さあ、いよいよ終盤です。
 

 
 
中学3年の高校に上がるまでの春、高校受験を終え家でダラダラ過ごしていた俺はBSのWOWWOWであのバンドと再び出会うことになる。
 
 
 
当時、WOWWOWは映画と映画の合間のちょっとした空き時間に邦楽・洋楽のPVをちょこっと流す番組を放送していた。
 
 
 
その番組でblurを再び聴くことになった。
 
 
 
Beetlebum
 
 
 
というその曲は、ものすごくフワフワしていてポップで、PVも最高だった。
 
 
 
その曲を聴いて、俺は一発でノックアウトされてしまった。
 
 
 
この曲を何度も聴きたい。
 
 
 
この曲が入っているアルバムが欲しい。
 
 
 
高校入学までのわずかな時間に、俺は秋田市に友達と遊びに行く機会があった。
 
 
 
秋田市は秋田県の中で発展している場所だった。
 
 
 
当時カッコいい服や靴を買いたいと思ったら、地元の駅から1時間くらいかけて電車で秋田まで行き、駅前のビルに入っている店で買っていた。
 
 
 
そのビルはまあPARCOみたいなビルで、色々な店があり、その中に奇跡的にタワレコが入っていた。
 
 
 
そしてそのタワレコで、俺はついにblurの「blur」というアルバムを購入した。
 
 
 
ちなみにこのビルの地下の雑貨屋で激太眉毛兄弟のポスターを見た時の衝撃も忘れられない。
 
 
 
blurのアルバムは全然ポップじゃなかった。
 
 
 
そのアルバムに入っている曲は中学2年の俺が聴いたblurの曲とはまったく違う曲調のものばかりだった。
 
 
 
本当に同じバンドか?
 
 
 
と思ったほどだった。
 
 
 
アルバムは全体的に陰鬱なトーンで終始していて、BRIT POP全盛期の頃のような軽快でポップな曲はほぼ無かった。
 
 
 
しかし、ダルくてダウナーなノリは次第にクセになり何度も何度も繰り返し聴いた。
 
 
 
「Death of a party」という曲、何度も何度も聴いたっけ。
 
 
 
高校入学前の最後の週に熱を出して3日寝込んだんだけど、ベッドの中でボーッとした頭でこのアルバムを聴いていたのを覚えている。
 
 
 
まるで特別な何かを手に入れた気分だった。
 
 
 
それほどまでにこのアルバムは、俺にとって特別な感触のものだった。
 
 
 
そしてこのアルバムの余韻を心に残して、俺は高校1年生になった。
 
 
 
その⑤に続く