再会は偶然。

呼ばれていなかった女子会に、前日にノブコに誘われ行く事が決まり、特になんの考えもなくお店を再訪した。
料理には人1倍、いや、千倍うるさいノブコが一緒だったので、彼女とリョウがぶつからないように、気を遣っていたことは憶えている。彼女の料理に対する知識は、時として、プロをもねじ伏せてしまう程、そこまで行かないように適度なところで止めて、会話は終了。

仲介役になっていたせいか、いつも、料理やワインの写真を撮っていたものを今回忘れてしまって、帰り際、みんなを外に待たせ、レイは一人店に戻った。リョウはレイをみると、ちょっと驚いて、そしてまぶしそうな顔をし、レイが撮りたいと言ったワインボトルを差し出した。
「また来ます」といい、店をあとにした。
このあと、返事が来たのは翌日の夕方だった。昼過ぎまで返事を待っていたが、頼まれた映画のエキストラの仕事に入ったレイは、午後から宇都宮へと立った。その間も携帯のサイトからFBをチェックしてみたが、やっと返事が来たのは夕方だった。

どうなるかは、わからないです。
ただ、昨日帰ったのは、3時半です

遅かったね、お疲れ様。今日はもっと早くお客さん来るといいね(笑)
私は今宇都宮にいます。

仕事ですか? それともゴルフ?

どっちもハズレ。
急遽借り出されて撮影のお手伝い。
今日中に帰りたいけどどうなるか…。

何の撮影ですか?

映画版「もしドラ」
誰が出るんだろ…。

終わったー

宇都宮すごい雪だったー
今日は忙しいのかな?良かったね。
じゃあ家に帰ります。

今、みんな帰って片づけしてます

行っちゃダメ?

待っていますよ
お客さんまだいるけどね

心がはずんだ。念のため泊まれる用意はしてある。あとは夫に撮影が延びたと連絡するだけだった。雪の中を、撮影の仲間に送ってもらい、店まで向かった。今日の撮影で汗をかいている自分の匂いなどを気遣って、途中トイレで身体を拭いたり歯をみがいたり、心ははやるばかりだった。
レイが週末に会う約束を今したいのには理由があった。
年末から先週も外泊をしている。
夫は何も言わないが、レイの行動がおかしいのはあきらかだ。
いっそ夫がレイを責めてくれたらどんなにか心がラクだし、そうしたら正直に好きな人ができたと言える。しかし夫はそうはしない。そして、そうしたくないのが夫なのだ。そういう夫の気持ちも痛い程よくわかっているからこそ、レイも夫を傷つけないために嘘をつき続け、納得できる外泊をしなければいけない。
女友達は理由には使いたくなかった。実家に帰ると言っても、電話やメールをされたらわかってしまう。理由になるものを考えて、以前から知り合いに頼まれていた映画のエキストラの仕事を受ける事にしたのだ。あれは、実際、終了時間のわからない仕事で、何度も徹夜になったことがある。撮影場所も関係者以外には口外できないし、理由として夫も納得も行くだろう。そう思って受けている仕事がある、今週末以外に外泊できるベストな日はなかった。

こんにちはー。
昨日のメッセージ、支離滅裂ですね、飲み会中つまらなくてかなり酔っ払ったまま携帯で書いてたのですみません。
hanako探してみました、確かxxx号のはず・・・
今日は金曜だから忙しいのかな?私は着付け教室行ってきまーす。

着付け教室後、夜連絡が来た。

今週は、暇ですね~
おもいっきり、仕込みしてます。

あはは!
連休あとだからかな。

今、事務仕事してます
12月分の

そろそろ2軒目のお客さんが来る頃かもよー。

来たら、その時に始めます。
準備は整っているので

私みたいなお客さんは会いたいから来てって言われたらすぐだまされて行っちゃうんだけどなー(笑)リョウっていい人。

いつでも、待ってますよ~

これにだまされるのよね。
で閉店時間になったらじゃあってお店出されるのかしら?
やっぱり悪い人だー

当店は、お客様が帰る時が閉店時間です。
なお、お客様がいらっしゃらない時は、すぐ閉店です。

じゃあ明日の夜までお店開く覚悟があるなら行こうっと。でも今お客さんがいないなら、私がやっと着いた頃には閉店ってこと・・・?ありえなーい。

今は、閉店に向けて準備中です。
いらっしゃなるなら、貸切になるかも知れませんね~

この時、レイの心は揺れた、週末に会いたいとは思っていたが、今日はまだ金曜で、もう10時をまわっている。自宅で洗濯を始めてしまっていたし、夫ももうすぐ帰宅するだろう。
どうしよう、リョウは待っていると言ってくれている。でも今日より明日の方が自分には都合がいい、どうしたらいいだろうと、返信を書きあぐねているその時メッセージが来た。

