月曜日から読み始め、先日の台風によるJR運転見合わせ数時間で
一気に読み進みました。
『世界は分けてもわからない』福岡伸一 著(講談社現代新書)
「視線とは何か」「コンビニのサンドイッチはなぜ長持ちするか」
「マップラバーとマップヘイター」など各章は別々の物語の様な
タイトルで書かれいます。
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箱の表面に印刷してある完成図の絵柄をよく見て、夕日の部分のオレンジ
色のピースを集める、船の絵柄と思われる赤や白の細かな絵柄を集める、
枠を構成するはずの、縁に直線構造を持つものを別に拾い出す。
このような行動原理は基本的にマップッラバーのものである。鳥瞰的な
全体像と局所的な現場を行き来しながら、世界を構築していこうとする。
一方、マップヘイターならどのようにジグソーパズルを作るだろうか。
もちろんこれは思考実験なので、実際、そのようにパズルを作る人が存在
するかどうかはまた別問題である。さて、マップヘイターにとっては完成図は
必要ない。
マップヘイターは、ピースをひとつ選び出すと、やみくもに他のピースの
山から、最初に選んだピースと合致するピースを選び出すことに専念する。
そしてピースのまわりを囲む八つのピースを見つけ出す(ピースが外枠接して
いる場合は五つ、角に位置する場合は三つ)。それができると次のピースに
ついて同じことを行う。
これは一見、とても能率が悪い作業のようにうつる。しかし必ずしもそうとは
いえない。まず行動のルールが単純である。自分の形と合致するかしないか。
しなければ次の試行にうつる。
そしてもう一つ重要なことは、作業に、全体と部分という関係性が必要ない
ことである。個々のピースは、自分が全体のどの部分に定位しているかを
しる必要がない。
自分の背に描かれている図柄さえしらなくてよいし、自分が夕日の一部か
船の一部か全く関知しなくていい。つまりマッピングの必要がない。
それゆえに、各ピースは、自分とごく近い周囲との関係性だけを手がかりに、
世界全体を構築していけることになる。
そこに分散的なふるまいの契機がある。(P.91~92)
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個人的にはマップラバーとマップヘイターがジグソーパズルを作ると
どうなるかは読んでいて、思わず納得してしまいました。
実は後半に至ると全ての章が一つの問題へ向かって書かれていた伏線、
パズルのピースというオチ。
分子生物界に起きたスキャンダル(データ捏造)は興味深く読みました。
前作、『生物と無生物のあいだ』に引き続き、知的刺激に満ちた本でした![]()