翌朝私とカエール侯爵は書斎で我が国の歴史を勉強していた。
突然、書斎のドアが開かれ、ドノヴァン公爵が真剣な顔で入ってきた。
「お前じゃないんだな」と口に出した言葉だった。
「おはようございます、父上。話が見えませんが」
「今朝、お前の兄、ジャン、と昨日嫁にむかったジョアネの死体を二人の部屋で見つかった。お前の仕業じゃないんだなぁ」
カエール公爵は少し驚いた顔で
「いいえ、ワタシではありません。昨日、父上も知っていると思いますが、ここで舞踏会を開いていたので、この一週間忙しかったし・・・それにワタシは身内を殺したりはしません。特にワタシの兄にいたる者」
一番近くにあった椅子にドノヴァン公爵が座った。
「・・・だろうな」
「母上は、今どこですか」
「家で泣いている」
「葬式の準備は?」と冷静に話す侯爵だった。
「葬式か」
「ワタシに葬式の準備を任せてください。父上は母上のもとに戻って、傍にいてあげてください」
「頼む・・・明日にでも全部片付けてくれ」
「フランスア兄を呼ばないと。二日後にしましょう」
「そうだったなぁ」
「父上」
ドノヴァン公爵は息子を見る
「しっかりしてください。跡継ぎはどうしますか」
「お前にしようかと」
「ワタシは長くいきません。フランスア兄の方がいいと思います」
「でもフランスアは教会の者・・・」
「その話もワタシに任せてください」
「ああ」とドノヴァン公爵は帰ろうとした
「父上、しっかりしてください。感情と涙は母上に任せて、これからのことを考え始めないと。新しい将軍を選ぶことになるから、バランスを崩さないように・・・」
「分かっている、カエール。分かっている」と言いながら、書斎から出た。
侯爵はすぐ執事を呼んだ。
「お呼びですか」
「フランスア兄に手紙を書くから、手紙を届かせる者の手配を。そしてジャン兄の葬式は全部こっちに任されたので、葬式屋と教会の者と連絡とってくれ。名簿は後で渡す」
「かしこまりました。葬式屋と教会にもう話しておいた方がよろしいですか」
「頼む。葬式は二日後だと伝えてくれ。母上の様子を見に行く医者の手配も頼む」
「かしこまりました」
「それからフランスア兄はここに泊まることになるから、いつもの部屋の準備とアンジェリに明日の午後に兄上が着くと知らせてくれ」
「かしこまりました、すぐ手配します」
つづく
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