期間限定SHOP
ずいぶんブログが書けなかったなぁ♭
オリンピックは感動した!!
オリンピック期間中は観戦で忙しかった♪
今日はちょっとしたお知らせ。
THE LOOONIES Tシャツが3/10~今日まで
名古屋の近鉄百貨店本店で買えるらしい!!
このTシャツは、LESSTHANという東京コレクションブランドの方が作ってくれたんだけど
そのLESSTHANが、近鉄百貨店本店で期間限定ショップを出店しているそうなんだ。
凄くかっこいいTシャツだから、見かけた人はチェックしてみて!
http://blog.0shop.jp/
その他のグッズの通販もやってます~
http://aogmarket.jp/00017_tls/index.html
本編の小説は終わっちゃったんだけど、
ちょこちょこ読んでくれてる人が居るみたいで嬉しい限りです♪
う~~ん、なんかやりたいなぁ~~
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THE LOOONIES' ADVENTER 第3章<9><10>
第3章 オーストラリア ~巨石の惑星<9>
Story By ワダマサシ「おい、デコよ…」
小柄な追跡官が相棒に言った。
「ヤツら、暴走族の集会のような大声で叫んだと思ったら、急に葬式みたいに静かになったぞ」
「って言うか、気配が完全に消えた」
「この底無しの暗闇に、たった二人オレ達だけが取り残されたような気がする」
「まさか!心細くなるようなコト言うんじゃねえよ」
「とにかく、最後にヤツらの声が聞こえたところまで行ってみようや」
手を握り合った捜査官たちは、お膝歩きでジリジリと前に進む。
「それにしても、この化け物のイビキのようなノイズは何なんだ?」
「大昔、社会科見学で行った発電所で、こんな音を聞いた記憶がある」
「とてつもないエネルギーが生まれる時の産声ですよ~、なんて説明されたっけな」
——ブーン、ブーン、ブーン、ブーン…
「この辺りだった」
「ああ。ここで、チンピラの一人が叫んだんだ」
「巨石がどうしたとかこうしたとか…?」
「そのあと、れっつらゴーとか言って…」
——ブーン、ブーン、ブーン、ブーン…
「うわー!!!!」「ぎゃ!!」
コーラがエースの胸に顔を埋めたまま訊いた。
「とても不思議な気持ちよ…」
それは胎児が羊水の中で漂っているような、大きな運命の変化が起こる直前の浮遊感だった。
「う、浮いているっていう感じ…」エースが言った。「瞳を開けてごらん…」
コーラがこわごわ目を開けると、極彩色の奔流が螺旋を描いて視界の周囲を通り過ぎてゆくのが見えた。
「なんて、キレイなの…」コーラはその輝きに心を奪われていた。
「まるで、万華鏡のようだわ…!」
「ホントだね…」
頷いたエースが首を持ち上げると、ラクダを先頭にしっかりと手を繋ぎあう頼もしい仲間達の隊列が見えた。
「ハンマー、苦しくないか?♪」エースはすぐ前の逞しい背中に声をかけた。
「なんのこれしき !全速の三角獣で地の果てまでぶっ飛ばしたオレだ。平気、平気!」
ハンマーがスカーに言った。「調子はどうだ?」
「流れに身を任せるのは、オレの特技さ。心配するな!おい、ワン。どんな具合だ?」スカーが言った。
「キャメの首はフワフワして気持ちいいあるよ…!」
「でもお前の手、だんだん汗ばんできているぜ」
ある瞬間を境にして、手が届きそうに近く見えた周囲の鮮やかな奔流がゆっくりと彼方に遠ざかり、心地良かった浮遊感は虚空を彷徨うような不安感にとってかわる。
旅人たちは、次第に言い知れぬ恐怖を覚え始めていた。
「実はちょっと苦しいある…」
「が、がんばれ!」スカーが必死にワンを励ましていた。
「エース、まだ大分かかるのか?!」
「そんなことオレにわかるもんか!」エースが言った。
「ただ、もう無理だと感じたところが目的地らしい」
惑星ユーラシアから一足飛びにマザーアースに行けないのは、それが理由だった。
「みんな!どんなに苦しくても、仲間の手だけは放すなよ!」
エースが大声で叫んだ。
