無事就職できて、最初は全然進まなかった仕事にも段々なれてきて、やっと将来についていろいろ夢見てもいいと思う時に、

それが突然やってきた。

父からの連絡だった。

どうも銀行から大金を借りてずっと返済しないままでいつの間にかそれがとんでもない金額になったという。

ただ金を貸せとは、言わなかった。

ただその金は自分のために借りたのではなく騙されて借金まみれになった従弟を助けたいがために銀行から金を借りて助けてやったわけだと。

もちろんその後、その従弟、私の叔父さんに当たる人物は、金を返すことはなかった。

それどころか、利息すらも払っていなかったという。

何気にその従弟が悪いと言いたげなようだったが、そもそも自分で返せもしない金を借りて迄人助けしたのが間違いなのではないかと。

もし従弟が金を返してくれなかったら、と一度も考えたことはなかったようだ、少なくとも当時では。

十円しか持たない人が、他人に何を言われたら銀行から千円借りて、その人に貸してしまうのだろうか。

父の話が、ところどころその悔恨の意を漏らしてた。

ただいくら後悔しても現実は変わらない、金も突然そらからは降ってこない。

それでさっき、祖父からも電話をかけられてきた。

もし母さんの方に余裕があったら、少し貸してくれないか聞いてくれとのことだった。

その頼りにされた母も、実は到底余裕がないのだ。

なぜなら離婚後、母はギャンブラーと付き合い始めたのだ、しかも今になってもその関係は断ち切れなかった。

博打は負けることが常であり勿論その彼氏も例外ではない。

自分の貯金(本当にあったかは疑問だが)を使い果たすと、やはり母を頼りっきりだった。

その彼氏にとって、母は多分都合のいい金蔓でしかなかったのだ。

あとで向こうが妻子持ちと知っても、母は彼との縁を切らなかった。

まだ金を返してもらってないから、とのことだった。

しかし金を返すどころか、あれからもずっと金を要求するばかりだった。

金を要求する時は、特に姿勢が低く、言葉も優しかったが、金をもらうとすぐ、君子でもないのに豹変してしまう。

まだあの日のことを覚えてる。

ボーナスの日だった。

なぜかいつもよりも早く家に帰って食事の用意して、食事中もいつものしかめっ面と違い、満面の笑みを綻ばした。

それで急に「今年はボーナスいくらもらえた」と聞きだした。

そうか、ボーナスの日だったのかと。

いろいろ話した末に、母からノーと言われると、やはりすぐその機嫌を損ねられたようで、家を飛び出した。

やはり、金蔓としか思われてないようだった、母は。

そして必ず翌日には母が折れる形で金を貸してしまうことになる。

その繰り返しで、母もとうにその貯金を使い果たしたのだ。

もともと起業しようとした金も全部そのカジノチップになってしまった。

もともと株に目を狂わされた父と離婚して、こんどはどうしょうもないギャンブラーと縁を結ぶ。

息子として言っちゃまずいが、さすがに人見る目がなさすぎるのでは?とは思う。

一難去って、また一難。

悪運だけが、続く人生。