なぜカエール侯爵私に薬を飲ませただろうという疑問を抱きながら、翌朝私は階段をおりていた。
居間にソファに座っている侯爵とその前に土下座している男二人。少し離れたところで執事もいた。
「お許しくだせぇ、旦那様」と二人の男が泣きそうに言う
「この二人を警察に届いてくれ」と完全に二人を無視し、侯爵は執事に言っていた。
「警察だけは」と一人の男。
「なぜ?」と侯爵は厳しい目で男たちを見つめる。
「旦那様の様な人の家に入ったから、おれたち死刑になる」
「じゃ、ワタシは誰だか分かってる上で、屋敷に忍び込んだか」
男たちは答えない。
「ここに何しに来た?」と声を上げない侯爵。
「パンの匂いしたから・・・」と一人言う。
「パンの匂いを追ってきた者はなぜ書斎に入ろうとしたか、理解できない」
「その・・・」
「言って困るようなものなら、言わなくてもいい」
男たちは安心した顔をする。
「でも死刑は確実だな」
「旦那様、お許しを」とまた一人泣き始める。
「言ったら殺される」ともう一人は消えそうな声で言う。
「言わなかったら、今でも首は飛ぶよ」と剣を手にした侯爵。
また男たちは許しを請うた。
「もうお前らの泣き声を聞くのを疲れた」と。そして執事に「後は任せる」
私は階段から前から見ていたことを気づいていたようで、侯爵は言う
「アリアネ、朝食を」と。
「旦那様、言うから、家族を守ってくだせぇ」
「分かった。二人の家族を違う町に送ろう。細かい話はそこの執事に」と食事のとる部屋のドアを閉めて、もう既に座っていた私の向かいに座った。
「まったく」と不機嫌そうに侯爵はティーカップを取っていた。
「あの二人も違う町におくるつもりですか」
「警察という違う町にはね」
「昨晩のネズミはあの二人のことだったのですか」
「ああ」
「それは私の仕事では?」
「アリアネはワタシの頼んだことだけすればいいから」
「分かりました」
「あれ?今日大人しいですね」
「切れる寸前のカエール侯爵を怒らせたくありませんので」
侯爵は満足げに微笑んだ
「今日舞踏会の日ですね」と話題を変えようとしていた侯爵だった「一人でドレス着られますか」
「時間は少しかかりますが、大丈夫です」
「手伝う人が必要なら、言ってくれ」
「侯爵は手伝うつもりですか」
「ワタシで良ければ」と侯爵は笑った「どこかの婦人を呼びますから」
「手紙は?」
「舞踏会の時に渡す。相手もその時に見せる」
「分かりました」
つづく
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