お客さんきたから、今日は来ない方がいいかも
長くなると思う
朝4時とかになるかなぁ

そのときレイの方でも、夫の帰宅がわかった。やはり今日は行けない、と決断したレイのメッセージはリョウの返信と行き違いになってしまった。

もう洗濯始めちゃったよー
明日の夜もそんな感じだったら連絡ください、貸切するから。
翌日返信があった。

ありがとう
今片づけ中です。 雑誌は、今月の21日発売のはず
よくわからないけど

ちょっとそっけない返事だった。もっと自慢げな返事がくるとおもっていたから。メジャーな雑誌に載る事は嬉しくないのだろうか?レイ自身たまにOLだが取材やアンケートなどの読者代表などとして雑誌などに載る事があるのだが、そういう時は、どんな小さな記事や扱いでも、大得意で友達や家族に宣伝するものだが。あとでわかった事だが、彼はこの雑誌自身知らなかったと言う。どうしてこの雑誌に載るのかもいまいちわからなかったという。自分の店が世間でどういう位置づけに見られているのか、よくわかっていないのだった。

そうね、雑誌ってよく変わるよね、去年私がhanakoの取材受けた時も、掲載予定が3号くらい遅れた記憶が。。。じゃあ、発売になってからにしよーっと。
お客さん増えるといいね。

驚いた事に、このメッセージには即返事が来た。

そのhanako探したいので、何号のどの辺りかおしえてください

こういうのに食いつくとは思いも寄らなかった。一年も前の雑誌だから探すすべはないと思うし、あの時レイは今より30kg以上太っていたから、顔をみても判別がつかないだろうと、一人おかしくなった。

「丸の内OLのお稽古事特集」なんてみてどうするの(笑)
1pだけで顔も今と違うし年齢も詐称してるし(笑)、Hanakoは一回きりで、知り合いの頼まれ事だと日経ウーマンとか映画やTVのサクラの方が多いかも、気づく人が意外に多いから最近は断ってるけど…。

このメッセージには返信がなかった。それはどうでもよかったが、もう明日は金曜日だ、今週末どうしてもリョウに会いたかった。でも会う話は全く出て来ない。再度連絡をしてみた。
正直、もう明日にでもすぐにリョウに会いたかった。仕事中もレイの頭の中はリョウの事でいっぱいだった。次に会う約束のないまま別れている、時間が合う時って、それは実質的には日曜しかないのだ。でもレイの中にはまだリョウと自分の関係が普通のカップルのようには思えなかった。なんの疑いもなく毎週末会うのが当たり前の関係にはまだなっていないし、身体を先に許してしまった男女の関係がこれからいきなり普通のカップルのように続くとは思えなかった。次の約束をしてないだけに、どう話を切り出していいかわからなかったが連絡を途絶えさせたくなかった。
リョウの店がヴォーグ誌に紹介されると聞いたことを思い出した。

こんばんは、ヴォーグに載るのって、今月発売のもの?
ちょっとお友達に宣伝しておこうかなと・・・。
今日外めちゃくちゃ寒ーい、帰り自転車気をつけて。
Bonne nuit!
ありがとうございます。
また時間が、合う時に食事にいきましょ

この返信は、レイの心を軽くした。
初恋にときめく中学生のような気持ちだった。こんな一言でこんなに嬉しいのは、やはり不倫である事、リョウがどうして自分と会うのか、身体が目的なのか、しょせん割り切った大人の関係なのか、そういう不安や疑いの気持ちがずっと心を占めていたからだ。そうだとしたら、食事に行こうなんて言うだろうか、わからない、レイの気持ちは、まだ、これからリョウとの事をどうして行くべきか、わからないままだが、今日でずいぶん気持ちがある一方の道に傾いた事は確かだった。
帰りの地下鉄で、お礼を言うのを忘れていたことに気がついた。
支払いは8,000円ほどだったが、リョウは3,000円でいいと言い5,000円出した。
正直レイは驚いた。もしかしたらリョウも今後の事を考え最初はとりあえず自分で出そうと思惑があったのかもしれない、レイはてっきり年上で訳ありの自分が全額出すものだとばかり思っていたし、こういう関係じゃない相手でも、普段から相手が年下だったりすればレイはなんの躊躇もなく支払っていた、そのくらい、レイは収入に余裕があったし、もう何年も誰かにお金を払ってもらうような立場になったことはなかった。その驚きで、ありがとうと言う事はできたが、途中で放り出されたショックもあってそれ以上の喜びや感謝を現すのを忘れていた。
帰宅し、メッセージを送った。

