ギターを長年弾いてきたんだけど、やはりその都度その都度コピーしてきた曲・聴いていた曲は変化している。



そこで!



ギター人生を通しての「俺のギター名盤」を紹介していきたい。



僕はもともとギターを始めてから音楽を本格的に聴き始めたタイプなので、リスナー型というよりプレイヤー型の音楽の聴き方をしている。



音楽を聴く際、「曲が良い」というのはもちろんありきなんだけど、その次にくるのはやはり「ギターがカッコイイか」ということ。



そういった音楽の聴き方をしてきたからこそ、今の僕のギタースタイルが築かれたのではないか?と思ったりもする。



そういった僕の人生の中の「ギター名盤」を紹介していきたい。



さて、前置きが長くなったけど早速始めよう。








今日の「俺のギター名盤」



The Music

「The Music」




イギリス・リーズ出身の4人組のデビューアルバムにして名盤。



初めてこのアルバムを聴いた時の衝撃は未だに覚えている。



ただ一言、「なにコレ!?」これに尽きる。



アルバムを通して楽曲には深いリバーブとデジタル処理が施されており、曲によってはまるでブレイクビーツのようにスライスされたフレーズが散りばめられている。



しかもすべての楽曲はファンクとはまた違ったユラユラと不安定に漂うグルーヴに支配されていて、それが上に書いたものと相まってサイケデリックな高揚感を与えてくれる。



このデジタル処理と特有のグルーヴに満ち溢れた楽曲のオンパレードによって、中毒的な名盤に仕上がっている。



何よりも僕が驚いたのはこのThe Musicというバンドには、「デジタルっぽい」音の特色を与えるシンセサイザーなどの演奏者がいないということだ。



つまりこのバンド、ボーカル、ギター、ベース、ドラムという非常にオーソドックスでシンプルな「ロックバンド」の編成なのだ。



にも関わらず、まるでデジタルな、例えばケミカル・ブラザーズやプロディジーみたいなサウンドを出していたのだから驚愕だった。



当時、ストロークスを台頭とする「ガレージ・ロック・リバイバル」みたいな流れがあり、そういった流れのロックが流行っていた。



だが、このバンドはまるでその対極にいるようなバンドだった。



なので当時The Musicは「突然変異的に出現した異端児」のような扱いをされていたのだけど、僕の解釈はそうではなかった。



むしろ、ストロークスよりも彼らの方が必然的に登場したように思えた。



なぜなら彼らの音楽は、明らかに「当時の流行りの音楽を聴いてきた人間が創り出したもの」だったからだ。



先に書いたように、ケミカル・ブラザーズやプロディジー、もしくはその他のブレイク・ビーツやハウス系等の音楽を聴いて育った少年たちが、「よし、俺たちもバンドやろう!」と思った時に当然産み出されるだろう音楽だったからだ。



そういった流れの脈にそって必然的に登場した「人力ブレイク・ビーツ・バンド」こそ、The Musicだったのだ。



当時僕はこのアルバムをヘビロテで聴いていたんだけど、「どうやったらこんななるの?これどうやってやってんの?もう訳が分からないけど、とにかくカッコイイ!」と思っていた。



さて、じゃあギターを見ていこう。



ギタリストのアダム・ナッターのギターは、もはや何がなんだか分からない。



歪んだギターとワウ、深いリバーブ、ディレイのオンパレード。



もはやギターフレーズの骨格などないくらい、音の波のようになって曲を覆い尽くしている。



かと思えば「Take the Long Road and Walk It」や、「The Truth Is No Words」、「The People」では印象的なギターリフを聴かせてくれる。



これらの曲で聴けるギターリフは非常にオーソドックスなスケールを利用したリフだけど、それが古臭いハードロックにならないのはやはり楽曲によるものが大きいだろう。



楽曲がいわゆる「バンドサウンド」ではないからこそ、こういったハードで古風なギターリフが2倍も3倍もカッコ良く聴こえるのだ。



この楽曲にこのリフを載せるというそのセンスが素晴らしい。



このアルバムで聴けるアダムのギターは、非常にエフェクティブで空間的だけど、実はそれはリバーブとディレイというシンプルな2つのエフェクターの組み合わせであるから驚きだ。



こういった使い古しの手法がまったく新しいデジタルなサウンドに聴こえるのは、彼の機材のおかげでもある。



アダムは一つ一つのコンパクト・エフェクターを繋いでこのサウンドを作り出している訳ではなく、Zoomの大型マルチ・エフェクターを用いてこのサウンドを出している。



コンパクト・エフェクター特有の人肌の温かみがあるサウンドを使わずに、マルチ・エフェクターというとことんメカニックな機材を使用しているのは納得だ。



U2のジ・エッジやレディオヘッドのジョニー・グリーンウッド、レイジ・アゲンスト・ザ ・マシーンのトム・モレロなどはエフェクターを多用するギタリストとして有名だけど、そのギターサウンドには人間の温かみみたいなものを感じる。



対してこのアダムのギターはそういったものを一切排除し、とことん機械的なエフェクト処理をギターに施すことによって、ギターフレーズやサウンドに無機質な世界観を与えることに成功している。



The Musicのアダムのギターは、そういう部分が格段に斬新だった。



テクニックやフレーズうんぬんではなく、とことん楽曲の持つサイケデリックさを際立たせることに特化したギター。



こんなギターは僕はそれまで聴いたことがなく、僕の中にまったく新しいギタリスト像を築いたものだった。






ところでこのThe Music。



同じ時代のストロークスに比べると、人気やフォロワーが少なかったように感じる。



というのも、僕が思うに申し訳ないんだけど、そのルックス‥に原因があったんじゃないかな‥と思う。



ストロークスのようなスタイリッシュなファッション・センス(例えばシャツ&ジャケットに細身のデニム&コンバース)があったわけじゃないし、ストロークスのニックのような女子ウケするメンバーがいたわけでもないからだ。



彼らの音楽は完全に素晴らしいものだったから、もう少しルックスが良かったら‥とどうしても僕は思ってしまうのだった。(完全に余計なお世話だけど。)



The Strokes




The Music




とは言え、The Music のこの1stアルバムは間違いなく時代を切り取った名盤だ。



CDジャケットのように、どこまでもグルグルと渦巻く混沌のグルーヴに、レッド・ツェペリンを彷彿させるロブのハイトーン・ボーカルがシャウトする。



ロックバンドによるダンス・フロアを揺るがすビッグ・アンセム、「The People」はいつ聴いても当時と変わらず鳥肌ものだ!



The Music

「The Music」

ギタリストなら聴くしかない!








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