エディット・マティス

Edith Mathis

1938~。スイスのルツェルンにうまれる。ルツェルンの音楽学校に在学中の1957年、ルツェルンの市立劇場で『魔笛』の三人の童子の一人としてデビュー。1959年にサヴァリッシュの招きでケルンの歌劇場と契約。1960年にザルツブルク音楽祭に出演。1963年、バイエルン国立歌劇場と契約。1970年、メトロポリタン歌劇場、コヴェント・ガーデンにデビュー。世界の一流歌劇場で歌うようになる。

 

可愛らしい美声に愛くるしい容姿。この両方が伴ったソプラノといえば、ルチア・ポップ、キャスリーン・バトルの他には、このエディット・マティスくらいしか思いつかない。オペラでは貴重な存在である。しかしマティスの場合、その可憐な容姿のわりには大変しっかりした発声をしている。リリックなわりには芯に力強さを感じさせる。実力派の歌手である。ベーム指揮のモーツァルト『レクイエム』やリヒター指揮の『マタイ受難曲』でも起用されていますから、やはりその実力は高く評価されているんですねえ。

 

以下、オススメの順番ではありません。

 

 

(1)モーツァルト『フィガロの結婚』 ベーム指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ グラモフォン 1968
ディット・マティス(スザンナ)、ヘルマン・プライ(フィガロ)、ディースカウ(伯爵)、ヤノヴィッツ(伯爵夫人)、エトロヤノス(ケルビーノ)

 

(2)モーツァルト『魔笛』 カラヤン指揮 ベルリンフィル グラモフォン1980

エディト・マティス(パミーナ)、フランシスコ・アライサ(タミーノ)、ゴットフリート・ホーニク(パパゲーノ)、カーリン・オット(夜の女王)、ホセ・ファン・ダム(ザラストロ) アンナ・トモワ=シントウ、アグネス・バルツァ、ハンナ・シュヴァルツ(三人の侍女)

 

(3)ウェーバー『魔弾の射手』 クライバー指揮 ドレスデン国立歌劇場 グラモフォン 1973
エディト・マティス(エンヒェン)、テオ・アダム(ガスパール)、ペーター・シュライアー(マックス)、ヤノヴィッツ(アガーテ)、ベルント・ヴァイクル(オットカール)、フランツ・クラス(隠者)

 

(4)ベートーベン『フィデリオ』 ベーム指揮 シュターツカペレ・ドレスデン グラモフォン1969

エディット・マティス(マルツェリーネ)、グィネス・ジョーンズ(レオノーレ)、ジェームズ・キング(フロレスタン)、テオ・アダム(フェルナンド)、マルッティ・タルヴェラ(ピツァロ)、ペーター・シュライヤー(ヤキーノ)、フランツ・クラス(ロッコ)

 

(1)~(4)は、どの役もエディット・マティスに似合ってますが、マティスの実力を知ろうと思えばエンヒェンとマルツェリオーネを聴くのがいいと思います。もちろん、どの演奏も演奏全体として質が高いです。

 

 

(5)ヘンデル『アリオダンテ』 レッパード指揮 イギリス室内管弦楽団 フィリップス1979

エディット・マティス (ジネヴラ)、ジャネット・ベイカー (アリオダンテ)、ノルマ・バロウズ (ダリンダ)、ジェームズ・ボウマン (ポリネッソ)、ダヴィッド・レンダール (ルルカニオ)、サミュエル・レイミー (スコットランド王)、アレクサンダー・オリバー  (オドアルド)

 

これはSpotifyで見つけましたが、いい録音です。ここでのマティスの歌唱は聴きごたえあります。モーツァルト、ヘンデルのオペラ・セリアの良さはまだあまり知られていなんじゃないかな。もっと聴かれていいと思う。

 

 

 

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