ランチご馳走様でした、お礼言うの忘れちゃった、楽しかった、ありがとう。
携帯のメールアドレスお知らせしておきます。
いろいろ気を遣わせちゃって、ごめんね、ありがと。
また会いたいです、別れる時がいつもさみしいけど。
明日お仕事頑張って☆

リョウからは翌日返信があった。
朝が怖かった。
この間の朝のように夜の魔法がとけたとたんにリョウが別人になってしまうのが怖かった。
朝の光の中での自分の容姿にも自信はなかった。人の家でシャワーを浴びたりする事も何もかもが久しぶりで、アウェイな気分だ。今日、どういうプランなのかもわからなかった。

お酒のさめたリョウはやはりあまりスウィートではなかった。起きるとPCをいじったりテレビを見たりして、あまりレイを気遣う様子ではない。でも、話は終始していた。コマーシャルや、バラエティの出演者のコメント、他愛もない独り言のような会話に返事をしていると、趣味はなに?と聞く。
レイはおかしくなった。こういう会話は、普通肉体関係になる前にする会話だ。順番が逆だよ、と思いながら自分の趣味を伝えると、「俺は趣味がない」という。でも料理が仕事、私は仕事は趣味じゃないから、うらやましいよ、というと、ちょっと気を取り直したようだった。どうやって料理の世界に入ったのだろう、彼はまだ32だが、レイが大学に行ってる分社会人の経験は長い、どういう人生だったのか、いつか聞いてみたいと思った。
お昼食べに行く?と聞く。お昼くらいは行くだろうと思って、レイもいくつかお店や食べたいものを考えてきていた。でもリョウはもうきめてるらしく、レイの好みは聞いたが無視だ、ふつうの女の子なら怒るところかもしれないが、最近25歳のセイとのつきあいでは、こういうパターンだと全部自分が決める事になっていたので、勝手に決めるリョウは気が楽でよかったし、やはり、食べ物を扱う仕事だから人一倍興味や知識が深いのだろうと感心した。

荷物は置いていっていいのかわからかった。今日は夜まで一緒にいるつもりだったレイだが、リョウは、荷物は持っていってという。ちょっとがっかりした。

リョウが連れて行った恵比寿の店は満席で15分程待つ事になった。別にそれはレイには不満じゃなかったがリョウはちょっと不満そうだった。日当りのいい店の入り口で、二人だけでおしゃべりができた分、レイは楽しかった。

食事はとてもよかった。ワインを瓶で頼んだ。ランチから二人なのに瓶で飲むなんて、レイにはあまりない事だ。フリーフローでない限り、量が同じでもグラスで飲んでいただろう。
帰り道、恵比寿の道をぶらぶらと歩いた。その中で、レイの夫の話になった。あまりこの話はしたくなかった。もう何年も結婚生活は破綻しているし、一緒に住んでいても同居人以下の会話しかしていない。ただ、いろいろ事情があって今も一緒にいるし、家族としては愛しているが、事実上、籍も入ってない事をつげると、リョウは一言だけ「籍が入ってないんだ、そこ重要だね」とぽつりとつぶやいた。
「どうやって家を出てるの?」と聞く。それはいろいろと嘘をついたり苦労をしている。でも、自分が男性に嘘をつく女だと、思われたくなかった。リョウと今後どうなるかわからないが、こういう関係で始まった恋愛は、また同じ事を繰り返すかもしれない、と思われるのが普通だ。嘘をついて彼に会いにいってるとは言いたくなかったレイは「そこは心配しなくていいよ、迷惑はかけないから」とだけ答えた。

恵比寿を当てもなく歩いて、他愛もないおしゃべりをしたり、お互いの事を話したりした。3時過ぎに、恵比寿駅に向かい、そこで「じゃあ、電気屋にシュレッダー買いに行くから」というリョウと別れた。次の約束はなかったし、バイバイもなかった。仕事仲間でも、もっと別れを惜しむような態度になるだろうに、と、また哀しい気持ちになった。ぶっきらぼうなのか、それとも早く別れたいのか、人にみられたくないのか。二人でいるときはそうでもないのに、なにか噛み合ない、そういう気持ちをもったまま、予定よりだいぶ早く自宅へと向かった。

はーい。
でもなるべく早くね。


リョウとのやりとりで、一つわかったことがある。彼は、物事が順調に行きそうになると、ブレーキをかけるタイプだ。あまりそういう人とはつきあったことがない、慎重なタイプなのか、ネガティブな思考なのか、または何か隠している事があるか、そのどれかだろう。そういう点はなるべく気にしない事にした。

