身体の教化書

身体の教化書

セラピスト山口光國が伝える、身体のコンディショニングのコツとポイント。

状況別での行動タイプの選択。

牛は、状況に合わせて、消極回避、情動焦点そしてもちろん、問題焦点型を使い分けていました。

戦況に応じ、それができないと長いシーズンを安定して成績を残すことができない。

先発であるなら、1球目から最後まで全て全力投球は持たない。

相手を見て最も適切を選択しなければ、、、

そう考えていたからです。

 

特に、問題焦点型を選択しなければならない時は、あらゆる結果を想定して、どのように対応するか決めていました。

また、これがすごすぎるんです。

”過去を踏まえて”、つまり、これまでの過去のデータを踏まえて

”未来を見据え”、つまり、良い結果と悪い結果、共に考えて、

要は、最悪の結果も想定して、すべきことだけではなく、絶対にしてはいけないことのどちらを優先するかを考え、今一番適切な行動を選択する。

さらに、今から起きる結果を未来に繋げる。

これを前提とした、問題焦点型タイプの選択なんです。

 

何が何だかわからないですね。(笑)

例えば、ある時、ピッチング談義を若手の選手二人がしていた時のことです。

そこに牛が現れると、二人が話を聞いて欲しいと言われたそうです。

まず、抑えをしていた〇〇投手が

「ピッチングは結果。結果、抑えられれば、それでいいと僕は思うんですよ。」と

それに対し、先発の△△選手は

「いや、それは違う。結果が良ければ全て良しじゃ、博打と一緒。それじゃ、安定した結果は得られない。大事な場面で使えない。ピッチングは確率が大切」

それを聞いて、牛は

「〇〇。それじゃ、長いシーズン持ちやせんぞ。それに、確かなデータを確認できなければ、大事な場面。お前にはよう任せられんわ。行き当たりばったり。そんなんじゃいい成績は残せるはずないやろ」

それを聞いて△△は

「ですよね〜」と満足げ。

それに対し、牛は

「△△。お前はもっとアホじゃ。」

△△選手は目が点でした。

「お前、何も気ぃついてへんやろ。確率、確率言うて、お前、打者が追い込まれた時の構え、見てへんやろ。みんな、お前が2ストライクとると、ぜ〜んぶその後の決め球。低めに来ること分かっとんじゃ。そやから、2ストライクまで追い込まれた打者は、次のボール、上に来ること捨てて、全部低めに焦点を合わせた構えになっとるんじゃ。そこに、確率、確率言うて、低めに投げよる。お前が打たせているようなもんじゃ。あほ。

いいか、二人ともよう聞いておけ。

ピッチャーはな、

確率で投球を決めるんじゃない。

自分自身で確率を作るもんなんじゃ。」

と一喝。

これ、半端じゃなく、すごいことなんです。

状況別行動選択で、情動焦点型を選択して牛はど真ん中に投げ込んだ。

実は、これは裏付けのある経験からの選択なんです。

 

牛は入団して開幕すると、一軍に登録されましたが、試合には一向に使われず、主力打者の打撃練習用の投手として使われていたそうです。

 

内心

「なんや〜。試合出してくれんのじゃったら、下に落としてくれた方がええのに。その方が練習になる。」そう思っていたそうです。

ですが、チームには勝ってほしいし、与えられた仕事。

やはり、しっかり務めなぁあかん。

と考えて、変なボールの変化が打者の手元で起きないように、丁寧に、綺麗な回転のストレートボールを、しっかりと求められたコースに投げ込んでいたそうです。

すると、打者がことごとく嫌な顔しながら、睨んでくるのだそうです。

その仕草から、

『手元でボールが変化してるんちゃうか?』といった感じで

 

牛は「やりたくもない仕事、しっかりやってるのになんや。変化なんかしてへんわ。」と、ちょっと、ムッとして

それまで、無理に力入れず投げていたのに、「ほな、ええわ」と、力入れて投げ込んでやったそうです。

 

その結果『え〜〜〜〜〜〜!!??』

ほとんどのボール、スタンドに運ばれたそうです。

 

流石に、この時の牛は、頭ん中???だらけだったよう です(笑)

 

その時に、「もしかして、投げたボールやのうて、投げ方か?」

と頭に浮かび、すぐに確認に入ったそうです。

 

