Thinelの世界 -56ページ目

Thinelの世界

私の描く世界へようこそ


  舞踏会が始まった。
  屋敷の主であるカエール侯爵は挨拶に回っている。私は全ての様子が観察できるところでその侯爵を見守っていた。
 挨拶まわりを終えた時に、私のところに来た。
 「アリアネ、笑顔」と小声で言う。
 少しするとジェアン伯爵と私と同年の女性が近づいてきた。
 「カエール侯爵、こんばんは」
 「こんばんは、ジェアン伯爵」
 こういう場で二人の言葉はいつも冷たいと思う
 「こちらはポルニャク家の次女、アンヌです」
 「こんばんは、カエール侯爵」
 「こんばんは、レディーアンヌ」と言いながら、侯爵は少しアンヌに近づいた「初めてお会いしているのですね」、そして微笑む
 「はい、初めてです」
 「こんなかわいい女性を忘れるはずがありません」と言い、アンヌの手をとり、軽く口付けた
 アンヌの頬が赤く染まる。
 カエール侯爵はアンヌと違うところに移動した。
 
 「はやいですね」と私はジェアン伯爵に言う。
 「カエールのことですから、時間を無駄にしません」とジェアン伯爵が笑う
 「あの調子でおとせなかった女性がいますか」
 「レディーアリアネ以外はいませんね」
 「私はいいとして」
 「体調が悪くなってしまって、帰らざるをえなかった時位かなぁ」
 「二人が競った女性は?」
 「あれは完全に僕の負けでした」
 私とジェアン伯爵はそのような話をしている間に、カエール侯爵はアンヌに夢中だった。
 舞踏会が終わるまで、何曲も一緒に踊り、外で少し話をしたり・・・アンヌが帰るときに、別れを惜しむように馬車のところまで送り、少し立ち話をした。
 でもポルニャク家の次女が帰っても、カエール侯爵は私のところに戻ることはなかった。

 全ての客が帰り、ジェアン伯爵だけ残った時に、私とジェアン伯爵に近づいてきた。
 「どうだった?」とジェアン伯爵は聞く。
 「あと2・3回会えば、申し込もう。次どこで会えるかなぁ」
 「2週間後の僕の屋敷でのディナーでどうでしょう」
 「頼む、ジェアン」
 「分かった。ポルニャク家に招待状を明日にでも送るから」
 「ありがとう」
 「カエール、僕はこれで」
 「あ。マリーが待っているんだろう」
 ジェアン伯爵は微笑んで、私に一礼をした。
 親友を見送った後、私に
 「アリアネ、書斎」と。


                                    つづく
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