ここまで問題なく進んだが、問題はある。
どうやって3連休に家を空けるかだ。
旅行、友達の家、帰省、飲み会、どれも裏を取られたらアウトだ。急にリョウの気がかわる可能性もある。会うという約束はしたけれど、何があるかわからない。途中で帰る可能性に対応できる理由を考えなければいけない。

プールでひと泳ぎし、着替えて化粧をする。泊まる用意をし、その後夫が出かけている間に家を出た。あとでメールで連絡を入れるしかない。顔が真っ青になっているのがわかる。
前回、成り行きで泊まってしまったのと、今回は全く違う。確信犯だ。後をつければどこに行くかもすぐにわかる。夫にその権利はある。
でも、もう自分を止める事はできなかった。もう一度でもいいから、会わずにはいられなかった。

店がしまるのは24時だ。あまり早く行ってはお客さんがいた場合何時になるかわからない。何時に行けばいいのか、検討もつかない。11:30くらいに、電車が終わる頃、到着した。店には誰もいなかった。リョウはレイの顔をみて、「疲れてる?なんでこんなに遅いの」と最初から文句モードで迎えた。
疲れるだろう、気を遣って家を出ている。その緊張感と罪悪感はそのまま41歳の顔に出ているだろう。だいたい、ここまでこぎ着けるまでに、ジェットコースターのような気持ちの浮揚がある。このあとどういう展開になるのかも全く想像のつかない世界だ。レイはちょっとふてくされて椅子にかけた。
会いたかったから来たんだよ、何時に来ていいかわからなかったし。というと、リョウはおかしな挨拶をした。「選んでいただいて、光栄です。つきあってる人もいないですし」「別に選ぶだなんて」というと、リョウはレイの後ろに回りレイの頭を抱いた。
ああ、これが欲しかったんだ、レイは心が落ち着くのがわかった。しばらく頭を彼の胸に預けた。
片付けは終わっていて、リョウは「うちに行く?」と聞く。てっきり二人で向かうのかと思ったら、リョウは自転車で帰るので、タクシーで行けと言う。あの辺の地理に詳しくないレイは不安になった。ここで別れて会えなかったらどうしようと。携帯の番号をもらい、行き方をもう一度聞き直し、ちょっと不安なままタクシーに乗った。
寒い季節だった。リョウは鼻を赤くして、待ち合わせのコンビニであった。

アパートはワンルームの静かできれいなところだった。この間取りは、レイが若い頃に住んでたものより贅沢だ。久しぶりのワンルームの一人暮らしの家に懐かしさを憶えていると、「狭いよね」という。狭いと思わなかったレイは、「贅沢、贅沢」と答え、いすやソファはないので、布団の端にちょこんと腰をおろした。今日はリョウもあまりお酒を飲んでいない。前回の続きのように自然と身体を重ねその日は驚くくらい優しく抱いて来た。前回の野獣のような感じは、あれは、見栄か、またはどうせ一度しか会わない相手だから思い切り悪ぶったのか、年上の女性に対する威勢だったのか、今日のリョウは思い切りレイを楽しませ、何度もイカせた。
そんな中でも、レイの頭の片隅にしこりのように気になっていたのは、ここがラブホではない以上、備え付けではない、リョウが過去誰かと使うために買って置いていた使いかけの箱入りのコンドームだった。
身を起こしたリョウがちょっと驚いた顔で聞いた。
「生理中?」
そんなはずはない。違うというが、確かに少々出血していた。不整出血か何かだろうと思うし、レイにとっては久しぶりのセックスだから、身体がびっくりしたせいだろうと思うがリョウは心配する。「あまり激しい事するとこうなるんじゃないの」とちゃかして2回目のセックスに入った。

朝までずっとテレビをつけたまま寝るのがいつものスタイルらしい。腕枕で手を握ったままリョウの腕に抱かれて朝まで眠った。先週こうなることは想像していなかった。幸せだった。
おはようございます。
それでは、土曜の深夜から日曜の夜まで時間をあけてください。
auの充電器忘れてませんか?


貴重なお休み私がもらっちゃってごめんね、ありがと☆
適当に遅い時間にお店に行けばいいのかな、急な変更とかあったらメッセージ入れといてください。

充電器忘れました、別のもあるので、お店の備品にどうぞ・・・


送れてなかったみたいなので もう一度送ります。
お客さんしだいになると思いますので
何時に終わるかは、わかりませんが
ゆっくり、飲んでいてください