ナタリー・デセイ

Natalie・Dessay

1965~。ボルドー音楽院で声楽を学んだ後、フランス・テレコム主催のコンクールで優勝。ウィーン国立歌劇場のモーツァルト・コンクールで優勝。リヨン歌劇場やバスティーユ歌劇場でモーツァルトのオペラの主役等を歌ったのち、94年、ミラノ・スカラ座にR.シュトラウスの『アラベッラ』でデビュー。96年、ウィーン国立歌劇場にR.シュトラウスの『無口な女』でデビュー。97年、ザルツブルク音楽祭に夜の女王でデビュー。

 

グルベローヴァと並び称されるコロラトゥーラだが、高音域のパワーに圧倒的な差があり、実力的にはナタリー・デセイの方がはるかに上であると思われる。超高音域にいたるまで細くならず、どこまでも伸びるかのようなコロラトゥーラは素晴らしいの一言に尽きる。声の美しさ、パワー、テクニック、全てにわたって文句のつけようがない。

 

 

(1)ドリーブ『ラクメ』 プラッソン指揮 トゥールーズ・キャピトール管弦楽団 EMI1997

ナタリー・デセイ(ラクメ)、ヨセ・ファン・ダム(ニカランダ)、グレゴリー・クンデ(ジェラルド)、デルフィーヌ・エイデン(マリカ)

やはりデセイを聴くなら、まずこれではないだろうか。というか、彼女の歌唱で初めてこのオペラの良さを知った。「鐘の歌」は絶対に聴いておくべき。

 

(2)モーツァルト『ポントの王ミトリダーテ』 ルセ指揮 レ・タラン・リリク デッカ1998

ナタリー・デセイ(アスパーシア)、チェチーリア・バルトリ(シーファレ)、ブライアン・アサワ(ファルナーチェ)、ジュゼッペ・サバティーニ(ミトリダーテ)

デセイ、バルトリ、アサワ、美声と超絶技巧の洪水、絢爛豪華。必聴盤。

 

(3)ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』 ゲルギエフ指揮 マリンスキー歌劇場管弦楽団 マリンスキー2010

ナタリー・デセイ(ルチア)、ピョートル・ベチャワ(エドガルド)、ヴラジスラフ・スリムスキー(エンリーコ)

グルベローヴァのときと同じく、ドラマ性よりあくまで「歌を聴かせる」という音楽性重視の演奏。美しい演奏ではあるが、あっさりした感じがする。カラス、サザーランド、カバリエの時代のような思いのたけを込めた演歌調の歌い方はもう流行らないのであろか。もちろん、どっちがいいというつもりはなく、初めての人にとってはデセイのルチアの方がはるかに聴きやすいと思う。

 

 

他にベルリーニ『夢遊病の女』、オッフェンバック『天国と地獄』を聴いたが、いずれも綺麗に仕上がった演奏である。とくに強調しておきたいのは、録音がきわめて優秀であること。デセイの最高の美声を最高の音質で残している感じ。とにかく、デセイの歌っているものなら、どれを聴いてもオーディオ的に満足できると思う。

 

 

 

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