7ヶ月後。
カエール侯爵の部屋で、私と侯爵はアンヌ付の侍女を待っている。
ドアにノック。侍女が入ってきた。
「生まれましたよ。双子です。おめでとうございます」
「部屋に行っていいか」とカエール侯爵は聞く
「はい」と侍女は微笑む。
部屋に入ると、横になっているアンヌの隣に双子がいた。
カエール侯爵はアンヌの隣に座った。微笑むではないかと思ったが、双子を見るカエール侯爵の目はどこかで切なかった。
「女の子と男の子なの」とアンヌは少し弱まった声で言う
「ワタシは名前をつけていいか」とカエール侯爵。
「もう決めたの?」
「男の子と女の子、名前を一つずつ考えてあった」
「女の子の可能性を考えていたの?」
「ああ」
「男の子じゃなかったら、どうしようかと思っていた」
「ワタシは性別にこだわる男ではない。授かった命はどんな命であろうが、大切だ」
「二人の名前は?」
「次にのぼる太陽に、希望。男の子はラテン語で、太陽の神、エリオス。女の子はギリシア語で、希望の女神、エルピス」とカエール侯爵の指が子供達の鼻に触れる「色々任せて、ごめんね」と二人に向けた言葉だった。
私の勘だが、愛しい目で子供達を見るカエール侯爵はいい父親になれたと思う
「エリオスにも、エルピスにも、大学まで勉強して、そして留学もして、世界のことを知ってほしい。ワタシは今生でできなかったことを二人に背負わせることになるが、自由に生きてほしいな」と侯爵は双子たちと少し遊んでいる。
侯爵の声は遺言を伝えるような口調。
部屋にいる者は何も言えない。アンヌは泣いている。
カエール侯爵はアンヌの頬にキスをした
「ありがとう」と呟く
つづく
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