その声が、コーラには遥か遠くの囁きに感じられる。
「エース…助けて」
直後にエースの胸の中でコーラは気を失っていた。
「絶対に放すものか!」
エースは遠ざかる意識の中で、お互いの身体をロープで結び合う時間をみんなに与えられなかったことをいつまでも悔いていた。
「エース、エース!起きて!お願い、目を覚ましてよ」
遠くからコーラの声が天使の囁きのように聞こえた。
「こ、ここはどこだ…?」
エースが目覚めた場所は、コーラの柔らかい膝の上だった。
自分の顔を心配そうに覗きこむ、そよぐ髪と美しい顔のシルエット。
その向こうに、博士に教わった通りの金色と銀色の二つの月が並んで見えていた。
「ここは天国?いや…ついに惑星オーストラリアに着いたんだ…。はっ!!」
エースは、仲間のことが心配になり、バネ仕掛けで飛び起きた。
「コーラ!他のみんなは?」
「それが、はぐれてしまったらしいの…」
「しまった!♭じゃあ、オレ達は今たった二人だけ!?」
エースは自分の不甲斐なさに頭を抱える。「なんてこった…」
「でも、明るくなればきっと見つかるわ」
コーラは微笑んで言った。「そう自分を責めないで…」
「コーラ、この惑星はとてつもなく広い。巡り合うのはそう簡単なことじゃないんだ!」
「だってはぐれちゃったんだもん、クヨクヨしたってしょうがないじゃない…」
砂漠の旅を始めてからのコーラは、どこかふっ切れたように楽天的だった。
不意にコーラの膝枕と髪を撫ぜる優しい手の感触が蘇り、エースは苦しいほどの胸の高鳴りを覚えていた。
「それより、キレイな星空でも眺めましょうよ」
エースは少し頭を揺すり、誘われるままにこの惑星の空を見上げた。
それは、ブルーブラックのビロードにスワロフスキーのラインストーンをばら撒いたような、美しい星空だった。
「ふう…。月明かりで見通しがきく。とにかくあたりを探してみるよ」エースが言った。「ここで待っているかい?♪」
「わたしも一緒に行く!」
少し肌寒く感じるのは、絶え間ない気流の変化のせいだろうか。
「コーラ、これを上に羽織るといい」エースは市場で手に入れた丈の長いアラブ風のベストをコーラに手渡した。
「ありがとう…」
その微笑のお陰で、やや強くなったはずの重力にもかかわらず、エースは肩の荷物を軽く感じていた。
濃いベージュ色の固い岩盤状の地表が果てしなく続く不思議な惑星で、仲間とはぐれた旅人は最初の一歩をそっと踏み出した。
「テメエラ、イツマデ、ネテル」
キャメが鼻先でワンをドツイた。
「オキロ、オキロ…トットト、オキロ」
「う、うん…ある」ワンが上半身をゆっくり起こして、周囲を見回した。
「ここはどこある?わたしは、誰ある?」
「テメエハ、ワン。ゲンザイチ、ケイソク、フノウ…」
「計測不能?オ、オーストラリアに着いたあるぞ!」ワンが立ち上がり仲間たちを探す。「た、た、た、た、隊長!ロボタン!副社長!!姫さま~!」
30メートルほど離れた場所で、ハンマーとスカーがむっくりと起き上がった。
「おーい!ここだここだ!」
旅人達はすぐにラクダのそばに集まり、抱き合ってお互いの無事を確かめる。
「社長と姫様がいないあるぞ!」
「な~に~!」
スカーがメタルアームで自分の膝を叩き悔しがる。「やっちまったな…!」
「オレが手を放してしまったばっかりに…!こうしちゃいられない」
ハンマーが闇雲に走り出した。
「すぐに探さないと!!」
「オイ、テメエ、ドコニ、イク…アワテルナ」
「そうあるぞ。キャメの言う通りある」
「チト、マテ。ジョウホウ、シュウシュウチュウ」
キャメは、東西南北の方位データをこの惑星用に新しく書き換えようとしていた。
「シュウリョウ、シュウリョウ…」
「で、どっちに行けばいいんだ?」スカーがラクダに訊いた。
キャメは鼻の穴を広げ嗅ぎまわるような動作で、はるか遠くを生命センサーで探った。
「ホクホクトウニ、セイメイタイ、2コ、ハッケン。キョリ40キロ」
「エースとコーラだ!!」
「よかったある!社長さんと姫様、生きてたあるな」
「きっと、心配しているはずだ」ハンマーが言った。「すぐに助けに行こう!」
