レリ・グリスト

Reri・Grist

1932~。ニューヨークに生まれる。子供の頃からブロードウェイのショーでダンスを踊っていた。クイーンズ・カレッジで声楽を学んだ後、1957年、バーンスタインの『ウエストサイド物語』に出演し、バーンスタインに認められるようになった。1959年、ニューヨーク・シティ・オペラに出演、1960年にオペラの本場である欧州に渡り、ケルン歌劇場、チューリヒ歌劇場と契約し、徐々に実績を積み上げていった。1962年、グラインドボーン音楽祭に招かれ、ツェルビネッタを歌って好評を博した。1964年にウィーン国立歌劇場にデビュー、65年にメトにデビュー、以後、世界中に活躍の場を広げる。

 

典型的なロリータ声である。こういう声が好きな人にとってはたまらないであろう。しかし、ただそれだけで気難しいベームに使ってもらえるはずはない。文字通り、球を転がすようなコロラトゥーラで、一糸乱れず技術的に正確に歌う。それがごく自然に感じるので超絶技巧に気がつきにくい。ブロードウェイ仕込みの演技も上手い。しかし日本で発売された出演オペラは4組のみで、そのせいか日本ではあまり知られていないようである。指揮者はいずれもベームである。

 

 

(1)R.シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』 ベーム指揮 ウィーンフィル グラモフォン1969

レリ・グリスト(ツェルビネッタ)、ヒルデガルド・ヒレブレヒト(作曲家)、セーナ・ユリナッチ(アリアドネ)、フィッシャー=ディースカウ(音楽教師)ジェス・トーマス(バッカス)

レリ・グリストを聴くならまずツェルビネッタだと言われている。技術的に見事な歌いっぷりである。しかし、この演奏はどの通販サイトでも見つからず、CDの入手は難しいようである。しかしSpotifyで聴くことができる。録音が古いわりには音質は非常に良い。

 

(2)モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』 ベーム指揮 ウィーンフィル グラモフォン1974

レリ・グリスト(デスピーナ)、ヤノヴィッツ(フィオルディリージ)、ファスペンダー(ドラベッラ)、シュライアー(フェルランド)、プライ(グリエルモ)、パネライ(アルフォンソ)

レリ・グリストを聴くなら次にデスピーナと言われている。あたくしはこのオペラは好きではないが、聴くならこのベームの新盤か。録音も良い。

 

(3)モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』 ベーム指揮 プラハ国立歌劇場 グラモフォン 1967
レリ・グリスト(ツェルリーナ)、ディースカウ(ドン・ジョヴァンニ)、ニルソン(ドンナ・アンナ)、アローヨ(エルヴィーラ)、タルヴェラ(騎士長)、シュライアー(オッターヴィオ)、フラジェルロ(レポレロ)
ここでレリ・グリストが使われていたんですね。このベーム盤の配役についてはいろいろ言われてますが、少なくともレリ・グリストのツェルリーナには納得ですね。

 

(4)モーツァルト『後宮からの逃走』 ベーム指揮 シュターツカペレ・ドレスデン グラモフォン1973

レリ・グリスト(ブロンテ)、アーリーン・オジェー(コンスタンツェ)、シュライアー(ベルモンテ)、クルト・モル(オスミン)

このオペラはコンスタンツェとブロンテとオスミンで決まると思う。その点ではキャラ的にも実力的にも十分な歌手を揃えている。まあ、ベームが指揮する以上、そのへんにぬかりがあるわけがないが。しかしこのオペラの決定盤はあくまでクリップス盤である。

 

 

 

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