彼女の名前は美咲。職場では誰もが認める美人で、仕事もできる完璧な女性だ。だが、美咲には夫がいる。彼女の左手の薬指には、輝く結婚指輪がいつもはめられていた。私は彼女の同僚であり、秘かに彼女に恋心を抱いていたが、それ以上の関係にはならないと自分に言い聞かせていた。

 

ある日、プロジェクトの締め切りが迫っており、私と美咲は一緒に遅くまで残業をしていた。オフィスには私たち二人だけ。時計の針が深夜を指し、疲労がピークに達した頃、ふと美咲が溜め息をついた。

「こんなに遅くまでごめんね。あなたにも迷惑かけちゃったね」と彼女が言った。

「大丈夫だよ。お互い様だから」と私は微笑んで答えた。美咲の笑顔が返ってきた瞬間、私の心は一層強く彼女に惹かれていった。

その夜、私たちはプロジェクトの話だけでなく、お互いのプライベートな話にも花を咲かせた。美咲の夫は仕事で忙しく、家にいる時間が少ないことを知った。彼女は少し寂しそうだった。

 

「もし、何か困ったことがあったら、いつでも言ってね。力になりたいから」と私は言った。美咲は少し驚いた表情を浮かべた後、優しく微笑んだ。

それから数週間が経ち、私たちの関係は徐々に深まっていった。美咲は時折、仕事の合間に私のデスクに立ち寄り、短い会話を楽しむようになった。私は彼女の笑顔を見る度に、胸が高鳴るのを感じていた。

ある日、仕事帰りに偶然美咲と一緒になり、近くのカフェでお茶をすることになった。夕暮れ時のカフェは静かで、私たちはリラックスして会話を楽しんだ。

「あなたと話していると、とても安心するわ」と美咲が言った。

「僕もだよ。美咲さんといると、何でも話せる気がする」と私は答えた。

 

その瞬間、美咲の目に一瞬の輝きが宿った。私たちはお互いに引き寄せられるように、静かに唇を重ねた。短いキスだったが、その瞬間、私たちはお互いの心が通じ合ったことを確信した。

美咲は結婚している。私たちの関係は決して許されるものではない。しかし、私たちはお互いを愛してしまったのだ。複雑な感情を抱えながらも、私たちは秘密の恋を続けることを決意した。

職場での毎日は以前よりも輝いて見えるようになった。美咲の笑顔を見つめる度に、私は彼女を愛していることを再確認する。道徳的な葛藤に苛まれながらも、私たちはお互いにとって特別な存在となっていった。

この恋がどうなるのか、未来は誰にもわからない。しかし、今この瞬間だけは、彼女と共にいることが私の幸せだった。