得の逆分配」という構図になっているのです。
低所得者の負担を軽減をするのであれば、まずは消費税ではなく関税の撤廃・引き下げを主張するべきなのですが、弱者の味方を標榜する共産党などの勢力ほど関税の維持を主張しています。国産品の保護は高所得者の負担による税金を原資に補助金という形で行われるべきなのです。それが税金の考え方の一つ「受益者負担」です。
どのような制度がより公平なのか、じっくり考えましょう。