「キャメちゃん、すぐそこに連れてくある」
「サア、テメエラ、シュッパツ、スルゼ」
二人の追跡官は岩盤の上で、同時に目覚めていた。
「ボコよ」
「なんだ、デコ…」
「オレ達なんでしっかりと抱き合ってるんだっけ?」
「うわ!気持ち悪っ!」
ボコが相棒を遠くに跳ね飛ばして起き上がる。
「なにをしやがる、この変態デクノボー。まったく油断も隙もねえな」
「なにもしてねえって」
デコが黒いスーツをパタパタとハタキながら立ち上がる。
「それより、いったいここはどこなんだ?」
「ん?」
ボコが周囲を一渡り見回して言った。
「や、やばい…」
デコがポケットからモバイルフォンを取り出して言った。
「…圏外だ」
「そういう問題じゃねえかもしれんぞ、うどの大木」
「なんだと?」
「空を見てみろ」
「ん?あんれまあ、月が金銀のたった2つしかねえ」
「どうやら、オレ達はどこか別の惑星に着いたようだ」
「まさか!?どういうことだ?」
「ゲームでいきなり先の面に飛んじまうことがあるだろ?これは、そういうことだな、たぶん」
「たぶんて…。で、どうする…?」
「チンピラどもも、ここに流れ着いているに違げえねえ」ボコが言った。
「インセックの追跡官がどれだけしつこいかを、ヤツらに教えるまでは絶対に帰るもんか!」
「っていうか、どの道もう二度と帰れないんじゃねえか」
「まあな。もはやこれまでだ」ボコが言った。
「どうせ戻れねえんなら、オレ達をこんな目に遭わせたゴミ虫どもをとっ捕まえるのを生き甲斐に、この惑星でとことん頑張るしかねえ」
「なんか、本隊から離れたクールな兵士みたいでカッコいいな」
「そ、そうか…?」
二人は絶望の淵で復讐への想いだけをたぎらせ、ヤケクソ気味に笑った。
「ふふふふふ」
「ひひひひひ」
第3章 オーストラリア ~巨石の惑星<10>
Story By ワダマサシ二人のすぐそばを夜のつむじ風が通り抜け、エースの長い後れ毛をそよそよと揺らした。
「さっきからずっと考え込んでいるみたいだけど…。どうかしたの?」
コーラが前を歩くエースにそっと訊ねた。
「やっぱり、みんなのことが心配?」
「もちろん心配さ…」
エースが地平を睨んだまま、久しぶりに口を開く。
「でも、それだけじゃないんだ…」
「言ってみてよ。聞いても、ピーピー泣いたり取り乱したりしないから」
コーラがいたずらっぽく微笑んだ。
「どうしたの?」
「実は…」
エースが観念したように話し始める。
「博士が授業で教えてくれた到着予定地点のイメージと、この場所があまりにも違うもんでさ」
「へえ。ジイジはなんて?」
「亜空間バイパスを抜けた先は、大きな岩の上だって」
エースは、授業を思い出しながら言った。
「まさかこんな地平の果てまで石ころひとつない平地に着くなんて」
「たしかに、どう見ても岩らしきものはひとつも無いわ…」コーラが訊ねた。
「ここ、本当に惑星オーストラリアなの?」
「それは間違いない。あの、金銀二つの月が動かぬ証拠だ」
エースがアゴの先で夜空を指した。
「だから、かなり見当違いの場所に降り立ってしまったんじゃないかと…」
「ジイジは、その岩の周りはどうなってるって?」
「地表に降りると、そこにはシダが生い茂った深い森があるって」
「森?まさか…!」
コーラがあたりを見回し、子供が驚いたような顔をした。
「この惑星には、植物が生きているの?」
「うん♪」
そのままゆっくり歩みを続けながら、エースは授業のおさらいをするように順を追って話し始めた。
「もう1800年以上も前になる…」
人類は、母なる地球から260光年離れた、おとめ座の恒星スピカ系に属するこの惑星オーストラリアにたどり着いた。
自転周期も公転周期も、そして地軸の傾きまで非常に故郷に似かよっていたので、第二の地球として期待をかけたんだ。
生命の痕跡は皆無だったが、大気や気温はもちろん、原子の量などの物質的な組成も地球に近く、そのため人類はあらゆる地球の生物をここに持ち込み、適応させる実験を繰り返した。
まず、最初に持ち込まれたのが様々な植物たちだった。
水はあったのかって?