同じ力で同じまっすぐ(ストレート)。

それも全て真ん中。

変えたのは、極力、ギリギリまで体を正面(打者側)に向けない投げ方と、若干、早めに体の正面を打者側に向けた投げ方。

 

結果。

ギリギリまで我慢した投げ方をすると、3割のバッターは真ん中に来た、それも球種がストレートとわかっていても、タイミングがつかめず、3割しかヒット性の当たりがなく、2割のバッターは2割。

それが、力んだ状態。つまり投げ急ぐと言われますが、体が早く打者側に向いた投げ方は、一流の打者になればなるほど、打ち損じがなかったそうです。

 

一流になればなるほど、打ち損じが少なく、打率は打ち難い投げ方の投手に対しての成績と考えるべき。

 

打たれ難いのは、

第一に、投げる時の体の使い方。

ボールの変化、コースはその次。

 

一流の打者に対しては、この第一のポイントがクリアされていなければ歯が立たない。

そして、一流に対しては、その上でボールの変化、コースが重要となる世界。」

牛は、その時にそう考えたそうです。

 

ただ、一生懸命だけではダメなんですね。

自分にだけではなく、相手にも目を向け、ちょっとした変化、事実に気づかなければできないことです。

 

が、それを元に確認作業に入り、答えまで導いてきた牛

 

だからこそ、情動焦点型を選択し、真ん中に投げ込むことができたんです。

 

本当に化け物です。

次は情動焦点型。

 

読売ジャイアンツには、その頃、外側に来たボールは逆らわず、自分が向いている外側の方向へ、内側に来たボールは引っ張るように内側に打ち分け、非常に打率の良い選手がいました。

その選手に対してのある時の牛の対応が、これに当てはまると思います。

実名を出してもいいのですが、牛は聞いているこちらが楽しませるように、牛流ジョークで語ってくれているもので、ここでの話をまともに受け取られてしまうと、まるで、牛がその選手をバカにしていると捉えられてしまいそうなので、やはり実名は出さずに紹介します。^_^;

 

その選手は、際どいコースは、無理せずバットに当てて、コースの甘いところに来たボールだけをしっかり打つため、とても苦労していたそうです。

そんな折、オールスターに選出され、その日は出番がないため、ベンチで試合を観戦していると、牛の前のベンチでその選手と、他の選手がバッティング談義をしていたそうです。話が途切れた瞬間に、丁度いいと、その選手に、

「〇〇さん、〇〇さんが打ちにくいコースってあるんですか?」

と何気に聞くと

「内は内、外は外。でも、真ん中くるとどっちに打っていいか迷うんだよ。」と答えたそうです。

牛が「まさか〜。ほんまですか?」と聞くと。「本当だよ。あれ迷うんだよな」

と答えたそうです。

そして、オールスター戦も終わり、後半のリーグ戦に入り、読売ジャイアンツ戦でその選手が打席に入った時、考えたそうです。

「ほんまに、この人、真ん中のボール苦手なんやろうか?」

普通、そう考えても、真ん中へ投げ込むことはまずないと思います。

 

それが、

牛は投げたんですよ。

ど真ん中に。

 

牛がマウンドに上がっているということは、同点か点差がありで勝っている状況。

この時は点差があり勝っている状況。

ランナーはなし。誰も塁にはいない状態。

そこで考えたそうです。

「ほんまに、この人、真ん中のボール苦手なんやろうか?

ランナーもおらんし、それに〇〇さんは長打はそうそう打たへん。

打ったとしても2塁打。

そのあと抑えれば点は入らんやろ。

この先もあるし、試したろか?」

ですって。

 

そして、際どいコースのボールを使って、平行カウント

2ボール2ストライク

間違いなく、甘い球は打ちに来るカウントです。

 

そして、

そうです、ストレートをど真ん中に

 

結果

 

「ほんまに、ど真ん中投げたら、『うっ!!』言うて見逃しの三振しよりましたわ」

ですって。

 

もちろん、その後毎回、決め球にど真ん中に投げるなんてことはしていませんよ。

 

状況を十分に把握して、

 

なんです。

 

以後につなげるための、そのための、行動選択

 

情動焦点型

 

しかし、普通はどう考えてもできないですよね。

 

すごいです。