ギターを長年弾いてきたんだけど、やはりその都度その都度コピーしてきた曲・聴いていた曲は変化している。
そこで!
ギター人生を通しての「俺のギター名盤」を紹介していきたい。
僕はもともとギターを始めてから音楽を本格的に聴き始めたタイプなので、リスナー型というよりプレイヤー型の音楽の聴き方をしている。
音楽を聴く際、「曲が良い」というのはもちろんありきなんだけど、その次にくるのはやはり「ギターがカッコイイか」ということ。
そういった音楽の聴き方をしてきたからこそ、今の僕のギタースタイルが築かれたのではないか?と思ったりもする。
そういった僕の人生の中の「ギター名盤」を紹介していきたい。
さて、前置きが長くなったけど早速始めよう。
今日の「俺のギター名盤」
Little Barrie
「We are little barrie」
Little Barrieはイギリスのノッティンガム出身の3ピース・ロック・バンド。ドラムは都度入れ替わりになってるけど、ギター・ボーカルのバーリー・カドガンとベースのルイス・ワートンは固定メンバーだ。このアルバムは彼らのデビュー・アルバム。
Little Barrieの音楽は60年代のロックやR&Bを彷彿とさせる余計な装飾を施さないシンプルなギター、ベース、ドラムスのサウンド。
そのかたちはこのファースト・アルバムですでに確立されている。
演奏だけを見るとそこまで真新しいわけでもないし、また際立って上手いわけでもない。
だけどすごくタイトに演奏されていて聴いていてとても気持ちが良い。
アルバム全体を通してサウンドがいい感じに「こもって」いてヌケの良い最近のロック・サウンドとはひと味違った魅力が満載だ。
なんていうか、ヒップ・ポップでサンプリングされるような昔の曲ってあるじゃん?
「元ネタ」ってヤツ。
それを現代版で再現したって感じだったから初めて聴いた時、「うおー、この手があったか!」と思ったのを覚えている。
「こもった」サウンドならではの温かみがある質感に何とも言えずにグッときたんだな。
まだあどけないバーリーのボーカルも初々しくて良い。
曲はすべてシンプルかつストレート。
なのにコテコテのロックンロールにならないのはやはりコード感が大きいね。
基本は7thコードが用いられているんだけど彼らの代表曲「Free Salute」で見られるようなメジャー7thのジャジーなコードが随所に使われていて、それが彼らの楽曲をちょっとオシャレにしている。ニクイね!
ベースはスタッカートを効かせずうねるような感じで、当時のドラムスのウェイン・フルウッドの超シンプルなドラムとの対比が独特のノリを生み出している。
さて、ではギターを見ていこう。
Little Barrie のギターはバーリー・カドガン。
3ピースのバンドだからギターとボーカルを担当している。
この人はすごく好きなギタリスト。
ここ最近で僕が最も刺激と影響を受けているギタリストかな。
ファースト・アルバムでバーリーのギターを聴いた時の僕の感想は
「下手くそなギターだな」
だった。
テクニカルなプレイはあまり見られなかったし、ギターの音色もあまりにもクランチすぎて惹かれるものは無かった。
だがしかし!
彼はアルバムを追うごとにギターの腕をメキメキと上達させた!
もともとバーリーはピックでバリバリロックギターを弾くタイプではなくてサムピックを用いて繊細なニュアンスでピッキングするタイプのギタリストだったけど、アルバムを追うごとにその腕前はメキメキ上がっているのが分かる。
サムピックはチェット・アトキンスのようなカントリー・ギターのギタリストがよく用いるピックで、親指にはめてアルペジオのような奏法をすることでギターの演奏に深みを与えることができる。
サムピックはルート音と単音を同時に弾くことができるため、まるで2本のギターで演奏されているようなギターを1人で弾くことができる。
当然マスターするのはメチャクチャ難しい。
僕もまだマスターできていない‥。
サムピックの難点はやはり右手の指をすべてバラバラに動かして弦をピッキングしなければならないこと。
普通のピックは親指と人差し指で挟んでそのピックだけで弦を弾くだけなのに対して、サムピックは親指にはめてその他の自由な指も用いて弦を弾いていくスタイルをとる。
正確な指使いによるピッキングと弦を弾いた時のアタック音が小さくならないことに注意しなければならないので難しいテクニックだ。
バーリーはこのサムピックの名手だ。
彼らのアルバムを聴くのもいいんだけど、実はバーリーのYouTubeを観るとその凄さが分かる。
ファーストの頃の彼のギターはやや「つたない」印象を受けるんだけど、ここ最近の彼のYouTubeを観ると‥
その超絶サムピック・ギター・プレイに驚かされる!
彼のギターを聴いていると多分バーリー自身、ボーカリストである以上にギタリストなんだろうな〜って気がする。
多分彼も自分でそう思ってるんじゃないかな。
僕は彼のそういうところがすごく好きだ。
本当にギターを楽しんで弾いている感じがする。
オールディーズなギターから沢山のテクニックを拝借して自分のギターに落とし込んでいくそのセンス!
古臭いギター・プレイでさえきちんと自分のものにして現代風なニュアンスでプレイしているのが本当にすごい!
僕自身彼から受けた影響はすごくあって、それは例えばサムピックだったり、ピッキングのニュアンスだったり、クランチ気味の音色だったりとにかく沢山だ。
ギター・プレイの他にも彼からの影響はある。
僕は彼のファッション・センスがすごく好きだ。
革ジャンにデニムにブーツ。
まるで60年代のロック・スター、例えばクリームの頃のエリック・クラプトンやジミ・ヘンドリクスのようなとてもクラシカルなロックの服装を好んでしている。
かといって古臭い「野暮ったい」ものにはなっていなくてあくまで現代風にスタイリッシュに着こなす彼のセンスは最高!
それから彼の使用ギターからも影響を受けている。
バーリーのメイン・ギターはギブソンのチェリー・レッドのES330。
僕が使用してるのはエピフォンのカジノで色は彼と同じチェリー・レッド。
この2つのギターはよく比較対象に用いられる。
ギターのデザインも似ているし、ピックアップがP-90という点も似ているからだ。
僕がカジノのチェリー・レッドを買った理由の一つにバーリーからの影響があるのは間違いない。
優れたギタリストというとどんなイメージが浮かぶ?
昔の僕はいかにもロックなサウンドで、歪んだ音色のギターを派手にぶちかますギタリストを想像してた。
だけどバーリーのギターのようにクランチ・サウンドで渋いリードを弾きこなすギターにも確実にロックを感じることができて、だからこそ僕は彼のギターが好きになったんだと思う。
僕が何回も言っているように、ギター・ヒーローっていうのは単純にテクニックの面で優れているだとか、ミスをしないだとか、見た目がカッコいいだとか、そういう表面的な部分を超えた部分で自分が共感できる「何か」を持っている人だと思う。
そういう意味でバーリーって僕にとってすごくギター・ヒーローって感じなんだよね。
僕の好きなギター・ヒーロー達と同じ匂いがするんだよね。
バーリーの初々しいギターを楽しめるファースト・アルバム。
中でもやっぱり代表曲「Free Salute」には彼らのやりたいことや魅力のすべてがあるから必聴だ!
Little Barrie
「We are little barrie」
ギタリストなら聴くしかない!
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