うん、ほんの少しだけ。ちょうど、コーラの涙ほどね。
だから、ここにもともと大量にあった水素と酸素を利用して、大半は人工的に合成したんだ。
さすがにこの惑星に海を作れるまでの量ではなかったが、それでも5億立方キロメートルほど、つまり地球上の全ての水の3分の1ほどの量が長い年月の間に生産された。
だから、場所によっては雨も少し降るそうだよ。
でも結果的にこの惑星に適応できた植物は、胞子で繁殖するシダという植物群と陸コケ、そしてクロレラ類だけだそうだ。
動物も持ち込んだのかって?
うん、人類は水を精製し土を合成してそこに植物を移植したあとに、あらゆる動物を人口の森に放った。
生存の可能性を高めるために、お得意の遺伝子操作を施してね。
彼らの一部は、環境に適応して今でも森に棲んでいると言われている。
うん、その通り。
人類はここで天地創造の神になろうとしたんだ。
ここまで話すとエースは立ち止まり、コーラのほうに向きなおった。
「人が創造主になろうなんて…」
「でも、少なくとも森は作ることができたのね」
「驚いた?」エースが言った。
「ドームの博物館でイミテーションは見た事はあるけど、本物の森林なんてオレも初めてさ♪」
「で、その動物たちは?」
コーラがあたりを見回して言った。「どうなったわけ?」
「どんな動物がどんな形で生き残っているかは、その可能性に比べて情報が少なすぎる。だから全くわからないと言ったほうがいい…」エースが言った。
「ただ、アシモフ博士はどんな生物に遭遇したとしても驚くなって…」
「ふうん。それ、どういう意味?」
「進化を遂げたいろんな種が、うじゃうじゃいるってことじゃん♪」
「やっぱりね。こんな惑星でパパはたった一人…」
ここで消息を絶った父の運命を想像し、コーラの表情はさすがに曇っていた。
「ご、ごめん…余計に脅かしちゃった?」
エースが俯いたコーラの腕をとり言った。
「さあ、顔を上げて。きっとパパは無事だから」
「わたしは大丈夫よ。動物なんか怖くない。森なんかへ~っちゃら!」
「コーラはオレが絶対に守ってみせるぜ」エースは力強く言った。
「それに、ここで一番怖いのは、そんなものじゃない」
「じゃあ、なんなの?」
「神になれなかった、人間たちの子孫かもしれない…」
「アト、10ビョウ…」キャメが報告した。
「なにが10秒ある?」
「ダカラ、セッキンスル、セイメイタイノ、カクニンガ、デキルマデ」
「おお!社ッ長!!姫様~」
ワンが早くもラクダの鼻が向いた方へ走り出していた。
「お迎えにまいりますあるぞ」
「エース!コーラ!」
ハンマーとスカーもすぐ後を追った。
「テメエラ、トマレ。イクナ、タワケモノ」
「なんだと?いまさら何を言いだす?」
スカーが怒った顔でキャメを振り返る。
「のんびり構えてると、また仲間を見失っちまうぜ!」
「カクニン、シュウリョウ」キャメが言った。
「アレハ、チガウ。ナカマト、チガウ」
「え?じゃあ、誰あるか?あいや~、さては、インセックの漫才コンビあるな?!」
ワンは月明かりに浮かび上がる地平線の一点を双眼鏡で見た。
「エースとコーラだろ?」ハンマーが、そのすぐそばで祈りながら言った。「な、そうなんだろ?」
「ち、違うある…!」
「ダカラ、チガウ、イウテル、ヤンカ」
「やっぱりインセックのやつらか?!なんてシツコイんだ!」スカーがメタルアームを握り締めた。
「いや、それも違うある」
顔面蒼白になったワンが、双眼鏡から目を離した。
「知らない人たち…ある」
「なんだって!」スカーが双眼鏡を奪い取った。
「た、たいへんだ…」
「なんだ、デクノボー。急に立ち止まったりして」
「銀色の月の真下から、地平線をずっと左に見ていってみろ」
デコが立てひざになり、ビームガンの望遠スコープを覗きながら言った。「人がいる…」
「ひひひ、マジか!?ついにチンピラどもを見つけたな!どこだ?」
ボコが自分のスコープの視界をゆっくりとパンをさせ、同じ地点を観察する。
