グレース・バンブリー

Grace・Bambry

1937~。アメリカ、ミズーリ州、セントルイスに生まれる。ボストン音楽院、シカゴ大学に学んだ後、ウィーンとローマに留学。1960年、ヴァルヴィゾに認められ、スイス、バーゼル劇場の首席メゾ・ソプラノに迎えられた。ただちに頭角を現し、同年、パリ・オペラ座で『アイーダ』のアムネリスと『カルメン』を歌ってセンセーショナルな成功を収めた。61年、バイロイト音楽祭で『タンホイザー』のヴィーナスに抜擢され、一躍世界中にその名が知られるようになった。さらにザルツブルク音楽祭でマクベス夫人、メトロポリタン歌劇場で『ドン・カルロ』のエボリを歌い、世界中の主要歌劇場を席巻するようになる。

 

おそらく歴史上最高のソプラノのひとり。パワーのある美声、色気、演技力、全てを兼ね備えている。メジャーレーベルでの録音が少ないのは全く解せない。

 

 

(1)ベルリーニ『ノルマ』 ミヒャエル・ハラース指揮 バリ交響楽団 ダイナミック1977 

グレース・バンブリー(ノルマ)、レッラ・グベルリ(アダルジーザ)、ジュゼッペ・ジャコミーニ(ポリオーネ)、ロバート・ロイド(オロヴェーゾ)

素晴らしい。微妙な表現力ではカラスに及ばないかもしれないが、それを補って余りある美声とパワーがある。圧倒的である。ライブのモノラル録音で音質は決していいとは言えないが、それが全く気にならない。こういうのは初めてである。本当に凄い。

 

(2)ビゼー『カルメン』 カラヤン指揮 ウィーンフィル オルフェオ1962

グレース・バンブリー(カルメン)、ジョン・ヴィッカース(ドン・ホセ)、フスティーノ・ディアス(エスカミーリョ)、ミレッラ・フレーニ(ミカエラ)

オルフェオのライヴ録音。モノラルだが音質は非常によくて臨場感がある。カラヤンの指揮も引き締まっていて非常によい。バンブリーは最高のカルメンを歌っている。が、ヴィッカースのホセがどうにもしっくりこない。そこが惜しい。

 

(3)ワーグナー『タンホイザー』 サヴァリッシュ指揮 バイロイト祝祭 デッカ1962
グレイス・バンブリー(ヴィーナス)、ヴィントガッセン(タンホイザー)、アニャ・シリア(エリザベス)、エーベルハルト・ヴェヒター(ウォルフラム)、ヨセフ・グラインンドル(ヘルマン)、ゲルハルト・シュトルツェ(ヴァルター)、フランツ・クラス(ビテロルフ)

バンブリーが黒人歌手として初めてバイロイトのステージに立ったことで知られる録音。22歳のアニャ・シリアがエリザベス役に抜擢されたことでも知られる。何かと話題の多い録音。もちろん、バンブリーのヴィーナスは申し分ない。

 

(4)ヴェルディ『ドン・カルロ』 ショルティ指揮 コヴェントガーデン管弦楽団 デッカ1965

グレース・バンブリー(エボリ公女)、ベルゴンツィ(ドン・カルロ)、テバルディ(エリザベート)、ギャウロフ(フィリップ2世)、フィッシャー・ディースカウ(ロドリーゴ) 

まずは理想的なキャストで録音も良く、ショルティの指揮も明快である。このオペラを初めて聴く人には特にオススメしたい。

 

(5)ヴェルディ『アイーダ』 メータ指揮 ローマ国立歌劇場管弦楽団 EMI1967 

グレース・バンブリー(アムネリス)、ニルソン(アイーダ)、コレッリ(ラダメス)、マリオ・セレーニ(アモナスロ)

ニルソンのアイーダとバンブリーのアムネリスは、組み合せのミスではないだろうか。ここでバンブリーを出すならアイーダ役で、アムネリスにはコッソットがよかったと思う。

 

(6)ヴェルディ『マクベス』 サヴァリッシュ指揮 ウィーンフィル オルフェオ1964

グレース・バンブリー(マクベス夫人)、フィッシャー・ディースカウ(マクベス)、ペーター・ラッガー(バンクォー)、エルマンノ・ロレンツィ(マクダフ)

バンブリーのパワーのある美声は歌唱としては素晴らしいが、性格が明るすぎてマクベス夫人には合ってない。ディースカウのマクベスも迫力がない。

 

 

 

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