ギターを長年弾いてきたんだけど、やはりその都度その都度コピーしてきた曲・聴いていた曲は変化している。



そこで!



ギター人生を通しての「俺のギター名盤」を紹介していきたい。



僕はもともとギターを始めてから音楽を本格的に聴き始めたタイプなので、リスナー型というよりプレイヤー型の音楽の聴き方をしている。



音楽を聴く際、「曲が良い」というのはもちろんありきなんだけど、その次にくるのはやはり「ギターがカッコイイか」ということ。



そういった音楽の聴き方をしてきたからこそ、今の僕のギタースタイルが築かれたのではないか?と思ったりもする。



そういった僕の人生の中の「ギター名盤」を紹介していきたい。



さて、前置きが長くなったけど早速始めよう。








今日の「俺のギター名盤」



The New Mastersounds

「102%」



イギリスのディープ・ジャズ・ファンク・シーンを代表する4人組バンド、The New Mastersoundsの4枚目のスタジオアルバム。どこを切り取ってもThe J.B.’sやThe Meters等直系のファンクネスを楽しむことができる傑作名盤だ。



ジャズ・ファンクはひと昔前に再評価されたマイナーな音楽ブームで、「知る人ぞ知る」みたいなところはあったけどカッコいいバンドが沢山あった。



Jimmy Smith, MMW, Soulive, The Baker Brothers,The Speedmeter等をよく聴いていたな。今でも聴くけど。



ファンクの繰り返しのリズムの中で繰り広げられるジャズの即興演奏は「その時」にしか演奏できない「瞬間」をパッケージしたもので、だからこそ各プレイヤーのスリリングな演奏を楽しめる。



The New Mastersounds(以下TNM)はギタリストのエディ・ロバーツを中心に結成されたイギリスのバンドだ。



編成はギター、ベース、ドラム、ピアノというオーソドックスなバンド編成。



どのプレイヤーもかなりの手練れなんだけどテクニックを見せびらかしたりすることはあまりしていなくて、随所で曲にバッチリハマった珠玉のフレージングを聴かせてくれる。



聴いていて「くぅ〜、ニクいね〜兄さん!」と思わず言いたくなっちゃう。(←誰やねん‥)



TNMは大好きなバンドでライブも観に行ったことがあるけど、最初はそんなにピンとこなかった。



親友に勧められて聴いた時は当時の僕にはすごく「実験的」に聴こえたからだ。



僕のすごく悪いクセとして、人から勧められたものや自分が知らないものに対して「色眼鏡」で見てしまうところがある。



TNMに対しても確かにそういう部分があったのは大いに反省しなければならない。



良いものはどんな「色眼鏡」で見たところでやはり良い以外の何者でもないのだ。



TNMのこのアルバムもそうだったので僕はいともあっさり好きになったのだった。



タイトル曲の「102%」から始まり、「Witness」、「Carrot Juice」と怒涛のグルーヴが雪崩れのように押し寄せる。



「Give me a minute」で聴かれるイギリスのバンド特有のグルーヴ感は彼らの十八番だろう。



このまま息継ぎ無しのファンクが繰り広げられるかと思いきや、「Colorad Sun」、「Forgiveness」等ではゆったり・しっとりとした雰囲気でクールダウンさせてくれる。



とは言えやはり圧巻なのは各々のアドリブ演奏で、楽曲は一発録りなんだけどほぼノーミス。



しかも一発録りというプレッシャーを感じさせないのびのびとしてかつイマジネーションに溢れたアドリブが繰り広げられる。



一発録りってミスできないから、そこに気をつけると縮こまった演奏になりがちだ。(僕も経験あるけど)



ここまでアドリブを繰り広げられるのはやはり圧巻としか言いようがない!



それじゃあギターを見ていこう。



TNMのギタリストはエディ・ロバーツ。






エディ・ロバーツのギターはシングルコイルのピックアップともハムバッカーのピックアップとも違った音色を聴かせてくれる。



これは初期の彼の使用楽器であるエピフォンのカジノや、現在の彼のメイン使用楽器のギブソンES330に搭載されているP-90のピックアップによる音色だ。



ジャズやファンク、ブルースのギタリストが愛用することが多く、彼もしっかりとその系譜に連なっている。



軽すぎず太すぎずの絶妙なトーンのギターが、おそらくフェンダーと思われる真空管のアンプを通して響きわたる。



歪むか歪まないか‥その絶妙なラインのクリーン・トーンのギターは聴いていてとても気持ち良い。



エディのギターはいわゆるファンク系のギタリストとは違っている。



それはカッティングの奏法において特に顕著で、スティーヴ・クロッパー等のファンク・ギタリストに見られるような「歯切れのよいパーカッシブなカッティング」は彼のギターには無い。



右手の手首をファンキーにストロークして「チャキチャキ」という音を出す代わりに、彼は右手の指先付近で弦を撫でるようにして「湿った」カッティングを聴かせてくれる。



歯切れの良いカッティングとはまたひと味違ったファンキーさがあってそれがすごく良い!



歯切れの良いファンク・ギターに慣れている人にとってはちょっと違和感があるカッティングなんだけど(僕もそうだった)、慣れてしまうと結構癖になるカッティングで今は僕も彼のカッティングを盗ませてもらっている。



そしてアドリブにおけるギター・ソロ。



クリーンな音のギターでギター・ソロを弾くと、プレイヤー個人の技術がもろに分かる。



アンプのゲインやエフェクターによってごまかすことができないからだ。



普段ギターを「弾けてるつもり」でもクリーン・トーンで弾いてみるといかに自分が「弾けていないか」が残酷なくらい分かってしまう。



コードがしっかり押さえられていなかったり、フレージングが途切れたり、しっかりピッキングできていなかったりすると、それは本当にそのまんま出る音に反映されてしまう。



これを踏まえてエディのギターを聴いてみると、彼の凄さが分かる。



僕は正直、最初に彼のギターを聴いた時何がすごいか分からなかった。



ロック・ギターに見られるようなギターの音圧も無かったし、かと言って特別な何かをするわけでもない。



カッティングでバッキング・ギターを弾き、随所でソロを弾くだけ。



しかし僕自身のギターの音がロックっぽいものから、ファンクっぽい音に変化してくるにつれ彼の凄さが分かるようになっていった。



フレーズを突っかかることなく滞りなくスムーズに弾きこなす技術であるとか、アドリブの中で印象的なフレーズをいくつも登場させるセンスとか、とにかくその技術・センスはただただ驚異的だ。



どうやったらこんな技術やセンスが身につくのだろう?なんて思ってただ感嘆したりする。



そんな訳でエディは今や僕のお気に入りのギタリストの1人だ。



僕はエピフォンのカジノを愛用しているけど、そこには彼からの影響ももちろんある。



エディのギターに導かれるこのアルバムの楽曲はどの曲もフロアを揺るがす最高のファンク・ナンバーだ!



The New Mastersounds

「102%」

ギタリストなら聴くしかない!













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