「あ!人だ。しかし、いったいどこの誰なんだよ、アイツは!?」
その視界の中に、白く長いあごひげを蓄えた一筋縄ではいかない形相の老人が歩いている。
「チンピラゴミ虫どもの中に、あんなジジイはいなかったはずだ」デコが言った。
「異常に長い杖をついてるぜ!」
「どうやら新しい登場人物のようだ…ややこしい展開になってきたぜ」
ボコが事態の急激な変化に頭を抱える。
「ああ、めんどっくせえ!」
「おい!しかも、一人じゃねえ。ジジイとババアの二人組だ」
デコがスコープにサングラスを押し付けて言った。
「おまけに、ババアのほうが威張ってやがる!」
「やばいよ、やばいよ」
ボコが帽子を脱いで頭をかきむしる。
「わけのわからない惑星に飛ばされたと思ったら、そこには先住民がいた…そういうこったろ!?」
「そ、そうだな」
「しかも、ジジイとババアの“ツガイ”ときたもんだ。どうするデクノボー?!」
「背後にどうしても大家族の影がチラつくな…」デコが言った。
「相当数がここで繁殖しているのかもしれん」
「ヤツらがチンピラゴミ虫どもの味方なのか、それともオレ達国家権力にひれ伏す下僕どもなのか?」
「ここが宇宙のどこであるにせよ、このインセックのIDを見て震え上がらない不感症はおるまい」
「その通りだ、相棒よ」ボコがニヤリと笑った。
「やったろうじゃないか。この星をオレ達で支配し、野蛮人どもを文化的生活に導き断固解放するのだ!」
「ずいぶんと崇高な目標を掲げたもんだな」
「冗談だって…」
「わかってるって…」
二人の捜査官は顔を見合わせ、お約束の薄ら笑いを浮かべた。
続く…
THE LOOONIES' ADVENTURE 第3章<7><8>
第3章 オーストラリア ~巨石の惑星<7>
Story By ワダマサシいかにも頑丈そうな南京錠が、牢屋のような鉄格子の扉にしっかりとかかっている。
「ほらよ!」
ハンマーがロウソクで扉の中を照らすと、漆黒の闇に誘うような十数段の階段が上に伸びているのが見えた。
「“天空へと舞い上がる断崖に汝をいざなう暗闇ぞ現れん”か。さてと…♪」
エースは鍵穴の形状を確認すると、一本の鍵を選びそこに差し込む。
「あれ、回らない…。これじゃないとすると…」
——タ、タタ、タタ…
「エース、遠くの方から足音がどんどん近づいてくるわ」コーラがエースの袖を引っ張って知らせる。「急がないと…!」
「判ってるって!」エースが二本目の鍵を錠前に無理やり差し込もうとするがうまくいかない。
「ええい、くそ!ワン、ラクダの灯りをもう少し手元に!」
——タタタ、タタタタ…
密閉された洞窟の壁に反響し、追跡官たちの冷たい靴音がまるで耳の中で鳴っているように聴こえる。
「どんどん近づいてくるぞ!」スカーが立ち上がり、迎撃する構えを見せた。
「なんだかものすごく側まで来ているようだ…!」
「落ち着け!ヤツらは図面を持っていない」エースが錠前と格闘しながら言った。「そう簡単にスイスイここまで来れるものか!♪」
追跡官たちは装備品のペンライトの灯りを頼りに、洞窟の暗闇を駆け抜けていく。
「こんなところにチンピラどものアジトがあるとはな」ボコが勝ち誇ったように言った。
「我々のようなプロを相手に、もうこれ以上は逃げられまい。袋のネズミも同然だ。ふふふふ」
「こういうのを、ゲームではダンジョンて言うんだよな」デコが心底楽しそうに言った。
「オレはダンジョン系が大得意なのさ!ひひひひ」
「得意?フン。じゃあ、正面の突き当たりは右か?それとも左?」ボコが相棒に訊ねた。
「もちろん右さ!」
「じゃあ、ヤツらは左だ!ありがとうよ!」
「ちっ…」
「ああ、もう!開かない…!」
ビクともしない錠前を前に、エースが途方に暮れそうになっていた。
「四本とも全部試したのに…」
その額からは、玉のような冷や汗が噴き出している。
コーラが憔悴するエースの顔をハンカチで拭いた。
「この扉じゃないのかもね…」
