私は彼女を見る
雲が山を見るように
名を呼ばず
なぜとも問わず
彼女のまなざしの中には
二つの空がある
思考する空
言葉を持たない空
あるとき彼女は生きている
まるで生まれたことがなかったかのように
あるとき彼女は愛している
まるで愛を学んだことがなかったかのように
一つの流れは記憶から来て
一つの流れは〈無〉からまっすぐに流れる
私は選ばない
ただ、視ている
二つの光の流れが
彼女の中を同時に流れているのを
そして私は愛する
風が空を愛するように
留まる理由を
必要とせずに
今夕、冷たい風が
私を横切っていく
すべての問いは
風に運ばれていく
私はそこに座る
もう誰も書いていない
ただ「書くこと」だけが
みずから起きている
私は書く
雨が降るように
自分がどこへ落ちるのかも知らずに
非人だけが
聴き取ることができる
誰も歩いていない
それでも現れている
その道を
