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オレの愛しい人…
その人は困っている人を放って置けない
オレとの出会いもそうだった
初めての土地で道に迷っていた時
「May I help you?」
かじりつく様に地図を睨んでいた視線を上げると覗き込む様にオレを見つめる彼女に一瞬で心を奪われた。
惚けるオレに言葉が通じなかったのかと眉を寄せた後、安心させるように優しい笑顔を浮かべて
「どこに行きたいの?」
地図に視線を移して身を寄せて来る彼女にオレの心臓の音が大きくなる。
それを悟られない様に平静を装って目的地を指差すと
「それなら こっち!」
彼女は初めて会ったオレの袖を軽く引いて目的地へ足を向ける。
歩きながら身振り手振りを駆使して話しかけてくれた。
ころころと瞬間ごとに変わる表情に目が離せない
目的地の事よりも すっかり彼女が気になってしまったオレは少しでも繋がりを断ちたくなくて別れ間際なんとか連絡先を交換して今に至る
とはいえオレ達の関係性は…トモダチのまま
今日はその彼女の誕生日
突然、好きと伝えたら困った顔するかな?
でも、もっと近付きたい…だから
『ねぇ、ヌナ…』
「あ、困ってる人発見!ちょっと行ってくる」
肩すかしをくらった事に思わず笑いがこぼれる。
でも、こんな彼女だから好きになったのだから仕方ないと思い あの時と同じ様に未だ身振り手振りで対応している彼女の姿を見つめていると 相手が同じ様に彼女を好きになってしまうのではないかと不安が胸を締めていく。
そんな時こちらを振り向いて笑顔でオレに手招きする姿を見るとモヤモヤしていた心がすーっと晴れて行く。
そして、あの頃の変わらず心臓の音が聞こえてくる。
この案内が終わったら 真っ先に伝えよう
『ヌナ、お誕生日おめでとう!オレはヌナが大好きだよ!ずっと一緒にいて下さい』って…
ヌナ、どんな顔するかな?
それがオレの大好きな笑顔でありますように…
meny
仕事で疲れてるのかも知れないけど最近連絡も少ない
『えっ、あ〜ごめん』
本当、何考え込んでるんだろう?
もう一緒に居ることに飽きたとか…
あーっ、ダメダメ︎
1人で悩んだって悪い方にしか考えられない!
そんなこんなで今に至る
「だって、忙しいんだろうし…」
[忙しくても そんなの感じ悪い!私が文句言ってやろうか?って言っても あれだけヌナ〜って惚れ込んでたのに突然変わっちゃうのも不思議だよね〜?う〜ん、勘違いかもしれないし何か仕掛けてみたら?]
『何かあった?』
『ごめん…ちょっと手の離せない用事があって…』
「そっか〜、残念!じゃあ、また 今度ね!」
でも、何のお誘いもないって事は忘れちゃったのかな〜?
[もしもし〜、この前のどうなったかと思って電話してみたけど、その声の感じだと解決できてなさそうだね]
「あはは〜ごはんに誘ってみたりもしたんだけど断られちゃったし…」
[こら、ムリして笑うな!]
「心配かけてごめん!でも、大丈夫だよ〜」
「うん、大丈夫…」
朝からため息を何回ついたんだろう
間も無く今日が終わる
足音を立てないように玄関に向かいドアスコープを覗くと そこにいたのは
『ヌナ、話があるんだ!ついてきて』
そんな私の手首を掴んでグイグイ進んで行く姿に
『うち!いいから、ちゃんと着いて来て!』
『いらない!ってか点けないで!』
「ええ〜〜!?」
その灯りが照らし出したのは
薄暗い中、目を凝らして見るとそこには
『あはは〜、オレからのメッセージ』
『考え違い?』
「最近、上の空だったり なかなか会えなかったりで…もう一緒にいられないって言われるんじゃないかと不安で…」
『そんなわけないよ〜!ヌナの誕生日にサプライズをしたくて…!あ〜っ、でもそのせいでヌナが不安になってたなんて〜〜!!』
「ううん、私が勝手に不安になっただけだし…あ、でも私は…」
『ヌナ〜〜、あんまり可愛い事言わないでよ!帰したくなくなる』
その温もりに幸せがあふれてくる
『ヌナがイヤって言うまで離れないよ…って ん〜〜、イヤって言っても離してあげられるか自信ないかも』
「なに〜?」
『ねぇ、ヌナ〜〜』
「だから な〜に〜?」
『ヌナが遠いんだけど〜』
「え、今お茶を」
『ダメダメ、今すぐ近くに来て〜』
『まだ、遠いよ』
『まだまだ』
「え、でも」
…実はヌナのお友達からお叱りを受けたんだよね』
「えっ?」
『サプライズの準備だろうが何だろうが会えない間、ヌナがすっごく、それこそ消えそうなくらい落ち込んでたって!オレ、ヌナのためとか言って逆にさみしい思いをさせてたんだよね』
なんてオレがそうしたいだけなんだけど(笑)』
「でも、これじゃあ お茶も淹れられないよ」
『う〜ん、じゃあオレがくっついて行けばいい』
「それは動き辛いし火傷とかしそうで危ないよ」