「いや、間違いないって♭」エースは口を尖らせ、図面をコーラの前に広げた。
「そんなコト言うなら、これを見てご覧よ!」
「ごめんなさい。でも、そんな言い方しなくても…」
「チワゲンカ、ヤメレ!ホレ、アソコニ、アナガ、アル」突然ラクダが真上に鼻先を向け、エースにタメグチをたたいた。「テメエ、トドクカ?」
キャメが照らす天井には、確かに鍵穴らしきものが見えていた。
「あ!あれだ。この南京錠はダミーだったのか!♪」
エースがジャンプをして天井までの高さを目測する。「4メートル近くあるな…」
「オレがラクダのコブの上に立てば、なんとかなる」スカーがそう言って、キャメに遠慮なくよじ登った。「ちょいと、ゴメンよ」
「イテテテ」
「この角は右だ」ボコが自信を持って言った。
「何で判る?」
「左は、狭すぎる。ラクダは絶対通れない」
「ラクダを捨てて、人間だけ左に行ったかもしれねえぞ!」
「それなら、外に置いてったはずだろ」ボコが言った。「ここまで苦労してラクダを連れてくる意味がねえ」
「たしかに…」デコがあきれ顔で言った。「しかし、どんだけラクダ好きのチンピラどもなんだ?!」
——ガシャン…ギギギー
「おぉ!♪」
スカーが天井に差し込んだ三本目の鍵で、遂に鉄格子が横にスライドして開いた。
「やった!♪デカしたぞ、キャメちゃん」
「タッテイタ、ダケダ、ソウサワグナ」
旅人達は順番に謙遜するラクダの首を撫でて褒め称える。
「エヘン!」ワンがラクダの代わりに胸を張った。「この子はきっとやってくれると思ったあるぞ!」
「さあ、急いで階段の上にあがろう」エースが図面を確認し呟いた。「いよいよ“天空へと舞い上がる断崖”の意味がわかるぞ…」
「いま左の方から、わざとらしいぐらいデカい金属音が聞こえたぞ!」ボコが立ち止まり、相棒に言った。
「おお、たしかにガシャン…ギギギーって、扉が開く時にありがちな効果音みたいだった」
「やばい、出口があるんじゃねえか?」ボコが音の聞こえた方向に反射的に走り出す。「急げ!」
「早くキャメを階段の上に持ち上げろ♪」エースがラクダの尻を再び上に押す。「みんな、手伝って!」
「ワシ、タカイトコ、ニガテ」ラクダが階段を昇ることを頑なに拒む。「ナンカ、スカン」
「いまさら何いってるあるか!」ワンがキャメの手綱を引っ張りながら必死に励ます。「さっき、階段をスイスイ降りたあるぞ!」
「クダリ、ヘイキ、ノボリ、コワイ」
「意味わかんねえ!メンドくさいラクダやなあ」ハンマーがあきれる。「ほんの数段じゃないか!」
「ああ、オレも確かに聞いたぜ。なんだかひどく焦ってる様子だったな」
追跡官たちは、獲物の接近を感じ訓練された身のこなしで壁沿いにそっとターゲットに迫る。
「おい、見ろ!あの曲がり角の左から灯りが漏れている」
「間違いない!」
追跡官は角まで進むと、頭だけ出して灯りのほうをそっと見た。
「いた!!」
「バカなやつらだ!あんなとこで、よってたかってラクダのケツをモンでるぜ!」
「変態どもめ!」デコがビーム・ガンを構えて言った。「いよいよ、考え抜いたギャグが使える!」
「ふふふふふ」
「ひひひひひ」
「えい面倒だ!」スカーが突然ラクダの後ろ足の間に身体をねじ込み、一気に担ぎ上げようとする。「ふっ…!くくくく…うりゃ~!」
「今だ!ワン、引っ張り上げろ!」
「ひえー!チンピラが、ラクダの股にもぐりこんだぜ!」
「どんな、プレーだよ…?!」デコが言った。「知り合いになりたくないタイプだ…」
「もうこれ以上付き合いきれない」ボコがガンを構えて光の中に立ち上がった。「とっとと決着をつけるとするか!」
「やった!♪」
ラクダは勢いで数段の階段を駆け上がり、踊り場にナニゲに立っていた。
「ふう、成功だ…!♪」
「テメエラ、ケツ、モミスギ」
逃亡者達は手を握り合い喜びながらも、へなへなと脱力しそうになっていた。
「トコロデ、ヤバイヨ。イヤナ、ヨカン」
