ギターを長年弾いてきたんだけど、やはりその都度その都度コピーしてきた曲・聴いていた曲は変化している。
そこで!
ギター人生を通しての「俺のギター名盤」を紹介していきたい。
僕はもともとギターを始めてから音楽を本格的に聴き始めたタイプなので、リスナー型というよりプレイヤー型の音楽の聴き方をしている。
音楽を聴く際、「曲が良い」というのはもちろんありきなんだけど、その次にくるのはやはり「ギターがカッコイイか」ということ。
そういった音楽の聴き方をしてきたからこそ、今の僕のギタースタイルが築かれたのではないか?と思ったりもする。
そういった僕の人生の中の「ギター名盤」を紹介していきたい。
さて、前置きが長くなったけど早速始めよう。
今日の「俺のギター名盤」
WINO
「Useless Music」
90年代も終わりに近づく1998年にデビューした日本人5人組ロックバンドの1st アルバム。
WINOは世間的にはあまり有名では無いバンドだけど、僕にとって非常に重要で大切なバンドだ。
このデビューアルバムはそれまでの邦楽ロックのような「歌謡曲」とは一線を画した、完全なギター・ロックのポップスが散りばめられた傑作だ。
ボーカルの吉村の歌い方はオアシスやシャーラタンズといった現役のUKロックのヒーローを感じさせるもので、楽曲もそれまでの邦楽ロックには無かった海外(特にイギリス)のフィーリングを感じさせるものだった。
それゆえに一部の熱烈なUKロックファンからは随分色眼鏡で見られたようだけど、一度その魅力に取り憑かれてしまえば好きな人にはとことんどツボの音楽だったため、そういったファンからは熱烈に支持された。(僕もそう)
特筆すべきはやはり楽曲の良さ。
ボーカルの吉村のメロディ・メイカーとしてのセンスは明らかに抜群で、「Devil’s Own」、「White Room」といったマンチェスター直系のギターロックチューンから、「Wildflower」、「She」等のコテコテのUKロックチューンまで、とにかくメロディの良さが際立っている。
その日本人離れしたメロディ感覚がバンドのグルーヴと合わさった時の爽快感といったら最高だ!
WINOの特殊だった点はメロディだけではなく、バンドのグルーヴにもあった。
それまでの邦楽ロックには無かった海外(特にイギリス)の横揺れロックのリズム感をバンドに持ち込んだのはこのバンドが最初だ。
それは例えばストーン・ローゼズやシャーラタンズ、クーラ・シェイカーといったイギリスのロック・バンドが持ち合わせていたグルーヴ感で、当時の日本にはそれを良くも悪くも「そのまんま」再現するようなバンドは存在しなかった。
そう、WINOは自分たちの憧れでもあるUKロックを「そのまんま」日本という地で再現しちゃったバンドなのだ。
オレたちUKロックが好きなんだけど悪い?
そんな開き直りにも似た直球勝負ができたからこそ、彼らは特別なバンドになったのだ。
だからそんな音楽が好きな人達から熱烈に歓迎されたのだ!
オアシスに似てるし、シャーラタンズにも似てるけど、別にカッコ良いじゃん!
そんな人たちから熱烈に支持されたのだ。
僕も熱烈に彼らを好きだったファンの1人で、最後のライブを観に友人と新宿リキッドルームに行ったのは懐かしい思い出だ。
このアルバムを最初に聴いたのは高校3年生の冬。
高校時代にバンドを組んでドラムをしていた親友に勧められて。
WINO は「Loaded」を知っていて、和製オアシスでしょ〜、オアシスのパクリでしょ〜みたいな軽いノリで聴いてみたら‥
超ビックリ!
めちゃくちゃいい!
下手すりゃ本家のUKロック勢よりメロディ良くない!?みたいな曲のオンパレード!
かくしてあっという間に僕はWINOのファンになったのでした。
それではギターを見ていこう。
WINOは基本はリードギターが久永直行、リズムギターが外川慎一郎というツインギター編成。
とは言え、曲によってはリードとリズムが入れ替わったりもしていたからそこまで明確に住み分けしていた訳ではないようだ。
若かりし頃の僕はとにかくWINOのギターをコピーしまくった
とにかく弾いていて面白い!
