本作で長編15作目となるアルモドバルが、故郷ラ・マンチャでの撮影を敢行し、タイトル通り「帰郷」を果たした作品。ミステリー、サスペンス、コメディ、ドラマといった様々なジャンルを横断しながらアルモドバルにしか描くことの出来ない、女性たちの濃密な世界を作り上げている。

今回アルモドバルが描いたのは、母、娘、孫娘という親子3代の女性たちの葛藤と母親の偉大さ。それぞれに解決することのない問題や秘密を抱えながらも生きていく母親たちを、『神経衰弱ギリギリの女たち』(87)以来19年ぶりのアルモドバル作品となったカルメン・マウラとペネロペ・クルスの2人が見事な演技で体現。特にペネロペは今までのイメージを覆す腰の据わった母親ぶりを披露。セクシーでありながら力強さと母性を持ち合わせた女性ライムンダを演じ、新境地を切り開いた ...続き