「…!!」エースが振り返ると、20メートルほど離れた角に二人の追跡官が銃を構えて立っているのが見えた。
「ごほん。シウマイ弁当はまだですか~」
第3章 オーストラリア ~巨石の惑星<8>
Story By ワダマサシ「…しまった!」
逃亡者達は、階段の踊り場に凍りついたように立ち尽くしていた。
「動くなよ…!」正面からビーム・ガンを持った追跡官が、ゆっくりと近づいてくる。
「手間を取らせやがって、このガキどもが!」
「食べ物の恨みは怖いあるな」ワンがこの期に及んで軽口で応酬する。「出前なら、いま出ました~、あるぞ」
「そんな減らず口を叩けるのも今のうちだ」追跡官たちは、ついに階段の真下まで来て銃を構えた。「さあ、おとなしく降りて来い。とっとと娘を引き渡せ!」
たった一回の最大の窮地にだけ使えと博士から授かった大切なキューブは、肩の荷物の中。
しかもその鍵はスカーが持っている。
そして背後には吸い込まれそうな漆黒の闇…。
エースに考える時間はほんの一秒も残されていなかった。
「灯りを消せ!恐れずに暗闇に飛び込むんだ!!」
「おう!」
気迫のこもったエースの叫びに衝き動かされ、逃亡者達は一斉に背後の闇に向かって身を投げ出した。
「ま、待て!」
追跡官たちは威嚇射撃をしながら、あわてて階段を駆け上がる。
「逃がすものか!」
その眼前には入ることを躊躇したくなるような真暗闇が広がっている。
「うわ…暗」
「や、やめとく?」デコが言った。
「たわけ者!追うぞ!」
「なんなんだ?この闇は…!♭」
夢中で飛び込んだ空間は、想像を絶する漆黒の世界だった。
それは正に究極のブッラク・アウト、明るさがセロどころかマイナス100にも無限大にも感じられる重たく粘りつくような暗闇。
「痛て!」ハンマーがいきなり壁に頭をたたきつけて強がりを言った。「目から星が飛び出て、少しは明るくなったぜ」
「おいおいピヨってんじゃねえよ」スカーが言った。「頼むぜ、後ろがメチャ詰まってんだから…」
その台詞すら闇に絡まれて糸を引いているように聴こえる。
なんとか壁づたいに這うように前進するが、先に行くほど暗闇の粘度は増していった。
ついには肉体がドロドロと闇に溶け出し、魂だけが空間を漂っているような感覚に襲われ、旅人達の心に這って逃げたくなるような底なしの恐怖が湧いてくる。
「た、隊長!隊長!」ワンが苦しそうな声で言った。「なぜか足が動かないあるぞ」
「こ、怖いわ…!エース、どこにいるの?!」
この時、エースは博士の助言を思い出していた。
「ここにいるって。しょうがないなあ…」エースがコーラの手を優しく握った。「みんなも隣の仲間と手を繋げ!」
ここでは、触覚だけがただひとつの頼りだった。
唯一障害物センサーのついたアンドロイドラクダをのぞいて。
「テメエラモ、ココロノ、メデ、ミヤガレ…!」
「そ、そう上から目線で言うなよ…」ハンマーが言った。
「これでは全く何も見えん…」ボコが言った。
「サングラス外そうかな」
「そういう問題じゃねえだろ、デクノボー」
「でも多少はちがうんじゃね?」
「やめろ、これは生き方の問題だ。外したら、お前がお前でなくなっちまう」
「…なるほどもっともだ」
「それにしても、もう少し早く進まんかい、うどの大木」
「妖怪が足に絡んじまってるようで…」
「オレだって、底なし沼をサンダルで歩いてる気分だぜ」
「ボコよ…」
「なんだ、あらたまって」
「オレの手をしっかりと握っていてくれねえか?」
「え…?まあ、い、いいけど」
「しのびねえなあ」
「かまわんよ」
すぐ後ろに追跡官たちが這うようについてくる気配を感じるものの、こちらの身体も益々思うにまかせない。
“天空へと舞い上がる断崖に汝をいざなう暗闇ぞ現れん”…エースが心の中で呟いた。「たしかに半端な暗闇じゃなかったな♭」
「隊長…まだあるか?もう上も下も右も左もわからないあるぞ…」
——ブーンブーン…
気がつくと耳鳴りのようなノイズが周囲から聞こえ始め、身体から魂が分離していくような感覚が一歩ごとに強くなっていく。