UKロックのギターってコピーしてみるとコード弾きだけだったり、簡単なフレーズばかりだったりして結構退屈だったりする。
イギリス人の国民性なのかな?笑
対してWINOの2人のギタリストは日本人だからか、とにかくフレーズが凝っていて弾いていて面白い。
片方がリードを弾く時は片方がコードを弾くみたいな単純なギターの方法論ではなく、お互いのギターの絡みを楽しむようにギターフレーズが組まれている。
2人のギターはチャンネルで左右に振り分けられているのでヘッドホンで聴いたりするとそれぞれのギターを存分に楽しむことができる。
それから久永と外川という2人のギタリストはそれぞれにちょっと違った持ち味のギターで曲にアプローチをかけていて、それも聴いていて面白い。
まずリードギターの久永。
UKロックを軸にしたWINOの楽曲の主軸のギターを弾く人だから、さぞかしUKロック直系のギターを弾くのかと思いきやそうではない。
むしろ彼のギターにはオーソドックスなロックギター‥‥というよりは少しアングラな匂いがするギターという印象が僕には強い。
「Devil’s Own」でこそ王道のUKギターっぽいギターリフを聴かせるものの、その他の楽曲においては王道というよりは微妙に「ハズれた」フレーズのソロを弾いたり、ボトルネック奏法をしてみたりと、そこまでUKロックっぽいギターは弾いていない。(それは後のアルバムでもやはり変わらない)
実は久永のギターのこのアンバランスさこそが、WINOというバンドを「単なるUKロックのコピーバンド」から一つ抜け出したものにしている。
と言うのも彼以外の4人は比較的UKロックの伝統を忠実に再現しているのに対して、そこにそうではない久永のギターが加わることによって「UKロックのコピーバンド」路線から逸出させてオリジナルなものにするのに貢献しているからだ。
彼のギターのこの絶妙なアンバランスさによる違和感が、WINOの魅力でもあるのだ。
ギターの腕前自体は正直そこまで高い訳ではないのだが、他の4人とちょっと違った音楽感覚を持っているからこそのギターフレーズの展開の仕方がありそれがとても素晴らしい。
次にリズムギターの外川。
実は彼の方が久永よりも王道のUKギターロックの流れを組んだギタリストだと言える。
例えば「Wildflower」でのバッキングギター、「White Room」のメインギターリフ(実はこのリフは彼が弾いている!)、「She」のリフ&バッキングギター等はまさに王道のUKギターロックであり、外川のギターはその系譜に属するギターとなっている。
後のアルバムではアルペジオによるバッキングの構築等、コード弾きに頼らないバッキングを楽曲にあてたりしていてそれも聴いていてとても面白い。
このようなタイプの違う2人のギタリストのギターの絡みによってWINOの楽曲は構成されていて、これも見どころの一つとなっている。
何よりも僕が彼らのギターで好きなところは、そのフレーズから「ギターに対するそれぞれの愛情とこだわり」を感じれるところだ。
それぞれリードギター、バッキングギターという枠にとらわれずに、それぞれに与えられたパートを構築することで楽曲に貢献するといった感じのギターの姿勢がうかがえる。
このアルバムでは2人ともメインのギターはレスポールを使用しているため、全体を通してずっしりとしたロックギターのサウンドを楽しむことができる。
久永はレスポールにアンプはマーシャル、エフェクターはRAT。
外川はレスポールにアンプはボックス、エフェクターはBOSSのオーバードライブ。
同じレスポールタイプのギターを使用しながらもアンプやエフェクターにもそれぞれの個性・好みが反映されていて、そのため若干違った音色のギターを楽しむことができる。
先に書いたようにWINOのギターは弾いていてとにかく楽しい。
久永のパートも外川のパートもどちらも楽しいのだ。
WINOのギターはツインギターでバンドをやる際、それぞれのギターの絡み等を考える際お手本にすべき教本のようなものだ。
それはこのアルバムに限らず他のアルバムにおいてもだ。
WINOの2人のギタリストのギターを通して楽曲に貢献する姿勢は明らかに「ギター少年の情熱」からくるものであり、そんな2人が生み出したギターパートだからこそ僕は熱烈に好きなのだ。
メロディとグルーヴ、そしてギターが完全に調和した「White Room」は必殺のギター・ロック・グルーヴ・チューンだ!
WINO
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