「こりゃー、まいった…」ハンマーが耳を押さえて弱音を吐く。「ガキの頃、高熱でうなされた時のことを思い出すぜ」
「頑張れよ!そろそろ航路の入り口が近い証拠なんだ!」
「トマレ!トマレ…!」突如、機械のキャメが機械的な声で強く警告する。
「コノサキ、“ナニモナイ” “ナニモナイ” “ナニモナイ” “ナニモナイ”…」
システムがバグったように、キャメの警告は延々と繰り返された。
「インセックの歴史上、相棒とお手々繋いでお膝歩きで追跡し続けたのは、オレ達ぐらいだろうな」
「幼稚園のお遊戯を思い出すぜ」
「情けないような、懐かしいような。不思議な気分だ」
「しかしこのアホな追跡劇も、これにて終了!ヤツら、行き止まりの場所に出ちまったようだ」
「先に何もないって、ラクダに注意されているぜ!」
「なんて間抜けなチンピラどもなんだ」
「こうなったら、のんびり行こう」
「ああ、ゆっくり仕上げを楽しもうぜ」
「ふふふふふ」
「ひひひひひ」
「“ナニモナイ” “ナニモナイ” “ナニモナイ”…」
「キャメちゃん、何もないって、どういうことあるか?」
「つまり…、何もないってことじゃねえか?」スカーが通訳する。
「まんまじゃねえか」ハンマーが付き合いで突っ込みをいれた。
「その通り!先にはなにもないんだ!」エースが確信に満ちた声で言った。「ついに“天空へと舞い上がる断崖”に着いたぞ!」
「こ、ここがそうあるか?!」
——ブーンブーンブーン…
一段と強くなった羽音のようなノイズが、あらゆる方向から旅人達に迫ってくる。
「舞い上がる断崖?」ハンマーが怯えた声で訊ねた。「そこから跳ぶのか?それとも、堕ちるのか?心の準備ってものがあるぜ」
「上?下?本日のご注文はどっちあるか?」
「その両方…♪」
「意味わかんねえ…」スカーが不満げに言った。
「“ナニモナイ” “ナニモナイ” “ナニモナイ”…」
「それはわかたあるよ…」
「よく聞いてくれ!」
旅人達は手を握り合い、暗闇の中でリーダーの声に耳を澄ませていた。
「これから何が起きるかオレだって想像も出来ない。航路の中は、距離や方向そして時間…そんな概念を超越した場所らしい」
「息は出来るあるか?」
「出来るとも出来ないともいえない。ただ苦しいということだけは…たしかだ♭」
「ひえ~…あるな」
「テメエ、ビビルナ。ナニモナイ、ケド、ビビルナ…」
「さあ、いよいよ出発だ!」
エースは“舞い上がる断崖”の縁に立ち最後の指示をする。
「ワン、なにが起きてもラクダの首から離れるな!スカー、ワンの手を死んでも離すんじゃないぞ!ハンマー、スカーのメタルアームにしがみつけ!コーラはハンマーとオレの間だ」
「わたしは力が弱いから…」コーラが言った。「エースがハンマーと手を繋いで」
「それじゃあ、一番端っこになっちゃうぜ。怖くないのかい、コーラ?♭」
「怖いわ…」コーラがエースに言った。「だから離れないように、わたしをずっと抱きしめていてよ」
真っ暗闇の中でその表情は誰も見ることが出来なかったが、コーラの声にはこれが最後になるかもしれないという切羽詰ったニュアンスが含まれていた。
エースは頷くかわりに、コーラの手を強く握り気持ちを伝える。
——ブーンブーンブーン…
胸の高鳴りにシンクロするのように、ノイズも周期を早めていった。
「さあ、行こうぜ!!」スカーが景気づけに大声を上げる。
「みんな準備はいいか?♪」
「おう!」「任せとけって!」「大ジョブあるぞ」「いいわ!」「“ナニモナイ” “ナニモナイ”…」
「キャメ、その何もないほうへまっすぐ進め!♪」
「エッ?マジデ?ナニモナイケド、イイノ?」
「いいの♪」
——ブーンブーンブーン…ノイズがさらに強くなる。
「エース、お願いだ。発つ前に教えてくれ!」スカーがリーダーに訊ねた。「次の目的地はいったいどこなんだ?」
「オーストラリア!…巨石の惑星♪」エースが叫んだ。「GO!!」
続く…
